北朝鮮が16日、突然の南北高官級会談の無期限延期を通知する際、韓米空軍による「マックスサンダー」演習を問題視したことで、同訓練について関心が集まっている。
マックスサンダーは2009年から始まった大規模な韓米連合空中演習だ。韓米空軍は、毎年2回連合空中演習を実施して来た。上半期にはマックスサンダー、下半期には「ビジラントエース」だ。今年マックスサンダーは11日から25日まで行われる。通常毎年5月に行われるマックスサンダー演習にはF-15KやF-16、EA-16など、韓米空軍の航空機約100機が参加してきた。兵力は昨年の場合、米軍1200人と韓国軍640人が参加したと、AP通信が報じた。演習は「レッドエア」と「ブルーエア」に分かれて模擬空中戦や空対地攻撃任務などを遂行する方式で進められているという。
韓米軍当局はマックスサンダーが定例の防御的演習であることを強調している。国防部は、北朝鮮が「空中先制打撃と制空権の掌握」のための演習だと非難したことに対し、「パイロットの技量向上に向けた演習で、作戦計画の施行や攻撃訓練ではない」と反論した。米国防総省のロバート・マニング報道官も「演習の目的は、韓米同盟が韓国を防衛する能力と共に、準備態勢と相互運用能力を向上させることにある」とし、防衛目的であることを強調した。
北朝鮮は今回マックスサンダー演習を問題視したものの、論点や事実関係では弱点を露呈した。「朝鮮中央通信」は今回の演習に対して「内外世論は歴代最大規模と評価する」と報道した。しかし、軍当局者はこれに対し、「今年の演習に参加する航空機と兵力は例年水準」だと反論した。「朝鮮中央通信」は、今回の訓練が「板門店(パンムンジョム)宣言に対する露骨な挑戦」とも主張した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長の4・27板門店宣言は「軍事的緊張を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するために、共同で努力していく」と規定しているが、このように抽象的な内容が定期的な訓練の即時中止までを意味するのかは疑問だ。
「朝鮮中央通信」は、同日午後に発表した別の論評では、「米国が朝米首脳会談が迫る中、B-52戦略核爆撃機とF-22ラプターステルス戦闘機を含めた核戦略資産を投入し、歴代最大規模の訓練を展開するのは、朝鮮半島の平和と安全保障、対話ムードに反する極めて挑発的で不当な行為」だと主張した。しかし、B-52は今回の演習に参加しないと軍当局者が同日明らかにした。B-52は核弾頭の空中発射巡航ミサイル(ALCM)を20発まで搭載できる米空軍の主要核戦力であり、2008年のマックスサンダー演習に参加したことがある。
北朝鮮はこれまでマックスサンダー演習を含め、韓米合同演習の実施に強く反発してきた。しかし、チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長が今年3月に訪朝した際、「金正恩国務委員長が『韓米合同演習が定例的に行われていることを理解する』と述べた」と話しており、実際、北朝鮮は4月キーリゾルブ演習とトクスリ演習に対し、これといった問題提起をしなかった。15日午前、「南北高官級会談を16日に開こう」と南側に提案してから、1日も経たないうちに4日前の11日から実施されているマックスサンダー演習を、いまさら問題視することも常識とは思えない。マックスサンダー演習そのものよりも、最近の朝米交渉が思い通り進まないことに対する不満の表れと見られているのもそのためだ。
今回の演習にはいくつか目を引く点もある。まず、最強のステルス戦闘機F-22が8機が加わった。空軍関係者は「ビジラントエースの場合、昨年12月の練習の際、F-22ラプター6機が参加したことがあるが、マックスサンダー演習にF-22が参加するのは初めて」だと話した。「朝鮮中央通信」が同日、F-22を具体的に挙げて警戒感を示したのは、F-22が敵のレーダー網をくぐりぬけて浸透し、核とミサイル基地など核心施設を精密打撃できる能力などを念頭に置いたものとみられる。F-22は実際の敵の核心指揮部を除去するいわゆる「斬首作戦」の遂行に最も適した機種といわれている。