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「トランプは北朝鮮の人権問題に神経を使わないようだ」

登録:2018-07-03 23:40 修正:2018-07-04 06:59
イ・ドンヒョク「 アメリカの声」韓国語放送局長インタビュー
イ・ドンヒョク「アメリカの声」韓国語放送局長=ワシントン/チェ・ウリ記者//ハンギョレ新聞社

 6.12朝米首脳会談以後、朝米関係、南北関係がどのように流れるかに世界が注目している。依然として北朝鮮を信じられないとする強硬派と、今回は信じてみようとする交渉派の声が錯綜している。米国でトランプ行政府の対北朝鮮政策を熱心に取材してきた記者の見解はどうだろうか。

 今月19日、ワシントンで会った「アメリカの声」(VOA・Voice Of America)のイ・ドンヒョク韓国語放送局長は、トランプの対北朝鮮政策が以前の米国大統領とははっきり違うと強調した。何が違うのか。今後の朝米関係はどのように流れるのか。

 イ局長は、体制安定問題に直接言及したのはトランプ行政府が初めてという点に注目した。イ局長は「トランプ大統領は、首脳会談が開かれる前の昨年8月から『北朝鮮内部の政権交替はない』、『統一を加速しない』、『米軍を北朝鮮側に送る口実を探さない』という原則を提案した」と指摘した。だが、これは宥和策ではないという。トランプ大統領の目標は常に非核化にあるということだ。「既存の立場が変わったのではない。北朝鮮に直接介入しなければならない状況が生じないよう圧力を加えるために、一種の誘引策を投げたこと」と説明した。

 また、北朝鮮の人権問題に気を遣っていないという点にも注目した。日本人拉致問題とともに、北朝鮮の人権問題は常に米国内部で対北朝鮮交渉をする際の最終障害物だった。だが、トランプ行政府は人権には無関心だということもイ局長が挙げた今回の交渉の特徴だ。米国の報道機関と見方が同じだった。イ局長は「オバマ行政府における対北朝鮮人権パートが、今はパートタイムの働き口になった。今年初め、脱北者をホワイトハウスに招請したが、政策には見当たらない」として、トランプ行政府は核問題だけを見て協議にはいると予想した。

 イ局長が伝える米国の動きは「半信半疑」だという。ただし、北朝鮮を信じられないとする感情はなかなか手ごわい。中国背後論と北朝鮮悪魔論が、米国の伝統的な視線だ。特に今回の合意案に「完全で検証可能で不可逆的な核廃棄(CVID)」が入れられなかったことも批判を浴びている。だが、少しずつ合意案が履行されるかを見守ってみようという世論が増えているという。

 イ局長は「大統領が行ってすべて署名するわけではないと考える。ひとまず50点程度を与える。国務長官のマイク・ポンペオに多くのものがかかっていると見る。(この言葉は)非核化の兆しが見られず、交渉にならない最悪の場合、軍事的行動をすることもありうるという話」として、期待と憂慮が入り混じった米国の雰囲気を伝えた。

 イ局長は、朝米首脳会談後のトランプ大統領の発言に注目しなければならないと話した。韓米合同演習を中断するという彼の話が、在韓米軍の撤収につながりかねないと慎重に見通した。オバマ行政府まで、米国は常に中国との軍事競争を基本とし、オーストラリアや日本との関係を強化して、環太平洋での在韓米軍の地位を強固にすることに焦点を置いたとすれば、トランプ行政府になってこの概念が変わっていると見た。イ局長は「トランプが言うアメリカ優先主義は、外交安保にも適用される。在韓米軍をコストと考えている。パラダイム自体を違うように見ている」と話した。

 「アメリカの声」は、米連邦政府が運営する国際放送で、北朝鮮住民を対象とする対北朝鮮放送やラジオを運営する機関だ。世界大戦が真っ盛りだった1942年8月に放送を始めた。主に米国と交流がない国に、米国の立場を伝える放送だ。韓国のソウルにも「アメリカの声」の支局がある。<本記事は、韓国言論振興財団KPFディプロマ調査報道教育課程の一つとして作成されました>

ワシントン/チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/851701.html韓国語原文入力:2018-07-03 18:17
訳J.S

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