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北朝鮮、ポンペオの「手ぶらの訪朝」に失望…「古びた方式強要の際には逆風」

登録:2018-07-09 22:12 修正:2018-07-10 06:29
「憂慮と警告」表明した北外務省談話
朝米首脳会談の共同声明履行に向けた高官級会談のため平壌を訪問した米国交渉チームが金英哲労働党副委員長との交渉途中、米国交渉チーム同士で話を交わした後、百花園招待所の会談場所に再び向かっている。左からリサ・ケーナ国務長官補佐官、アレックス・ウォング国務省東アジア太平洋担当副次官補、マイク・ポンペオ米国務長官、ソン・キム駐フィリピン大使、アリソン・フッカー大統領国家安保会議朝鮮半島補佐官=平壌/ロイター、聯合ニュース

「我々の希望はうぶだった」と米側の相応措置遅延に落胆
遺骨送還・ミサイル試験場閉鎖の後続実務会談開催「誠意表示」
CVIDの一方的圧迫は「受容不可」「同時行動が非核化への近道」
「先に交渉局面を崩す意思はない」と強調
対北制裁解除言及なし「トランプへの信頼変わらず」

 6~7日に平壌(ピョンヤン)百花園迎賓館で行なわれた金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長とマイク・ポンペオ米国務長官の「6・12共同声明」履行のための「高位級会談」の結果に対する北朝鮮側の反応は、二つに要約することができる。まず「失望」と「憂慮」だ。 二番目は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とドナルド・トランプ米大統領が6・12首脳会談と共同声明を通して積んだ「信頼の感情」を「実務的な専門家クラスが古びた方式で」毀損してはいけないという警告兼訴えだ。

 まず、「失望」と「憂慮」。 北側はポンペオ長官が平壌を発った直後「外務省報道官談話」を通して、「我々の期待と希望は愚かと言えるほどうぶなものだった」として「会談結果は憂慮される内容」と規定した。 実際、ポンペオ長官は1・2次訪問の時とは異なり、金正恩国務委員長と面談することができなかったし、「新しい合意」を作り出すことができなかった。 そのうえ、米側の「一方的で強盗的な非核化要求」云々という「談話」まで。 北朝鮮の落胆が如実に表れている。

 進展がなくはなかった。 遺骨送還関連会談を12日に板門店(パンムンジョム)で開き、ミサイル・エンジン試験場閉鎖関連の実務会談も「近い将来」開催することにしたというポンペオ長官の発表がそれだ。 北側が既存の合意を履行するという「誠意の表示」はしたわけだ。 しかし、ポンペオ長官の「手ぶらの訪朝」が確認されると北側も「プレゼント」を出すことはしなかった。「会談決裂」という評価を避ける最低限の成績表だ。 ポンペオ長官の第3次訪朝を機に朝米両国が「6・12共同声明」履行の新しい動力を用意するだろうと期待した人々にとっては、戸惑わざるを得ない状況だ。

 北側は今会談で「共同声明のすべての条項につき、均衡的な履行のための建設的な方法を提起」したと談話は明らかにした。▽「朝米関係改善のための多方面的な交流実現問題」(共同声明第1項「新しい朝米関係樹立」) ▽「朝鮮停戦協定65周年を機に終戦宣言を発表する問題」(声明第2項「恒久的かつ強固な平和体制構築の努力」) ▽「ICBM生産中断、物理的確証のための大出力発動機(エンジン)試験場の廃棄問題」(声明第3項「完全な非核化努力」)▽「米軍遺骨発掘実務交渉の早期開始問題」(声明第4項「遺骨発掘進行と送還」)がそれだ。

 ところが米国は「シンガポール首脳対面と会談の精神に背馳して、CVID(完全・検証・不可逆の非核化)だ、申告だ、検証だと言って一方的かつ強盗的な非核化要求だけを持ってきた」、「すでに合意済みの終戦宣言問題まで、条件と口実を挙げて相当後方に持ち越そうとする立場を取った」と談話は批判している。

 北側は共同声明の第1項~4項にかけて各々優先課題を提起したが、米側は「一方的非核化」ばかりを圧迫したということだ。 談話は「米国側が会談で最後まで固執した問題は、以前の行政府が固執したあげく対話の過程をすっかり台無しにして不信と戦争の危険ばかりを増幅させたガンのような存在」だとして、「 CVID ・申告・検証」の一方的な圧迫を受け入れるつもりが全くないということを明確にした。 これと関連して談話は「朝鮮半島非核化実現の最短の近道」は「全く新しい方式」で「信頼構築を前面に出して段階的に同時行動の原則に立ち、先に解くことのできる問題から一つずつ解いていくこと」であると重ねて強調した。

 ただし、北側は先に交渉局面を崩す意思はないということを遠回しに強調した。 何よりも北朝鮮は、談話の中で対北制裁解除については一言も触れなかった。「自分の関心事」だけを一方的に押し立てることはしないという示唆だ。 注目すべき部分である。また、談話を外部用である『朝鮮中央通信』にだけ公開し、内部用である『労働新聞』には載せなかった。さらに談話は「私たちはトランプ大統領に対する信頼感をまだ変わりなく抱いている」と強調した。 代わりに「実務的な専門家クラスの古い方式」を批判の対象とした。 トランプ大統領を批判の標的から除く「割り打ち」であり水位調節だ。 それと共に、米国に向かって警告兼訴えを並べている。「米側が焦燥感に捕われて古い方式を強要するならば」、「我々の意志とは別に非核化実現に符合する客観的環境が造成され得ないならば」、「逆風が吹き始めれば、結局互いに他の選択を企てることになり、悲劇的な結果につながることはないだろうという保証はどこにもない」などの文面がそれに当たる。 要するに「相互信頼の構築が朝鮮半島の非核化を推し進めることができる」という6・12共同声明の精神に忠実に、米国も北朝鮮を配慮して問題を解いていくべきだという要求であり、訴えである。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/852382.html韓国語原文入力:2018-07-08 17:00
訳A.K

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