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トランプ大統領、核をめぐる朝米談判の前に「朝中密着」をけん制

登録:2018-05-23 05:41 修正:2018-05-23 08:03
トランプ大統領の相次ぐ中国警告の理由とは 
朝中会談後に北朝鮮が強硬態度に転じたことを受け 
「中国の制裁緩和説」流し警告 
 
中国、「非核化の方法論」で北朝鮮と歩調合せており 
朝米会談で米国に不利と判断したもよう 
「韓米対朝中」構図に備えた布石
ドナルド・トランプ米大統領が今月20日(現地時間)、ツイッターで「交渉が妥結されるまで中国は朝中国境に対する統制を強くして厳格に維持しなければならない」と明らかにした。写真は今月17日、トランプ大統領がホワイトハウスのキャビネット・ルームで発言する姿/聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領が来月12日に予定された朝米首脳会談を控え、連日中国を攻撃している。首脳会談の中止もあり得るという北朝鮮の強硬な立場表明の背後には、中国の習近平国家主席があるとして「中国黒幕説」を提起したのに続き、中国が北朝鮮との国境管理を緩めているとして「制裁緩和説」まで主張した。北朝鮮の完全な核廃棄に向け、韓国と共に北朝鮮に対する最大の圧力を維持するという米国の戦略に中国が影響を及ぼさないよう牽制しているものとみられる。

 トランプ大統領は20日(現地時間)、ツイッターに「中国は北朝鮮との国境を引き続き厳重に維持しなければならない。最近、国境により多くの穴があき、より多くのものが流れ込んでいるという噂が流れている」という書き込みを掲載した。また、「私はこのようなことが起きるのを望んでいる。しかし、それは(核廃棄協定に)署名してからのことだ!」と付け加えた。中国が北朝鮮に勝手口を開けておいたのではないかという疑問を呈し、北朝鮮と非核化に合意するまでは、対北朝鮮制裁の隊列から離脱してはならないと警告したのだ。

 トランプ大統領はこれに先立ち、北朝鮮の態度変化の背後には習主席がいるとし、黒幕説を提起した。彼は「金正恩(キム・ジョンウン)は、習主席と2度にわたり会談をした。それは少なからず“電撃的な”ものだった。その後、大きな変化が生じた」と話した。「北朝鮮の態度変化は典型的な手法なのか」という質問に対する答だった。金正恩委員長の要求で開かれた2度目の首脳会談で、習近平主席は米国と非核化に合意すれば、非核化が完了する前でも経済支援を行うことができると約束したと、日本のマスコミが報じた。トランプ大統領は、そのような中国の“援護射撃”が北朝鮮の強硬な態度に影響を与えたという疑念を抱いているものとみられる。

 トランプ大統領の疑念にもかかわらず、中国は依然として対北朝鮮制裁の大きな枠組みを維持しているというのが、大方の見解だ。今年3月の朝中貿易を見ると、北朝鮮の対中国輸出は前年より16分の1の水準である1180万ドルまで低下した。習主席は今月16日、中国を訪問中の北朝鮮労働党の親善参観団と面会し、中国式改革・開放路線を手本として提示しながら支持を約束したが、これは国連安全保障理事会レベルの対北朝鮮制裁決議に抵触しないというのが、中国の一貫した立場だ。

 しかし、中国が非核化の方法論において、北朝鮮同様「段階的かつ同時的処置」を掲げているという点で、米国と対立しているのは明らかだ。朝米首脳会談で北朝鮮と米国の隔たりが埋められない場合、このような中国の態度は北朝鮮の抵抗力を高める方向に作用しうる。北朝鮮が米国の非核化圧迫を緩和あるいは迂回するために、中国の支援を期待できるからだ。イ・ナムジュ聖公会大学教授は「トランプ大統領の警告は、来る朝米首脳会談とその後の北朝鮮との交渉過程で、中国が米国と歩調を合わせなければならないということを強調するためとみられる」とし、「中国としては、対北朝鮮制裁を維持しながらも、北朝鮮に融通を利かせる要素がなくはない」と話した。

 朝中関係は最近、戦略的な意味で韓米関係に匹敵する水準に回復された。習主席は朝中関係を「この世に唯一無二のもの」(3月)だとし、「運命共同体、変わらず唇歯の関係」(5月)だと述べた。金委員長は韓米関係同様の朝中関係を構築することで、非核化とその後の過程で利益バランスを取ろうとしている。朝米首脳会談をめぐる情勢が南北と米国、中国の戦略的利害が絡み合い、複雑な様相を帯びている。

ユ・ガンムン先任記者、北京/キム・ウェヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/845744.html韓国語原文入力:2018-05-22 22:16
訳H.J

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