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CVIDないが…トランプ大統領「信頼できなければ署名しなかっただろう」

登録:2018-06-13 07:49 修正:2018-06-13 09:31
[朝米“世紀の会談”]共同声明の内容ー非核化
ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が今月12日、シンガポールカペラホテルで首脳会談の結果を盛り込んだ共同宣言に署名した後、笑みを浮かべている=シンガポール/AP、聯合ニュース

 12日、シンガポールで行われた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とドナルド・トランプ米大統領との「世紀の会談」で提示された非核化プロセスは、過渡な単純化のリスクを冒してあえて言うなら「自発的非核化」と暫定的に概念化できる。言い方を変えれば、「金正恩(キム・ジョンウン)の先(非核化)措置とトランプの対応」が好循環する方式だ。

 「そちらが実行した分だけこちらも実行する」という「性悪説」に基づき、2005年6カ国協議での9・19共同声明で「『公約対公約』『行動対行動』の原則」として掲げた「厳格な相互主義」から、「互恵主義」へと転換するわけだ。「性悪説」から「性善説」へのパラダイム転換と言える。「言葉対言葉、行動対行動」は、これまで北朝鮮が強調してきた原則だ。

トランプ、CVIDに関する質問に信頼を強調 
「金委員長は平壌に帰ってすぐに 
科学的に可能な限り早い非核化など 
多くの人が喜ぶプロセスを開始するだろう」" 
 
北朝鮮は核弾頭を含む「実物」を出さず、 
米国は国交正常化・経済制裁解除を出さなかったが 
「金委員長は非核化の約束を再確認し 
トランプ大統領は安全保証提供を約束した 
新しい朝米関係、朝鮮半島・世界平和に貢献」

 例えば、トランプ大統領は金委員長と「共同声明」の合意・署名・発表後に行った記者会見で、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)はどこに行ったのか」という記者団の執拗な追及にも、「(金委員長を)本当に信頼する」、「信頼できなければ署名しなかっただろう」、「金委員長の(核廃棄への)意志を確認した」と繰り返し強調した。金委員長は「私たちの足を引っ張る過去、目と耳を塞ぐ偏見と慣行をすべて乗り越え、ここまで来た」とし、「世界はおそらく重大な変化を見ることになるだろう」と決然たる意志を明らかにした。

 実際、金正恩委員長は、核弾頭を含めた“実物”を提示しなかった。トランプ大統領も、朝米国交正常化や対北朝鮮経済制裁の解除など“実物”を渡さなかった。にもかかわらず、両首脳が「成功的な会談」と評価するのは、このような共感があったためとみえる。非核化関連の具体的・画期的処置が公表されなかったとしても、“見掛け倒しの会談”とは言い切れない情況だ。

 金委員長とトランプ大統領の会談後に公開された「共同声明」に盛り込まれた非核化関連の文言は、前文に二つ、本文に一つの合わせて三つだ。「4・27板門店(パンムンジョム)宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力することを約束する」(第3項)は、“目標”の規定だ。板門店宣言は「完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」(第3条4項)と明記している。「完全な非核化」がCVIDを念頭に置いたものなら、「核のない朝鮮半島」は「朝鮮半島非核化共同宣言」(1991年12月31日採択)を念頭に置いた表現だ。朝鮮半島非核化共同宣言は、核兵器の実験や製造、生産、持ち込み、保有、保存、配備、使用の禁止(第1条)と核再処理施設とウラン濃縮施設の保有禁止(第2条)を規定している。

 このような非核化の目標を達成する朝米の態度と方法論は、前文の2つの文言に盛り込まれている。「互恵」と「信頼」がそのキーワードだ。「金正恩委員長は、朝鮮半島の完全な非核化に向けて、揺らぐことのない確固たる約束を再確認した」というのは、「トランプ大統領は、北朝鮮の体制保証を提供することを約束しており」という文言と一対になっている。「非核化-体制保証」の交換だ。まさに「互恵」だ。「相互信頼の構築(mutual confidence building)が朝鮮半島の非核化を促進できると認める」という文言も、「新たな朝米関係の樹立が朝鮮半島と世界平和、繁栄に貢献すると確信」するという文言と対をなしている。

 金委員長とトランプ大統領が「直談判」によって交感した非核化プロセスの核心的な動力源であり、方法論は、結局「相互信頼の構築が促進する非核化」だ。これまでのやり方で、ただし、さらにスピードをあげて取り組んでいくということだ。

 例えば、金委員長は4月20日の労働党中央委員会第7期3回全員会議で、「経済・核武力建設の並進路線」の終了を宣言し、核実験や大陸間弾道ミサイル試験発射の中断▽北部(豊渓里)核実験場の廃棄などを約束・実践した。それ受け、トランプ大統領は5月10日、朝米首脳会談の時間と場所を確定発表した。トランプ大統領は同日、会談後の記者会見で「金委員長がミサイルエンジン実験場の閉鎖を約束した。(平壌に)到着した直後、多くの人たちが喜ぶプロセスを開始するだろう」と強調した。金委員長が追加の非核化措置を(自発的に)取るという予告だ。そして、「非核化は時間がかかるが、機械的・物理的・科学的に可能な限り速く進めるだろう」とし、「後戻りはできないだろうと判断した場合は、制裁を解除することもあり得る」と付け加えた。

 イ・ジョンソク元統一部長官は「トランプ大統領が、金委員長が提案した“自発的非核化”方式に共感したようだ」とし、「金委員長が近く今回の協議の成果を基に、かなり画期的な処置を取るものと見られる」と話した。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/848841.html韓国語原文入力:2018-06-13 04:59
訳H.J

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