昨年9月、ソウル市は全国に先駆けて「遺伝子組み換え生物体(GMO)ゼロ実践売場」事業を始めた。農協、緑の町、トゥレ生協、ソウルアイコープ生協、ハンサルリムソウル生協、幸福中心生協の6業者193の食品売場で、GMO食品ではない農水畜産物と加工食品だけを販売することにした。
施行1周年を迎えた「GMOゼロ実践売場」の看板(写真)が下される危機に瀕した。韓国の食品医薬品安全処(食薬処)が「遺伝子組み換え食品などの表示基準一部改定告示案」を4月に行政予告したためだ。告示では、GMO表示対象でない農作物や加工食品に「非GMO」、「無GMO」などの表示をできないようにする条項が含まれたためだ。食薬処は「韓国産の農産物はGMO表示対象ではないので『GMOゼロ』と表示すれば、表示規定に違反することになる。食品衛生法により5年以下の懲役または5000万ウォン(約450万円)以下の罰金刑を受けることになりうる」と明らかにした。
ソウル市は「GMOゼロ」表示に対する法的解釈を巡って食薬処と協議を続けたが、進展がなかったため事実上事業の運営は不可能と判断した。ソウル市関係者は「GMOゼロ売場を違法状態に追い込むことはできないので、改定告示が施行されれば『GMOゼロ実践売場』の看板を撤去する予定」と話した。これについて生活協同組合と市民団体は「消費者の知る権利」を主張して、告示案に強く反発した。共に民主党のキム・ヒョングォン議員ら30人は、今年6月GMO完全表示制を強化する食品衛生法改正案を発議した。
それに対して食薬処は6月24日「告示案に対して多くの反対意見が寄せられたので、意見の追加集約が必要」として集約期限を7月20日まで延長した。期限は過ぎたが食薬処は何も発表していない。食薬処関係者は「食品衛生法改正案に対して国会の日程に従い食薬処の立場を陳述する。今は何も決まっていない」と話した。