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統一部、大統領の指針に反して独断的に北と協議か…「抗命」の波紋

登録:2018-08-07 09:34 修正:2018-08-07 12:04
開城南北共同連絡事務所長の職級と関連して 
「次官級」とした政府の方針に反して「室・局長級」と北に通知、協議 
消息筋「92年の訓令操作事件連想させる重大事態」 
統一部「全く事実ではない」と否定
チョ・ミョンギュン(左)統一部長官とリ・ソングォン祖国平和統一委員会委員長が6月1日午後、板門店の南側の平和の家で開かれた「南北高官級会談」を終えた後、共同報道文を交換している=板門店/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の4・27板門店(パンムンジョム)宣言の合意事項である「開城南北共同連絡事務所」(共同事務所)の南側所長の職級をめぐり、統一部が大統領の指針と反し北側と独断的に協議したものと伝えられ、波紋が予想される。統一部が「大統領の裁可を受けた政府の公式方針」に従わなかったなら、事実上「抗命」に当たるためだ。関係機関はすでに関連する基礎的事実関係を把握し、大統領府に報告したと伝えられ、大統領府の対応が注目される。

 事情に明るい複数の消息筋は「政府は7月初め、南北首脳会談履行推進委員会(委員長イム・ジョンソク大統領秘書室長)を開き、共同事務所所長を次官級の政務職にすることで意見をまとめ、大統領の裁可まで受けたのに、統一部がその後、北朝鮮との協議過程で『南は初代所長を局・室長級にすることにしたので、北側もこれに合わせてほしい』と話したという」と伝えた。複数の消息筋は「これは1992年の南北高官級会談の際にイ・ドンボク会談代表の『訓令操作事件』を連想させるありえない事態」と批判した。

 政府内外の消息筋の話を総合すると、事態の要旨はこうだ。共同事務所の構成・運営と関連し、当初統一部は所長を局・室長級(高級公務員団カ級またはナ級、1・2級)とする案を作成した。所長を政務職とするには政府組織法の改正が必要で、局・室長級の所長は避けられないというのが統一部の核心根拠だった。しかし、関係省庁の協議過程で「共同事務所の所長は大統領の意思を南北の疎通の過程で誤解なく正確に伝達・執行し、関係改善の速度を上げるうえできわめて重要なポストであるため、政務職を任命しなければならない」という意見が多数を得た。政府は共同事務所長の職級をめぐる省庁間の意見の相違を首脳会談推進委員会レベルで議論・調整し、「次官級の政務職」にすることで意見をまとめ、大統領に報告し、7月初旬頃に承認を得た。

 ところが統一部はその後、北側との協議の過程で、統一部の当初の案を政府の公式方針であるかのように見せ、独断的に協議したという。共同事務所の庁舎として使う開城工業地区内の南北交流協力協議事務所などの改・補修作業を開城工団を往来して実務的に総括してきた統一部の幹部が、北側の協議相手であるファン・チュンソン祖国平和統一委員会部長に「南側は所長を局・室長級とする方針なので、これに合わせてほしい」と話したということだ。関係機関は最近、この統一部の中間幹部を相手にした基礎調査過程でチョ・ミョンギュン統一部長官の指針によってそうしたという供述を得たという。つまり、政府の公式方針に反する統一部の対北朝鮮協議はチョ長官の指針によるものという意味だ。

 これに対して統一部は「まったく事実ではない」と否定した。統一部は「関連するすべての事案を関連省庁間の緊密な協議を通じて進めてきた」とし、「南北共同連絡事務所の細部構成および運営問題は、現在北側と協議中の事案であり、まだ何も決定されていない」と明らかにした。

 しかし、政府は統一部のこのような独断的対北朝鮮協議の事実を把握した後、「共同事務所長は次官級にするというのが政府の公式方針」と北側に新たに知らせ、関連協議を進めているという。

 政府の別の関係者は「まだ事実関係の全貌が最終的に確認された段階ではない」と前置きした後、「統一部が、政府の公式方針に反して独断的に対北朝鮮協議をしたなら、ましてやそれがチョ長官の指示によるものなら、見過ごせない重大事態」と指摘した。彼は「政策樹立の段階で政府内部の意見の違いはむしろ望ましい側面もあるが、大統領の裁可を受けた事案を自分の意志で覆すことはありえない」と付け加えた。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/856419.html韓国語原文入力:2018-08-07 00:35
訳M.C

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