本文に移動

「名ばかり社長」製靴工のストライキ「8年間の奴隷契約もう終りに」

登録:2018-04-19 23:15 修正:2018-04-20 09:13
有名ブランド・タンディの下請け労働者98人
「直接雇用せよ」とスト10日目
タンディ、18年前に小社長制に変え請負
仕事は同一だが労働者でないため
4大保険・退職金・労災補償から除外され
一足当りの工賃6500ウォンは8年間変わらず
製靴会社タンディの製靴工98人が6日からストライキに入り、10日になる。 16日午後、ストライキ中のソウル市冠岳区の製靴工場のようす=パク・チョンシク記者 //ハンギョレ新聞社

 韓国の手製靴の有名ブランドであるタンディの製靴工キム・ヨンイルさん(49)は、2000年のことを忘れることができない。多くの製靴会社が労務費用を減らすとして製靴工を「小社長」にし、請負契約を結んだ年だ。勤労所得税を納めていた正規職製靴工は、この時いきなり「社長」となった。当時キムさんは事業者登録を避けて退社し、零細企業で働いていたが、2003年からはそれすらも難しくなった。キムさんは「小社長にならなければどこに行っても“靴の仕事”をすることができなかった」と回想した。社長になって15年の彼は、再び労働者になるために街頭に立った。

 16日、民主労総ソウル一般労組製靴支部は、製靴会社タンディの下請け製靴工(小社長)98人が6日からストライキ中だと明らかにした。チョン・ギマン製靴支部長は「裁判所は『請負製靴工は実質的労働者』と判決したが、小社長制は変わっていない。タンディは手製靴で金を儲けながらも製靴工は奴隷扱いだ」として、ストライキの理由を明らかにした。昨年1月、タンディ退職製靴工9人は会社を相手取った退職金請求訴訟控訴審で、労働者性を認められ勝訴した。

 製靴支部の要求は明確だ。名ばかりの小社長制を廃止し、タンディが製靴工を直接雇用せよということだ。タンディの製靴工は会社が注文書とともに配分した仕事量に合わせて靴を作っているにもかかわらず、法的に労働者でないという理由で有給休暇と4大保険、退職金等の保障を受けることができなかった。一足当たりの工賃が6500ウォンのまま8年になるのに、会社と交渉を試みることすらできなかった背景だ。

16日午後、ソウル市冠岳区のタンディ製靴工場の作業台に原材料が積んである。製靴業体タンディの製靴工98人は6日からストライキに入り10日になる=パク・チョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 経歴32年の製靴工パク・ワンギュさん(49)は、これまで元請けの横暴に抵抗できなかった理由として小社長制を挙げた。彼は「私たちが社長でなく労働者だったら、労働法の保護を受けて交渉し、工賃を引き上げ退職金ももらえただろう」と言った。低賃金・長時間労働などを解消するには労働者と認められることが先決問題だという主張だ。実際、彼らは労働条件改善要求どころか、いつも会社の顔色を伺わなければならなかった。パクさんは「2年前、不良品が一つあったとして私の賃金から販売価30万ウォン(約3万円)を控除するという会社の方針に反発して不利益を受けた。会社は一日25足作る私に一日5足だけ配分するというやり方をした」と話す。

 仕事でケガをしても労災補償要求ができないのはまた別の問題だ。35年経歴の製靴工アン・ジュンホさん(56)は5年前、靴に付いた異物を取る際に使用する油の容器が爆発して手の甲に火傷を負った。アンさんは火傷の治療のために一カ月仕事を休んだが、“労働者”でなかったため、勤労福祉公団から平均賃金の70%水準で支給する休業給与を受けることができなかった。彼は「親しい管理者がいて生活費100万ウォン(約10万円)を別に用意してくれたが、全く足りなかった。それすらも管理者と親しくなかったらもらえなかっただろう」と言う。

 3年前、彼らは民主労総製靴支部に加入しようとしたが、会社側が「労組に加入すれば一緒に作業するわけにはいかない」と言うので加入を取り消したことがある。スト開始と同時に組合員になった彼らは「今度ばかりは製靴業界から小社長制が消えるまで闘争する」という立場だ。民主労総製靴支部は、労働者地位確認訴訟など法的措置も進める予定だ。

 タンディ労働者小社長制廃止等の要求などと関連して、タンディの広報チームは何ら立場を明らかにしていない。

イ・ジヘ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/840823.html韓国語原文入力:2018-04-17 10:37
訳A.K

関連記事