ヤン・スンテ元最高裁長官当時の最高裁判所が、憲法裁判所に派遣した判事を利用して「外部非公開」である裁判官たちの評価内容まで盗み読み、報告を受けていた情況が明らかになった。公務上秘密漏洩に該当するという重大犯罪で、最高裁判所による憲法裁判所の牽制工作が度を過ぎていると指摘されている。
ソウル中央地裁特捜1部(部長シン・ボンス)と特捜3部(部長ヤン・ソクチョ)は20日、イ・ギュジン元最高裁量刑委員会常任委員(現ソウル高裁部長判事)の事務所と自宅、ソウル中央地裁部長判事のC氏の事務所を家宅捜索し、パソコンのハードディスクや業務日誌などを確保した。
検察はC判事が憲法裁の派遣勤務(2015年2月~2018年2月)当時、イム・ジョンホン元裁判所事務総局次長とイ元常任委員の指示で、研究官の報告書と裁判官たちの評価内容を持ち出し、イ元常任委員にメールで渡した情況を捉えたと伝えた。C判事が流出させた内容の中には、緊急措置被害者の国家賠償訴訟の敗訴判決▽過去事事件、国家賠償の消滅時効を3年から6カ月に減らした判決▽民主化補償法に基づき補償金を受け取る場合の請求権を制限した判決の3件の事件をはじめ、多くの憲法訴願と関連した内容が含まれていたという。
憲法裁判所がこれらの事件について限定違憲決定をする場合、最高裁判決の正当性が弱くならざるを得ない。検察は裁判所事務総局がこうした点を懸念し、密かに憲法裁判所の内部事情を報告させたとみている。事務総局の文書には「C判事から内部情報を受け取り対応している」という記述もあるという。現在、検察は最高裁判所から関連文書を任意提出させるのに難儀しているという。
一方、裁判所はこの日も統合進歩党訴訟に介入した疑いのあるイ・ジンマン元量刑委員会常任委員などに対する家宅捜索令状を棄却した。当該事務総局の審議官たちは、イ元常任委員の指示で統合進歩党所属の地方議員職を剥奪する「企画訴訟」を出す案を練り、外部報告用文書も別に作ったという。検察は同文書が、大統領府への伝達を目的に作成されたのではないかと見ている。裁判所は、今回も「(事務総局の)任意提出の可能性を排除できない」などの理由を挙げたという。