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[インタビュー」「朝米首脳会談で相互連絡事務所合意しても驚くべきことではない」

登録:2018-05-03 06:43 修正:2018-05-03 13:17
米国の朝鮮半島専門家、トニー・ナムグン元副所長
トニー・ナムグン元UCバークレー韓国学研究所副所長=イ・ヨンイン特派員//ハンギョレ新聞社

 南北首脳会談に次ぐ史上初の朝米首脳会談を控え、トニー・ナムグン元UCバークレー韓国学研究所副所長は、ハンギョレとのインタビューで、「朝米首脳会談で相互連絡事務所の設置に合意しても、驚くべきことではない」と話した。ナムグン元副所長とのインタビューは1日(現地時間)、ワシントン市内のホテルで行われた。ナムグン元副所長は1994年のジミー・カーター元米大統領の訪朝や2010年米国人記者の釈放などにおいて、南北米の間で核心的仲裁の役割を果たし、ドナルド・トランプ政権発足後も、朝米間交渉の突破口を開くのにかなりの役割を果たした。

板門店宣言の特徴は 
「統一」という言葉かなり減り 
北朝鮮、韓国を同等のパートナーとして受け入れた 
 
米国人3人を釈放? 
北朝鮮、すでに人道主義的処置を示唆 
時期はまだ分からないが、当然釈放するだろう 
 
トランプ大統領が首脳会談を受け入れた背景とは 
前任者らの「罪と罰」モデルとは異なり 
トランプ大統領は北朝鮮を交渉パートナーとして認める 
 
非核化の完了時点は 
朝米が相手の要求をいかに受け入れるかにかかっている 
トランプ大統領、相応の見返り提供する意思示し 
段階的核廃棄の不可避性を理解している

 -南北首脳会談の結果の最も特徴的な側面があるとすれば?

 「『板門店(パンムンジョム)宣言』について、過去の南北関係に関する宣言・声明と酷似していると主張する人がいるが、私の観点ではかなり違う。まず『統一』という言葉がタイトルと本文で1、2回登場しただけで、以前に比べ、ほとんど見当たらない。これは、北朝鮮が韓国を対等なパートナーとして受け入れており、米国の一部ではなく、別の主権国家として認めているという意味だ。北朝鮮はこれまで韓国を米国の傀儡政権、正統性のない国家と規定してきた」

 -米朝首脳会談を控えて北朝鮮に抑留中の米国人3人の釈放問題が取り上げられている。

 「時期は分からないが、当然、解放するだろう。北朝鮮はすでに昨年10月に釈放を示唆した。当時、北朝鮮は米軍の遺骸発掘事業、在米離散家族再会など、いくつかの人道主義的処置を取る可能性をほのめかした」

 -北朝鮮の公開的な言及はなかったと思うが。

 「もちろん非公開だった。したがって、抑留中の米国人3人は首脳会談の前になるか、首脳会談の時になるかは分からないが、必ず解放するだろう」

 -トランプ大統領が首脳会談を衝動的に受け入れたという批判が相変わらずある。

 「それは全く違う。トランプ大統領は自分がやっていることを正確に把握している。彼のアプローチは前任者らとは異なる。前任者らは北朝鮮を犯罪者扱いしてきた。北朝鮮が罪を犯したから、罪を認めれば、補償を与えるという、いわゆる『罪と罰』モデルだった。しかし、トランプ大統領はビジネスパートナーのように北朝鮮と交渉しようとしている。同等なパートナーとして北朝鮮を扱っている。彼は昨年このようなメッセージを明確に北朝鮮に伝えた。このような理由から、北朝鮮が交渉の場に出てくるようになり、劇的な提案をしたと思う」

 -朝米首脳会談の事前接触で、非核化の完了時期が争点になっているようだ。

 「非核化にどれだけ時間がかかるかは、朝米の両指導者がどれほど素早く相手の要求を受け入れるかにかかっている。したがって、速やかに非核化が行われることも、長い間進展が見られないこともあり得る。今年、中間選挙や2020年の大統領選挙など、国内で直面する政治的圧力を考慮すれば、トランプ大統領は速やかに動くことを望んでいるだろうし、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長も迅速に動き出そうとしているだろう」

 -北朝鮮が非核化を引き延ばそうとするというのがワシントンの専門家らの大方の見解だ。

 「専門家らはこの30年間ずっと間違っており、今も間違っている。北朝鮮は、誰も自分を攻撃しようとしないなら、核兵器とミサイルは必要ないと、一貫して主張してきた。これらの武器は高く、国家経済を蝕むものだと言っている。したがって、トランプ大統領が北朝鮮を攻撃せず、体制の転覆などに関心がなく、国際社会での平等の主権国家として共に平和に暮らす、この三つを提供すれば、金委員長も米国に同じ種類の見返りを与えるだろう」

 -米国は北朝鮮が要求する段階的・同時的非核化方式を受け入れないという立場だ。

 「マイク・ポンペオ国務長官が4月29日にABC放送と行ったインタビューを注意深く見ると、ポンペオ長官も段階的方式にならざるを得ないことを理解している。もちろん究極的目標はCVID(完全かつ検証可能で、不可逆的な核廃棄)だが、ポンペオ長官や政府、トランプ大統領も、数カ月以内にCVIDが実現できないことを理解していると確信している。その点には疑いの余地がない」

 -インタビューを見ると、ボルトン・ホワイトハウス国家安保補佐官はかなり強硬だ。

 「いかなる方式で非核化を進めるかは、大統領が決める。緊張が高まった昨年にも、トランプ大統領は北朝鮮にそれ相応の見返りを提供する意向を伝えた。非核化の準備ができているなら、米国も以前に提案したもの以上に多くのものを提供する準備ができているということだった。このメッセージはとても明確に伝えられた」

 -米国の中間選挙を控え、北朝鮮核問題が政争の対象になっているようだ。

 「北朝鮮が核施設の閉鎖を提案したことについて、ある人たちは、北朝鮮が再び核開発を始められるのではないかと言っている。もちろんだ。しかし、このような類の批判は果てしない論争につながるだけだ。これはほんの初期措置だ。その次にミサイル関連措置を取ることも、他の重大措置を取ることもありうる。米国はその見返りとして連絡事務所の設置を提案する可能性もある。首脳会談で相互連絡事務所の設置に合意しても驚くべきことではない。米国が戦略的決定をしたからこそ、北朝鮮も戦略的決定を下したのだ」

ワシントン/イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/843018.html韓国語原文入力:2018-05-02 21:37
訳H.J

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