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[インタビュー]「チョ統一部長官に迅速な対北朝鮮人道支援を要請する」

登録:2018-06-05 05:35 修正:2018-06-05 06:59
マウラー国際赤十字委員会総裁、記者会見で 
「人道主義支援は条件なしで行うべき 
飲み水や保健、医療などに大きく影響する 
機械の輸入関連の制裁は解除すべき」
今月4日、ソウル明洞のホテルで韓国マスコミとのインタビューに応じたペ―ター・マウラー国際赤十字委員会総裁=ノ・ジウォン記者//ハンギョレ新聞社

 「離散家族再会を含め、(対北朝鮮)人道主義的支援は条件なしで行われるべきだ」

 ペーター・マウラー国際赤十字委員会総裁は4日午前、ソウル明洞(ミョンドン)のあるホテルで行われた韓国メディアとのインタビューで、北朝鮮に対する人道主義支援事業が政治的状況に関係なく独立的に進められるべきだという点を強調した。政府は昨年9月、北朝鮮の乳幼児や妊婦らなど脆弱階層に対する人道主義支援事業を行う国際機関を通じて、北朝鮮に800万ドルを支援すると発表した。当時、統一部は「対北朝鮮人道主義支援は、政治・軍事状況と関係なく、引き続き推進するというのが政府の原則」だと明らかにした。しかし、それから8カ月が経ったにもかかわらず、約束は守られていない。

 マウラー総裁は訪韓期間中、チョ・ミョンギュン統一部長官と面会し、「できるだけ早く人道的主義支援が行われなければならず、すでに(支援が)行われるべきだったと話すつもり」だと語った。「人道主義的問題の解決は独立的なスピードで進めなければならない。朝鮮半島には急がれる人道主義問題がある」とも話した。

ペーター・マウラー国際赤十字委員会総裁=ノ・ジウォン記者//ハンギョレ新聞社

 ここ数年間、北朝鮮の核実験が続いたことで、国際社会の対北朝鮮経済制裁は一層強化された。彼は今後の情勢変化によって「北朝鮮住民に否定的な影響を与える制裁をできるだけ早く緩和すべきだと呼びかけたい。小さなことが北朝鮮の人道主義状況に否定的な影響を与える。基本的な生計の維持や飲み水の衛生、保健、食糧などと関連した事案は、経済制裁から排除されなければならない」と述べた。さらに、「制裁のうち最も大きな影響を与えている分野は、機械の輸入に関するもの」だとし、「この制裁によって、飲み水や保健施設、薬品、医療装備の生産に制約が生じている。この分野の制裁は排除されるべきだ」と強調した。

 彼は、南北首脳が4・27板門店(パンムンジョム)宣言で合意した通り、8・15離散家族再会行事が進められた場合、国際赤十字委員会が支援できる部分があると説明した。彼は「我々は離散家族再会に関する経験が多い。離れて暮らしてきた家族の心理的社会的支援に対する経験が豊富だ。家族が長く引き離されてから再会すると、感情的な困難を経験する場合が多い。これに対する支援を行う」として、意欲を示した。

 集団脱北した柳京レストラン(中国にある北朝鮮の海外レストラン)従業員に対する北朝鮮の送還要求については、「この問題は政治的問題と人道的な問題が交差する地点にある。国際赤十字委員会には仲介役を果たす用意がある。従業員たちがどこに行きたいのか、客観的な意思判断に役立つと思う」と述べた。

 スイスの外交官出身のマウラー総裁は、スイスの外務次官を歴任し、2012年7月から国際赤十字委員会総裁を務めている。1863年に設立された国際赤十字委員会は、2002年に平壌(ピョンヤン)に事務所を開き、リハビリや整形外科診療活動などを行っている。平壌事務所には、北朝鮮赤十字社から派遣された現地職員15人と国際職員6人が勤務している。

ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/847652.html韓国語原文入力:2018-06-04 21:18
訳H.J

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