国防部が11日「機務司令部戒厳検討文書」と関連して、特別捜査団長を任命しソウル中央地検が事件を公安2部に割り振ったことにより、本格捜査が秒読み段階に入った。軍捜査団と検察は、今後誰が、なぜ、どんな目的で戒厳文書を作成し、どこまで報告されたかを明らかにすることに捜査力を集中すると見られる。当時指揮ライン上にあった軍首脳部に対する捜査も避けられないと見られる。
最初に捜査対象に浮び上がるのは、ハン・ミング元国防部長官だ。ハン元長官は、国軍機務司令部が戒厳検討文書を作成した昨年3月、国防部の直轄部隊である機務司令部を指揮した。機務司令部の衛戍令および戒厳令発令検討文書がハン長官の指示で作成された可能性を確認するのは必須の課題だ。
ハン元長官は、これについて最近ハンギョレとの通話で「捜査をすることになれば、そこですべてを話す。今は何も言えない」と口を閉ざした。しかし、周辺には「当時イ・チョルヒ共に民主党議員が衛戍令の廃止などを質問し、これに答えるために衛戍令と戒厳令の法的要件と手続きを検討した内部資料だった」という趣旨で釈明しているという。実際、イ・チョルヒ議員は2016年末と2017年初めに、3、4回にかけて衛戍令廃止に対する国防部の立場を質問したことがある。しかし、イ議員は「私は衛戍令廃止の可否を尋ねただけで、戒厳令については一度も尋ねていない。ところが機務司令部の文書は、戒厳令の発動まで検討し、衛戍令無効法案が国会で通過すれば大統領が拒否権を行使しなければならないという内容が含まれている」として「まったくつじつまが合わない弁解」と反論した。
キム・グァンジン当時大統領府国家安保室長とファン・ギョアン当時大統領権限代行も捜査線上から逃れられないと見える。キム元室長は、機務司令部を直接指揮・統制するラインからは外れている。しかし、ハン元長官の先任長官だったキム元室長は、朴槿恵(パク・クネ)政府で軍関連業務を主導したと伝えられている。キム元室長は、昨年初め朴槿恵大統領が国会弾劾決議で職務を停止された状況でも、2度も米国を訪問し在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を強行し、軍内の核心勢力であることを誇示したことがある。キム元室長が今回捜査を受けることになれば、サイバー司令部のコメント工作隠蔽疑惑に続き2回目だ。当時、大統領職位を代行したファン・ギョアン代行も、戒厳が軍最高統帥権者の業務という点で報告を受けた可能性がある。
戒厳検討文書を作成した当時の機務司令官はチョ・ヒョンチョン予備役中将だ。チョ元司令官は、2014年10月から昨年9月までの3年間、機務司令官として服務した。軍内私的組織である「アルジャ会」出身で、任命時から論議をかもした要人だ。文書の作成経緯、用途、意図についてハン・ミング元長官と並んで最もよく知る位置にある要人だ。ハンギョレはチョ元司令官に連絡を試みたが、携帯電話の電源が切れていた。チョ元司令官は昨年末「学業」を理由に米国に出国し、現在も米国に滞留中と伝えられた。
機務司令部のセウォル号査察疑惑文書は、イ・ジェス予備役陸軍中将が機務司令官として在職している時に起きたことだ。チョ元司令官の前任であるイ・ジェス元司令官は、朴槿恵前大統領の弟パク・ジマンEG会長と陸軍士官学校37期やソウル中央高等学校の同期で、2013年10月に機務司令官に任命され注目をあびたが、1年で陸軍3軍司令部副司令官に退いた後、転役した。