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文大統領、危機の朝米再び対座させた「平和交渉家」に

登録:2018-09-21 06:15 修正:2018-09-27 16:58
朝米の膠着受け南北会談を加速化 
非核化約束する平壌宣言引き出し 
米国に対話再開する名分与える 
 
5月、朝米会談が座礁する危機迎えた際も 
第2回南北首脳会談で仲裁役果たす 
 
南北関係の不可逆的平和作る 
敵対解消の具体策まで合意 
文大統領、終戦宣言も主導するか
文在寅大統領が今月20日、三池淵招待所を訪問し、金正恩国務委員長と散歩をしながら会話している=平壌写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との平壌(ピョンヤン)南北首脳会談を通じて、消えかかった朝米対話の火種を蘇らせた。ドナルド・トランプ大統領をはじめとする米政府は、首脳会談の結果を歓迎し、朝米対話の再開を宣言した。文大統領は昨年5月に板門店で金委員長と行った“電撃会談”で、脱線の危機を迎えた朝米首脳会談を正常な軌道に戻したのに続き、今回も朝米交渉の促進者であり、トランプ大統領が要請していた「首席交渉家」としての任務を成功的に遂行したわけだ。

 トランプ大統領は19日(現地時間)「9月平壌共同宣言」について、「北朝鮮と韓国からとても良い知らせが届いた。我々は北朝鮮と関連して非常に大きな進展を成し遂げている」とし、「金正恩委員長と会うことになるだろう」と述べた。マイク・ポンペオ米国務長官もリ・ヨンホ北朝鮮外務相とニューヨークの国連総会で会談する意向を示すと共に、オーストリアのウィーンでも朝米間の実務対話を開始する意思を明らかにした。文大統領と金委員長は平壌共同宣言第5条で「南と北は朝鮮半島を核兵器と核脅威のない平和の地にしていかなければならず、これに向けて必要な実質的な進展を早急に成し遂げるべきという認識を共にした」とし、関係国立ち会いのもと、北朝鮮東倉里(トンチャンリ)エンジン実験場とミサイル発射台の永久廃棄と共に、米国が相応措置を取った場合、寧辺(ヨンビョン)核施設の永久廃棄処分などの追加措置を履行することなどを合意に盛り込んだ。文大統領は「朝鮮半島を核兵器も核の脅威もない平和の地にするため、積極的に努力する」という非核化を約束する金委員長の発言も引き出した。金委員長が自らの肉声で非核化を直接約束したのは、今回が初めてだ。文大統領は朝米対話がギクシャクする兆しを見せたことを受け、当初「秋」となっていた南北首脳会談を9月中旬に前倒した。

2泊3日間の訪朝を終えた文在寅大統領が今月20日午後の帰国直後、ソウル東大門デザインプラザ内のプレスセンターで行った国民向けの報告で、取材陣の質問に答えている=平壌写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 非核化と終戦宣言をめぐる意見の相違で、膠着状態に陥っていた朝米対話が、文大統領の訪朝で突破口を見出したわけだ。文大統領は18日、訪朝直前に城南ソウル空港で、「今回の訪朝で朝米対話が再開されれば、それだけでも大きな意味がある」と述べた。訪朝前日、南北首脳会談準備委員長を務めたイム・ジョンソク大統領秘書室長は「非核化という重いテーマが首脳会談にのしかかっている。(非核化の議題により)今回の首脳会談は非常に敏感かつ困難で、楽観的な見通しを許さないものとなった」と述べた。それだけ、非核化や朝米対話の仲裁は難題だったわけだ。

 文大統領は去る5月にも金委員長との電撃首脳会談を通じて、座礁の危機に瀕していた朝米首脳会談を引き揚げた。文大統領は5月24日、トランプ大統領が急きょ朝米首脳会談を取り消すと通知したことを受け、2日後の26日に統一閣で金委員長と二度目の首脳会談を開き、トランプ大統領の決心を変えさせた。チョン・セヒョン元統一部長官は「文大統領が平壌南北首脳会談の日程を繰り上げることで、消えかかっていた朝米対話の火種を蘇らせた。5月に続き、もう二回目だ」とし、「文在寅大統領が大変優れた“仲裁者”になった」と話した。 イ・ジョンチョル崇実大学教授は「成功的な仲裁を超えるものだった。(金正恩委員長が)核兵器と核脅威のない平和の地を語ったのではないか」とし、「(平壌首脳会談で果たした文大統領の役割が)非常に大きい」と評価した。

 文大統領は今回の首脳会談で非核化の“突破口”を開いた仲裁者の役割を果たしたが、同時に金委員長とともに70年間にわたる南北の敵対関係を清算し、朝鮮半島の「不可逆的な平和」を促進したことも、主な成果として挙げられる。南北が合意した軍事合意書には「双方は、いかなる場合でも武力を使用しない」と明記された。また、制裁解除の局面に備えた経済協力の基盤づくりや離散家族常設面会所の設置など、経済・社会・文化など多様な分野で、南北交流を続けることにした。安定的な南北関係に基づき、「民族自主と民族自決の原則」(9月平壌共同宣言の前文)のもと、朝米関係も牽引するという構想であるわけだ。イ・ドフン外交部朝鮮半島平和交渉本部長は20日、ソウル東大門デザインプラザ(DDP)プレスセンターのブリーフィングで、「平壌共同宣言は、南北関係の進展が朝米関係を進展させる基盤になりえることを裏付けた」と述べた。

 文大統領は23日に国連総会出席のため米ニューヨークに出発し、24日(現地時間)にはトランプ大統領と韓米首脳会談を行う。文大統領はトランプ大統領に平壌南北首脳会談の結果を説明し、朝鮮半島の非核化や早期の終戦宣言、平和協定の締結などを協議する予定だ。

ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/863067.html韓国語原文入力:2018-09-21 01:06
訳H.J

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