北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とドナルド・トランプ米大統領が12日、シンガポールで開かれた首脳会談で、高官級後続協議をできるだけ早期に開催することに合意したことで、朝米関係の正常化や朝鮮半島平和体制の構築および非核化に向けた具体的な交渉がまもなく始まるものと予想される。共同声明には包括的な内容を盛り込み、高官級後続交渉では具体的なロードマップを作っていく「シンガポール・プロセス」が作動するわけだ。トランプ大統領はこれに先立ち、朝米首脳会談を「成功的なプロセスの始まり」と表現した。
両首脳は同日発表した共同声明で「今回の首脳会談の成果を履行するため、マイク・ポンペオ国務長官と、それに相応する北朝鮮高官級との間で、できるだけ早期に後続会談を開くことで合意した」と明らかにした。トランプ大統領は引き続き行われた記者会見で「早ければ来週会談が開かれる」と述べ、後続交渉が速度戦の様相を帯びることを予告した。
高官級後続会談では、共同声明に盛り込まれなかった終戦宣言を含む朝米関係正常化の日程と方法、北朝鮮の核兵器および大陸間弾道ミサイルの廃棄および搬出のロードマップなどに関する実質的な協議が行われるものとみられる。金委員長が首脳会談で「世界はおそらく重大な変化を見ることになるだろう」と公言しただけに、後続会談は具体的な行動や処置に繋がる公算が大きい。
共同声明で、米国側が高官級後続会談の主体としてポンペオ長官を明示したものの、北朝鮮側の相手は明らかになっていないことが目を引く。これまで、ポンペオ長官とタッグを組んでいた金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長兼統一戦線部長の代わりに他の人物が担当する可能性を示すものと見られる。専門家らは、もし金英哲副委員長でないなら、リ・スヨン労働党副委員長兼国際部長やリ・ヨンホ外務相が乗り出す可能性もあると予測している。ポンペオ長官は、その性格上外務長官に当たるが、米国行政部の中での序列はそれより高いためだ。北朝鮮の核交渉過程を見守ってきたある外交官は「ポンペオ長官がCIA部長時代に金英哲副委員長と結んだ“情報対情報”の関係を“政府対政府”という一般的な形に切り替えようとしているのかもしれない」とし、「金副委員長が直接乗り出さなくても、ポンペオ長官と築いた信頼をもとに、後続会談でも影響力を行使するだろう」と話した。
両首脳が早期の後続会談に合意したことには、共同声明を速やかに履行するという意志が反映されている。金委員長は合意を徹底的に履行する課題点検型スタイルとして知られている。今回も速やかな履行を通じて、国際社会で自分に対する信頼を築いていくものとみられる。トランプ大統領の履行の意志は、米国内の政治日程も考慮したものと言える。中間選挙を控えている彼にとっては、今回の首脳会談が実質的な進展を担保したことを誇示し、これを立証する必要がある。ポンペオ長官を首脳会談直後に韓国と日本に派遣し、会談の結果を説明するのも、迅速な履行に向けたシグナルと言える。