「彼(金正恩北朝鮮国務委員長)にきわめて直接的な電話番号を伝えた。今後は彼に困ったことが起きれば私に電話できるし、私も彼に電話することができる」。ドナルド・トランプ米大統領が15日、米国の記者たちにこのような事実を公開し、実際にトランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長の通話がどのような方式でなされることになるかに関心が集まっている。トランプ大統領は「(米国の“父の日”である)17日に、実際に北朝鮮に電話をかけるだろう」とまで話した。敵対国家の両首脳の間に起きることとしてはきわめて異例だ。
技術的には北朝鮮と米国の首脳間の通話はいくらでも可能だ。北朝鮮からも有線・無線・衛星を通した国際電話をかけられるためだ。米国の通信企業であるAT&Tは、1995年から米国と北朝鮮の間の国際電話サービスを提供している。北朝鮮はまた、2001年には国際衛星通信機構INTELSATに加入した。先月、豊渓里(プンゲリ)の核実験場閉鎖の時も、北朝鮮を訪問した外信記者たちはUSIMチップを入れ替えて各自の本国と通信できた。ただし、北朝鮮国内からの国際電話は、ほとんどが衛星を通じてなされるため品質が劣り、国家安全保衛省が盗聴しているという。金委員長とトランプ大統領の国際電話もまた、このような有線・無線・衛星のうちの一つを利用して可能なわけだ。
トランプ大統領が金委員長に伝えたという「きわめて直接的な番号」は、ホワイトハウスにつながる固定電話の番号である可能性が高く、携帯電話の番号かもしれないという観測もある。よく“ホットライン”と呼ばれる直通電話は、トランプ大統領と金委員長の執務室に盗聴不可能な専用回線を設置するという物理的工事をしなければならないため、首脳会談から間もない状況でこうした方式である可能性は低いと考えられる。それよりは、一般的な首脳たちの間で通話がなされる方式のように、両首脳の状況室間の連結である可能性がより高く見える。
外交問題に精通した元当局者はハンギョレに「韓国の大統領府とホワイトハウスの間でも、両国の状況室に電話をして日程を定め首脳間の通話をするように、朝米間の通話もまた状況室参謀間で連結してなされるのではないか」と話した。これと関連して聯合ニュースは米国政府関係者の話を引用して、トランプ大統領と金委員長が今月12日、シンガポールのカペラホテルで単独会談をしている間、ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官と金委員長の妹である金与正(キム・ヨジョン)労働党中央委第1部長をそれぞれ会談場に呼び、彼らを通じて電話番号をやりとりしたと報道した。
元高位当局者は「トランプ大統領が『直接的な電話番号を伝えた』と言っているのは、直通で電話をやりとりするというよりは『私たちはこのように緊密に疎通している』ということを見せようとしたのではないか」と話した。
トランプ大統領が就任初期にカナダなどの外国首脳にしたように、個人の携帯電話の番号を金委員長に提供したケースもあるが、保安などの理由のために実際には可能性が低いと思われる。米国の情報技術専門紙「ワイアード」は「もしトランプ大統領が本当に個人の番号を金正恩に伝えたとすれば、重大な国家安保情報を露出させたことになる」と指摘した。