南北軍事分野の合意に対し、一部で「韓米の不協和音説」を唱えて揺さぶりをかけていることを受け、国防部が27日「韓米の間では緊密な協議が行われている」と反論した。南北間の偶発的な衝突の防止に向けた合意が思いがけない韓米間のあつれき説に変異したのは、今回の合意に対する米軍当局の曖昧な態度と一部の国内マスコミの報道などが相互作用した結果と見られる。
あつれき説が浮上した直接のきっかけは、ロバート・エイブラムス在韓米軍司令官指名者の25日(現地時間)の発言だ。彼は同日、米上院承認聴聞会で「非武装地帯(DMZ)は、国連軍司令部の管轄であるため、監視警戒所(GP)の撤収は国連司令官の判断のもとで行われなければならない」と述べた。国連軍司令部が1953年7月に締結された停戦協定の署名当事者であり、非武装地帯の管轄権を持っているという事実を強調したのだ。この発言について、国内のいくつかの報道機関が非武装地帯内の監視警戒所11カ所を優先的に撤収することで合意した南北合意などを狙ったものとして、韓米の不協和音説をも唱えた。
国防部は直ちに鎮火に乗り出した。エイブラムス指名者の発言が伝えられた26日、担当記者団にショートメールを送り、「軍事分野の合意書の締結に向けたすべての過程で、国連軍司令部と緊密に協議してきた」と釈明したのに続き、27日にはチェ・ヒョンス報道官が直接メディア向けブリーフィングで「(チョン・ギョンドゥ)新任国防部長官が24日、板門店(パンムンジョム)共同警備区域(JSA)の非武装化について報告を受けた際、ウェイン・エア連合軍司令部副司令官が出席し、『南北の間で合意された軍事合意書に共感しており、全面的に支援と共に支持を送る』と述べた」として、具体的なエピソードまで公開した。
にもかかわらず、「韓米のあつれき説」が沈静化するまではもう少し時間が必要かもしれない。まず、南北間の軍事合意に対する米軍当局の公式な立場が不透明であるからだ。クリストファー・ローガン米国防総省報道官は20日、南北合意に対する「ラジオ・フリー・アジア」(RFA)の論評要請に「合意内容の個別の側面に論評したり、今後起きる出来事を推測することはしない」とし、明確な立場表明を留保した。南北間の偶発的衝突の防止に向けた合意に反対する理由はないが、米軍部の立場から軍事的利害関係を追求する矛盾的態度が反映されたものとみられる。
今回の合意には米軍、または国連軍司令部と関係ない領域と、米軍(国連軍司令部)の協力や同意・事前協議などが必要な領域が混在している。例えば、非武装地帯内の監視警戒所の撤収のようないくつかの事案は事実上、停戦協定をきちんと遵守するための内容であり、国連軍司令部の同意が必要な対象ではない。また、板門店共同警備区域の非武装化に向けた「南・北・国連軍司令部3者協議体」の構成は、国連軍司令部の事前同意なしには不可能な内容だ。この3者協議体が合意書に盛り込まれた事実が、国連軍司令部の同意があったことを裏付けている。韓米のあつれき説をめぐる報道が誇張された可能性を示す内容だ。一方、軍事境界線(MDL)付近の飛行禁止区域の拡大のような合意問題は、事前あるいは事後に在韓米軍の協力が必要な領域だ。国防部当局者は「今回の南北間の合意の基本方向は、偶発的な衝突をなくし、緊張を緩和するものだ。これは韓米が同じように望む方向だ。南北間の合意以前から米軍と協議を進めており、合意の履行に向けて引き続き協議していく計画」だと積極的に説明した。