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「北朝鮮、豊渓里取材に1万ドル要求」の記事、 TV朝鮮の政治部長が自分で書いた

登録:2018-06-22 07:07 修正:2018-06-22 09:15
TV朝鮮、放送通信審議委放送小委で開陳
政治部長「私が書いたも同然」と述べる
放送小委、法定制裁の結論…全体会議に回付
北朝鮮が米国メディアに豊渓里爆破取材費を要求したという単独ニュースを報道したTV朝鮮のニュース画面のキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 誤報の論議が起きた総合編成チャンネル「TV朝鮮」の「北朝鮮、取材費1万ドルを要求」という報道が、放送通信審議委員会(放審委)放送小委で、客観性違反により重懲戒である法定制裁を受けた。

 放審委放送小委は21日に会議を開き、TV朝鮮の報道本部所属チョン・ソギョン副局長とカン・サング政治部長の意見陳述を聞き、多数決でこのように決定して全体会議に付した。TV朝鮮は先月19日の『ニュース7』で「単独ニュース」として、北朝鮮が豊渓里(プンゲリ)核実験場爆破の取材費として米国メディアに1人当たり1万ドルを要求したと報道した。 この日、放送小委に出席したカン・サング政治部長は「私が記事を書いたも同然」として、この記事の作成者が当時レポートをしたオム・ソンソプ記者ではなく自分であることを明らかにした。彼は「TV朝鮮は取材記者、記事を書く記者、読む記者が違うのか」という審議委員の批判に「取材源保護のためにそういう場合もある」と答えた。取材記者が明らかになれば取材源もあらわになり得るということから、取材と記事作成、レポート(読むこと)を分離しているということだ。

 TV朝鮮はこの報道が2人の米国人記者と北朝鮮官僚を取材したものだと主張しながら、米国人記者の名前は明らかにせず「信頼できる記者」とだけ伝えた。しかし、この記者たちは実際に豊渓里の取材には参加しなかった。国内外の他のメディアは、CNNのウィル・リプリー記者など直接豊渓里を取材した外信記者たちから、そのような金は出していないということを確認した。

 この日の審議では、北朝鮮がビザの名目でそのような巨額を公式に要求したのかが争点だった。 ユン・ジョンジュ審議委員は「北朝鮮が1万ドルをビザの名目で要求したと報道すれば、ここで北朝鮮は公式機関を指すことになる。視聴者としてはもどかしい。 根拠となる資料もなしに断定的に書くのは記者の資質でない」と指摘した。 シム・ヨンソプ委員も、米国は北朝鮮と国交を結んだ国家でないためビザ費用が英国など国交のある国と違って高いという点をあげ、社会主義圏の仲介業者費用をもう少し確認して報道すべきだったのではないかと問い質した。シム委員は「ビザ費用に仲介業者費用が入ったものだ。しかし報道は北朝鮮の公式立場と読まれた。金正恩(キム・ジョンウン)委員長が正常国家に進入するために豊渓里核実験場爆破に外信記者を招請しながら1万ドルを要求するというのは、北朝鮮の公式的意思ではないと思われるが」と質問した。TV朝鮮側は「“交渉費用”だ。要求した人が誰かによって違った」と答えた。

 意見陳述を聞いた後、放送小委の審議委員5人のうち2人(ユン・ジョンジュ、ホ・ミスク)は「警告」、1人(シム・ヨンソプ)は「注意」の意見を出した。 警告・注意は法定制裁で、毎年施行される放送評価において減点となる。野党推薦委員であるチョン・グァンサム、パク・サンス委員は「問題なし」の意見を出した。TV朝鮮側は取材源保護などを理由に開陳非公開を要求していたが、ホ・ミスク小委員長は「国民の知る権利と審議過程の透明性のために、公開するのが非公開より公益に合っている」として公開を決定した。

ムン・ヒョンスク先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/media/850102.html韓国語原文入力:2018-06-21 17:56
訳A.K

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