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韓国の18カ所で“GMOトウモロコシ・綿花”発見…生態系かく乱憂慮

登録:2015-01-14 19:38 修正:2015-01-15 15:17
隠れているGMO食品
全国18カ所のうち京畿地域が12カ所で最多
大半が畜産農家の周辺地域
飼料穀物運搬中にこぼれた模様
発見し次第 駆除処理と言うが
韓国産種と交配の恐れも
市民団体会員たちがGMO(遺伝子組み換え作物)トウモロコシの輸入撤回を要求する集会を開いている。 キム・ミョンジン記者 littleprince@hani.co.kr

 遺伝子組換え生物体(GMO)が強い憂慮を生むのは、明確な結論を下し難い安全性論議や不合理な表示制度のためだけではない。 韓国が世界で2番目に大量のGMOを輸入している間に、全国各地ですでに“怪しい種子”が根を下ろしつつある。 韓国政府がGMOの栽培を禁止しているだけに、このように生育している遺伝子組み替え(GM)作物は大きな問題だ。 輸入GMOによる国内生態系かく乱の懸念が現実化しているという強力な兆候だからだ。

 ハンギョレが先月30日に入手した国立生態院の「遺伝子組換え生物体自然環境モニタリング結果」によれば、2013年に全国18の地域で遺伝子組み替えトウモロコシと綿花が発見された。 遺伝子組み替えトウモロコシは京畿道平沢(ピョンテク)市と全羅北道金堤(キムジェ)市、金海(キムヘ)市の3カ所で、綿花は15カ所で発見された。 国立生態院は「全国647の地域で遺伝子組換え作物と疑われる521個の試料を採取し検査した結果、18地域で21個の遺伝子組換え作物が見つかった」と明らかにした。

年度別遺伝子組み換え作物発見推移。ハンギョレ新聞社

 遺伝子組換え作物が発見された18カ所は、京畿道、全羅北道、仁川(インチョン)市、慶尚南道、慶尚北道などで、このうち京畿地域が12カ所で最も多かった。 GMOの発見場所を類型別に見れば、畜産農家の周辺地域(9カ所)が大半を占めた。 輸入運送路(6カ所)と飼料工場(3カ所)周辺でもGMOが姿を現した。 韓国で消費される食用・飼料用のGMOはすべて輸入産だが、国内に持ち込んだ後、飼料工場や畜産農家に運ぶ過程で、トウモロコシの粒や綿花の種がこぼれ落ちて自然に芽を出した結果と見られる。

 GMOの流出による最も大きな問題は、断然“国内生態系のかく乱”だ。 例えば、除草剤に強い抵抗力を持つ遺伝子組み替えトウモロコシが運送過程でこぼれ落ち、雑草と交配すれば“スーパー雑草”に変身するかも知れないという話だ。 これと関連して昨年4月30日、米国オレゴン州では、政府が栽培を承認していない遺伝子組み替え小麦(品名MON71800)が発見され、世界を驚かせたことがある。 除草剤でも死なないこの小麦が正確にどこから来たのか、米国動植物検疫局は明確な結論を下せなかった。 ただ10年ほど前、オレゴン州で世界最大のGMO開発会社であるモンセントが除草剤耐性形質の遺伝子組み替え小麦を試験栽培したことがあるが、これを根拠に数多くの“推測”が飛び交っただけだった。 韓国の食品医薬品安全処と農林畜産食品部はこれと関連して昨年7月2日、オレゴン産小麦に対して検査およびモニタリングを実施した後、「当該小麦から遺伝子組み換え小麦は発見されなかった」と発表した。 韓国が米国から輸入する小麦の約半分はオレゴン産だ。

 環境運動連合のチェ・ジュノ政策局長は11日「米国のモンセントなどは、遺伝子組換え作物が輸入・運送過程で偶然落ちたとしても自生する確率は少ないと主張しているが、国立生態院の実態調査結果から分かるように、すでに国内で遺伝子組換え作物による生態系かく乱の懸念が現実化している」として「韓国内食品業界や畜産農家が主に遺伝子組み換え大豆・トウモロコシ・菜種(カノーラ)などを輸入しているが、遺伝子組み替えカノーラが農家の周辺に落ちて似たような形質の韓国産白菜と交配が行なわれるとか、GMO大豆と有機農のつる豆が交配されるとかいったことが生じれば、農家に大きな被害を与えるだろう」と話した。

 これと関連して、国立生態院関係者は6日「韓国内で栽培を承認していない遺伝子組換え作物が育っているという事実は、生態系保護のレベルでも決して軽く考えることのできない問題」だとして、「今年も遺伝子組換え生物体モニタリング事業を進めているが、調査チームがこれらの遺伝子組換え作物を発見すれば、採取した後すぐに高圧滅菌処理をしている」と明らかにした。

 2013年まで国立生態院とGMO自然環境モニタリング事業を進めてきた国立環境科学院は、遺伝子組換え作物の流出による国内生態系のかく乱を防ぐため、2009年以降毎年調査地域を拡大している。 問題は、発見される遺伝子組換え作物の数も同時に増えているという事実だ。 2009年の初回調査時には、159の調査地域のうちGMOが現れた地域は8カ所に止まった。 翌年の2010年(調査地域169カ所、発見地域10カ所)と2011年(調査地域177カ所、発見地域10カ所)も似たような水準だった。 調査地域を大幅に増やした2012年(626カ所)と2013年(647カ所)には、それぞれ19カ所と18カ所でGMOが見つかった。 調査範囲を広げるほど、“得体の知れない種子”もさらに多く発見されるという意味だ。 発見地域が概ね全国的分布を示しているという点も憂慮を生んでいる。

 全国女性農民会総連合のシン・ジヨン事務局長は「国立生態院が輸入遺伝子組み換え生物体の流出による生態系かく乱を防ぐために調査地域を広げているとは言うものの、全ての輸入・流通経路を調査することはできない状況なので、どこでどのような遺伝子組換え生物体が育っているのか、農民の心配は深まる一方だ」として「GMOが移動過程でこぼれ落ちて自生することを防ぐには、輸入・流通ルートの調査と事後処理に劣らず 事前予防処置も重要なはずだが、政府はこの部分に対する努力はほとんどしていない」と指摘した。

チェ・ソンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/673114.html 韓国語原文入力:2015/01/12 08:40
訳A.K(2578字)

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