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北朝鮮・イランに「核武装解除」要求し核戦力育成する米国

登録:2018-05-16 06:28 修正:2018-05-16 07:04
先週、次世代核兵器開発計画を発表 
下院軍事小委員会も低強度核兵器計画を承認 
民主党議員「核戦争の中に足踏み外す恐れも」
米国サウスカロライナ州にある米エネルギー省のサバンナリバー核施設の全景=サバンナリバー核施設ホームページからキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 米国が北朝鮮やイランなどには核武装解除を圧迫しながらも、内部的には核戦力を増強していると、ニューヨークタイムズ紙が14日(現地時間)付で報道した。表裏の差が激しいと皮肉を言ったのだ。

 今月10日午後、米国防部とエネルギー省はサウスカロライナ州サバンナリバー核施設で次世代核兵器開発計画を発表した。ここでは老朽化した核兵器を原子炉の燃料に変える施設の建設が進められていた。新しい計画はここを古い核兵器を使用可能な核兵器に生まれ変わらせる施設に用途を変えるというものだ。同発表は、ドナルド・トランプ大統領が非核化を核心テーマにした朝米首脳会談が6月12日にシンガポールで開かれるとツイッターで知らせてから数時間後に行われた。

 同発表には、原子力専門家らが「ピット」と呼ぶ核心部品を生産する内容が含まれている。核弾頭内に装着する小さな原爆を意味するピットは、大きさは普通オレンジほどだが、爆発力は広島に投下された原爆の1000倍に達する。長距離ミサイルに核弾頭を搭載するのに必要な小型化・軽量化と直結する部品だ。米国政府は毎年80個のピットを生産する計画も一緒に発表した。サバンナリバー核施設で50個、核兵器研究所があるロスアラモスで30個を作る予定だ。

 米国議会も先週の核戦力強化処置を行った。下院軍事委員会傘下の戦略兵力小委員会は、潜水艦から発射する新たな低強度核兵器を開発する政府の計画を承認した。共和党所属のマイク・ロジャース小委員長は「今回の決定は、ロシアとの軍備競争に対応するためのもの」だと述べた。これに先立ち、ロシアのプーチン大統領は今年3月初め、「世界どこへでも到達できる無敵のクルーズ核ミサイルを開発した」と発表した。その直後、トランプ大統領はプーチン大統領との電話会談で「軍備競争を望むなら、受けて立つ。我々が勝つだろう」と述べたと、海外メディアが報じた。

 米国のこのような動きは、イランの核協定など国際社会と結んだ約束を一方的に破棄し、イランなどに非核化を圧迫している中で出たものだ。トランプ大統領は、国連安全保障理事会常任理事国にドイツを加えた5カ国とイランが2015年7月に結んだイラン核協定について、一定期間が過ぎれば核計画の規制が解除される条項などを問題視し、8日に脱退を宣言した。米国はまた、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との首脳会談を控え、「北朝鮮の核兵器を解体して米国テネシー州オークリッジに持っていく必要がある」とし、「完全な非核化」を強調した。現行の核拡散禁止条約(NPT)は米国やロシア、中国、英国、フランスなど5カ国の核保有のみを認めている。

 ピットの生産を増やして低強度核兵器の開発を目指す米国の新たな核戦略は、今年2月に発表された米国防総省の「核態勢見直し」(NPR)に盛り込まれた。同報告書について、下院軍事委員会の民主党幹事であるアダム・スミス議員は「抑止能力は必要だが、核態勢見直しは明らかに核抑止力を超えるものだ。核戦争の中に足を踏み外す恐れもある」と批判した。

ファン・ジュンボム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/844751.html韓国語原文入力:2018-05-15 20:59
訳H.J

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