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元請け・発注者にも産業安全の責任負わせる

登録:2017-07-04 04:05 修正:2017-07-04 07:40
文大統領「労災に対する元請けの責任を強化」 
大統領選挙の時の「危険の外注化防止法」公約に基づき 
元請けだけでなく、発注者にも責任問うことに 
作業中止解除の際には労働者の意見を聞くことに 
大型人命事故の際には国民参加の調査委員会を設置 
文大統領「国民が納得するまで調査」 
雇用部、今月中に総合対策を発表
世界労働災害労働者追悼の日(4月28日)を控え、全国民主労働組合総連盟が4月26日午後、ソウル鐘路の普信閣前で闘争決議大会を開き、「健全な職場と安全な社会」のための改革を求めている= キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が3日、「労働災害対策のパラダイムの転換」を宣言し、「元請けの責任」を強調した背景には、労災の構造的原因を提供する元請け業者と発注者が変わらない限り、「経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で労災による死亡率1位」という汚名を返上できないという問題意識がある。これまでは事故が発生しても、元請け会社や発注者は十分に処罰されなかったため、「危険の外注化」が続いてきたということだ。

■元請け越えて発注者にまで責任を問う

 これまで産業現場で「危険の外注化」に関する指摘が絶えなかった。昨年、九宜(クウィ)駅の乗り場に設置されたホームドア事件の場合も、ソウルメトロ(今のソウル交通公社)が費用削減のため、乗り場の整備業務を外注化し、委託先は低賃金で青年労働者に“危険業務”を任せたという批判を受けた。このような危険の外注化は、統計にも表れている。雇用労働部傘下の安全保健公団の研究資料によると、2015年基準で労働者1万人当たり労災で死亡した元請け労働者は0.05人だった一方、社内下請け労働者は0.39人で、8倍に達することが分かった。

 このような状況にも関わらず、労災事故に対する元請け業者に対する処罰は極めて“軽い”ものだった。2012年、LG化学清州(チョンジュ)工場で発生したジオキサン爆発事故で、労働者8人が死亡し、3人が負傷したが、元請け会社であるLG化学は検察で無嫌疑処分を受けており、翌年労働者7人が死亡したソウル鷺梁津(ノリャンジン)地下鉄工事現場の水没事故でも、元請けのソウル市上下水道管理本部の工事管理官は無罪を言い渡された。

 文大統領は、元・下請け会社の責任を越えて発注者にまで労災の責任を問うと明らかにした。文大統領は大統領選挙過程で、元請事業主と事業に関連したすべての下請け・特殊雇用労働者などを、「産業安全保健法」の「労働者」に見なす内容の「危険の外注化防止法」を制定・改正すると公約した。これに加えて建設現場で工事を発注する発注者が、安全管理の能力を備えた会社に施工を任せるようにすると共に、安全作業計画を作成するように明示し、発注者がこれを管理することで、労災を予防する責任を発注者にも負わせることにした。これにより発注者の工期短縮や設計変更の要求による労災の場合、発注者もその責任を問われることになる。雇用部の関係者は「事業場の中だけでなく、外で危険を誘発する存在に対しても、安全責任を負わせるという意味」だと説明した。

■「作業中止」解除の際、労働者の意見を聞くことに

 文大統領は同日、「作業中止」を解除する際に、労働者たちの意見を反映するようにすると明らかにした。これは文大統領の大統領選挙公約にも含まれている内容だ。雇用労働部は産業災害が発生した場合、該当事業場に「作業中止」の命令を下してきたが、今までは勤労監督官が事業主と協議して決定したため、安全が保障されない場合が多かった。文大統領が同日、直接言及した今年5月1日の巨済(コジェ)サムスン重工業クレーン転倒事故の場合、下請け労働者6人が死亡し、25人が負傷したが、雇用部はそれから14日後に作業中止を全面解除した。ところが、作業中止期間中にも墜落・火災事故が発生しており、作業中止後も大小の事故が続いて波紋を呼んだ。雇用部の関係者は「現場にいる作業者たちが実際に安全だと感じる時に、作業中止を解除するということ」だと説明した。

■大型労災は「国民が納得するまで」調査

 文大統領が「政府の最優先価値は国民の生命を守ること」だと明らかにしただけに、大型人命事故や社会的影響が大きい労災事故が発生した場合は、「国民調査委員会」を構成し、調査過程に国民を参加させるとした点も注目すべきだ。昨年の九宜駅事故当時、ソウル市が労働組合・市民団体などが参加する真相調査委員会を立ち上げ、事故原因の分析や安全・生命業務における直接雇用など、今後の対策についても論議したことがあるが、これを全国単位で施行するということだ。特に、文大統領は「国民が納得するまで調査する」と明らかにしており、調査過程の公開も幅広く行われるものと見られる。雇用部の関係者は「巨済サムスン工業クレーン転倒事故のような事故が発生した場合、調査委員会が構成されるだろう」とし、「処罰のための捜査や調査ではなく、事故が発生した根源的な原因を明らかにするための調査と言える」と明らかにした。

 雇用部は今月中に関連の総合対策をまとめて発表する計画だ。雇用部は、「危険の外注化」を根絶するための対策を関連省庁と協議し、産業安全保険法や建設産業基本法の改正を推進する方針だが、作業中止解除の際、労働者たちの意見を聞くようにする内容や国民参加調査委員会の構成の場合は、現在の制度でも大きな問題がないため、先に施行してから、関連施行令や規則を制定・改正して制度化する方針だ。

 政府のこのような計画に対し、労働界はかなり肯定的に評価している。民主労総のチェ・ミョンソン労働安全局長は「使用者と労働者たちが共に参加した行事でメッセージが発表されたため、新政府の産業安全政策ガイドラインが使用者たちにも十分に伝わっただろう」としながらも、「法があっても守らなかった使用者たちの慣行を、いかに改善していくかがカギだと思う」と明らかにした。民主社会のための弁護士会のカン・ムンデ事務総長は「元請け会社の処罰を強化する立法を進める場合、必ず法人と経営主を処罰できるようにしなければ、制度の実効性がない」と指摘した。

パク・テウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/801324.html 韓国語原文入力:2017-07-03 22:26
訳H.J(2719字)

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