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[社説]70年間の敵対関係を終わらせる朝米の「大胆な合意」を期待する

登録:2018-06-12 07:23 修正:2018-06-12 08:52
ドナルド・トランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩国務委員長=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とドナルド・トランプ米大統領が12日、ついに手を握る。世界の耳目が朝米両首脳会談が開かれるシンガポールに集まっている。6・12朝米首脳会談は、70年間にわたり敵対関係にあった両国の首脳が史上初めてに向かい合って座ること自体が、世界史的事件と言える。金正恩委員長にとっては西側の外交舞台に初めて登場する場でもある。朝米関係は南北関係と連動するため、今回の会談は韓国にとっても4・27南北首脳会談を超える重大な意味がある。文在寅(ムン・ジェイン)大統領がトランプ大統領と(朝米首脳会談の)前日に電話会談を行ったのも、会談の成果に「朝鮮半島の運命」がかかっていることを痛感したからだろう。

 今回の会談の主役であるトランプ大統領と金正恩委員長をめぐる雰囲気は、会談の結果を慎重ながらも肯定的に予測させるものだ。トランプ大統領はシンガポールに到着した翌日「興奮した雰囲気」をツイッターに書き込んでおり、シンガポールのリー・シェンロン首相との会談でも「朝米首脳会談は非常に興味深く、うまく行くだろう」と述べた。北朝鮮のメディアも異例的に金委員長のシンガポール入りを詳しく報じ、会談に対する期待を隠さなかった。両国共に会談が成功することを望んでいることは確かだ。しかし、首脳会談の前日まで両国の実務者たちが合意文書の草案を調整するために協議を重ねたことから、最終結果がどう出るかは、両首脳の最後の決心にかかっているものと見られる。

 今回の首脳会談の最大の関心事として浮上したのは「両首脳が果たして共同宣言を発表するかどうか」だと言える。意味のある共同宣言が出るためには、核心争点である非核化と体制保証をめぐり、双方が劇的な合意に至らなければならない。米国は会談直前まで、北朝鮮に「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)の明文化を要求しており、北朝鮮はこれに対抗して「完全かつ検証可能で不可逆的な体制保証」(CVIG)を要求したという。もし、両国がこの問題で板門店(パンムンジョム)宣言の約束である「完全な非核化」と9・19共同声明に明記された「検証可能な非核化」を盛り込む、「完全かつ検証可能な非核化」のレベルで合意できれば、それだけでも相当な成果と評価できるだろう。

 北朝鮮が米国に実質的な脅威となる核弾頭と大陸間弾道ミサイル(ICBM)を早期にどれほど廃棄・搬出するかも関心事だ。北朝鮮が核弾頭と大陸間弾道ミサイルを一部でも数カ月以内に廃棄することに同意すれば、非核化の時間は急速に進むだろう。もちろん、北朝鮮がこのような譲歩を断行するためには、米国も体制保証の確実なロードマップを提示しなければならない。朝鮮半島終戦宣言や不可侵の約束、相互連絡事務所の設置、対北朝鮮制裁の段階別解除に加え、平和協定の締結と国交樹立まで、体制保証と朝米関係正常化の時刻表が大まかでも示されなければならない。両首脳の決断が必要な部分だ。

 完全な核廃棄という米国の関心事と完全な体制保証という北朝鮮の関心事は、互いに衝突する面があるため、いつても交渉がこじれる可能性がある。朝米がここ数カ月の間、どんでん返しを繰り返しながらもここまでたどり着いたのは、両国が協議の成功に向けてどれほど努力したかを裏付けている。今回の首脳会談が戦争と対決の過去と決別し、平和の新しい時代を開く「大胆な談判」の場になることを期待する。

(お問い合わせjapan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/848637.html韓国語原文入力:2018-06-11 18:58
訳H.J

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