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「来年、再来年さらに暑い」というのに…「石炭発電所」増やす韓国

登録:2018-08-20 06:28 修正:2018-08-20 16:39
逆行するエネルギー政策 
 
「温暖化を除いては説明難しい」 
世界同時多発的猛暑 
米気象学会「温室効果ガスの影響」 
初めて断定的表現が登場 
 
韓国、事実上“不良国家” 
「温暖化対応」で後ろから3番目 
老朽化した石炭発電3基閉鎖したが 
新規6基を稼動…7基も推進中 
今月1日午後、ソウル聖水洞公園に設置された温度計が41度を記録している=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 今夏、朝鮮半島を襲った「最悪の猛暑」は、季節が同じ北半球の他の地域でも発生した。日本や中東、欧州各地で最高気温の記録が相次いで塗り替えられ、温熱死亡者が発生した。原子炉冷却水として使う海と川の水の温度が上昇し過ぎて、原発の出力を下げたり、稼動を中止する事態までもたらした。

 人間が輩出した温室効果ガスの影響で、地球の平均温度は産業革命以前より1度ほど上昇した状態だ。科学者たちは温度上昇が加速し、10年ごとに0.2度ずつ高くなるものと予想する。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が科学界の研究成果を総合して発行する気候変化評価報告書で、地球温暖化で猛暑のような極端な気象現象がますます強化されるだろうと明らかにして久しい。にもかかわらず、気候科学者たちはすでに発生した気象現象に気候変動がどれだけ影響を及ぼしたかについては、かなり慎重な態度を取っている。数多くの自然的要因の影響を受ける特定の気象現象において、温室効果ガスが果たした役割を簡単には究明できないからだ。

 猛暑の発生における気候変動の影響について、科学者たちが断定的表現を使い始めたのは比較的最近のことだ。米気象学会(AMS)が今年1月に発表した「2016年極限気象の説明」報告書で、2016年に全世界に広がった猛暑について「産業革命以前の気候ならば、不可能だっただろう」と明らかにした。温室効果ガスが引き起こす地球温暖化の力がそれほど強力になったということだ。米気象学会が特定の極限気象現象に与えた気候変動の影響をこのように断定的に表現したのは、報告書を発表し始めた2012年以来、当時が初めてだった。

20世紀平均に比べた地球平均気温の変動の推移//ハンギョレ新聞社

 米気象学会発行の「気候ジャーナル」の編集委員であるミン・スンギPOSTECH環境工学部教授は「2013年夏、韓国に現れた猛暑を対象に分析した結果、温暖化の影響で、2013年のような猛暑が現れる確率が10倍増えたことが分かった」とし、「科学的に分析したわけではないが、今年の猛暑は2013年よりも強力なだけではなく、全世界同時多発的発生という極めて低い確率のものが現実化したため、気候変動の影響を除いては説明が難しい」と話した。ク・ジョンソンPOSTECH環境工学部教授は「今年の猛暑に与えた気候変化の影響に対する定量的研究結果が出るまでは、もう少し時間がかかるだろうが、熱帯対流の活動が強化されるなどの全体的パターンからすると、気候変動がある程度寄与したと言える」と話した。オ・ジェホ釜慶大学環境大気科学科教授は「今年の猛暑の直接原因として言及されるチベット高気圧も温暖化と関係がある。今の状況は登山に喩えれば、登っていく過程にあるため、来年は今年より、再来年は来年よりもさらに暑くなる可能性が高い」と話した。

 温暖化によって極限の気象現象がさらに強力になるなら、根本的な猛暑対策は結局、気候変動対策にならざるを得ない。国際社会は1992年の気候変動枠組み条約を採択し、2015年には今世紀の終わりまで地球温度の上昇幅を産業革命前に比べて2度以下に抑制することを目標にしたパリ協定に合意した。しかし、世界190カ国以上の国がパリ協定に署名する際に提出した温室効果ガス削減の約束を含めた貢献計画(INDC)は、2度の抑制目標達成に必要なレベルを大きく下回る。国連環境計画(UNEP)が昨年10月に出版した「排出量格差報告書2017」によると、各国が提出した貢献計画を100%履行しても、地球温度は産業革命以前より3度以上上昇するだろうと予測された。

 韓国は、このように目標の達成に大きく及ばない温室効果ガス削減の隊列でも最下位グループに属しているというのが、国内外の気候変動の専門機関や環境団体の評価だ。ドイツ民間研究所「ジャーマン・ウォッチ」と欧州気候行動ネットワークが昨年末、世界の二酸化炭素排出量の90%を占める中国など、57カ国を対象に調査して発表した「2018気候変動対応指数」の評価で、韓国は後ろから3番目の55位を記録した。2014年に初めて50位圏に下がって以来、気候変動への対応努力に限っては、事実上の“不良国家”にとどまっている。2030年まで追加的努力をしない場合に予想される排出展望値(BAU)の37%を国内外で減らすという温室ガス削減計画が不十分なものと評価された上、石炭発電施設と消費を引き続き増やしていることが順位を下げる要因となった。

 政府はこの7月当初、排出展望値に対する削減量37%のうち11.3%に設定した国外の削減割合を1.9%に下げ、残りは国内の削減と森林吸収源活用などで代替する内容で、温室効果ガス削減へ向けたロードマップを修正した。しかし、環境団体は「温室効果ガス削減政策を全面的に見直さない限り、気候変動への対応に『ただ乗りしている』という批判を免れるのは難しい」と主張している。

 環境団体が共通で指摘する問題は、二酸化炭素排出の主犯である石炭発電への依存度が文在寅(ムン・ジェイン)政府発足後も増えていることだ。昨年、老朽化した石炭発電所3基が閉鎖されたが、忠清南道と江原地域で新規石炭発電所6基が新たに稼動を始めた。さらに、現在建設を推進している石炭発電所が7基もある。

 キム・ジュジン気候ソリューション代表は「韓国の遅れた温室ガス政策に対する国際社会の非難にもかかわらず、政府はむしろ多数の石炭発電所の新設を許可し、発展部門の温室効果ガス削減目標を緩和させるなど、気候変動への対応に逆行する措置を取っている。これは気候変動対応をめぐる政府の消極的な態度と無関心を示すもの」だと指摘した。

キム・ジョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/858295.html韓国語原文入力:2018-08-20 05:01
訳H.J

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