労働時間短縮のための労働基準法改正案が国会環境労働委員会で劇的に妥結された。1週間の最大の労働時間は、現在68時間(雇用労働部の行政解釈)から52時間に減り、祝日も有給休日に指定される。事実上、無制限の延長労働を可能にした「労働時間特例業種」も大幅に縮小される。休日・超過勤務手当重複割り増しをめぐる見解の相違で難航していた法改正が、関連議論を始めてから5年ぶりに主な峠を越えた。
国会環境労働委員会は27日未明、このような内容を盛り込んだ労働基準法の改正案を可決した。 今回の改正案は、法制司法委員会を経て、2月の通常国会最終日の28日に本会議で可決される見通しだ。
改正案では労働時間短縮の核心である1週間の最大の労働時間を従来の68時間から52時間と明示し、これを超過する労働は禁止する。現行の勤労基準法では週当たりの労働時間を40時間に定め、12時間の超過勤務を認めている。ところが、その後、雇用部は休日勤務が超過勤務に含まれないと行政解釈して、週当たり労働時間の上限を40時間に超過勤務12時間と休日勤務16時間を加えた68時間と見てきた。下級審裁判所がこの行政解釈を否定し、休日勤務も超過勤務に当たるとして、手当も150%ではなく、200%を支給すべきという判決を相次いで下し、2013年から国会で法改正議論が始まった。
度重なる議論の末に出た改正案は、休日勤務も超過勤務に含まれるが、重複の割増は認めず、休日に働く場合、もらえる手当は150%と規定される。与野党3党の環労委幹事が昨年11月に合意した内容がそのまま反映された。ただし、使用者側が要求してきた1週8時間の特別延長勤務は労使合意が行われた30人未満事業所に限り、5人以上の事業所に対する1週52時間の上限制が導入される2021年7月から2022年末までの1年半のみ、一時的に認められる。
改正案で最も注目されるのは「祝日の有給休日化」だ。これまで大手企業など一部の民間事業所や公共部門だけに限定されていた制度が、民間にも適用されるということだ。法改正によって年間の有給休日に指定された日数は「官公署の祝日に関する規定」に規定された約15日だ。団体協約や就業規則に祝日を有給休日に指定していなかったほとんどの中小・零細事業所の労働者が恩恵を被るこたとになる。特に、祝日に無給休暇を取らざるを得なかった労働者らにとっては、15日の年次有給休暇が新たに与えられることになる。
「無制限超過勤務」を可能にして、長時間労働の“主犯”とされてきた「労働時間特例業種」も、現行の26種から5種に縮小された。これによって労働時間特例制度の適用を受ける労働者は約453万人(2016年基準)から約102万人に減る。特例業種として残った陸上運送業(路線バス除外)や水上運送業、航空運送業、その他運送関連のサービス業、保健業も、勤務が終わった後、次の平日まで11時間の連続的な休息を保障する「(勤務)日間休息」条項が設けられた。
労働分野の専門家たちは今回の改正案を、概ね肯定的に評価している。カン・ソンテ漢陽大学教授(法科大学院)は「変則的な労働基準法の行政解釈を廃棄し、1週52時間の上限を与野党の合意で立法化したという点が最も肯定的」だとし、「公務員の休日だった祝日を国民の休日に変えた点も高く評価する」と話した。ノ・グァンピョ韓国労働社会研究所長は、休日・超過勤務手当の重複の割り増しを認めなかった部分について「現在、重複の割り増しが適用されている事業所もあまりないうえ、52時間に労働時間が減ると、対象になる労働者はもっと減るだろう」とし、「長時間労働に苦しんできた低賃金・未組織労働者のために、労働界が大乗的に受け入れるべきだ」と話した。
ただし、560万人に達する5人未満の事業所の労働者が今回の法改正の恩恵を受けられないのは、限界と言える。一部の野党議員の反対で祝日の有給休日化の適用対象から外されおり、5人未満の事業所労働者は労働時間規制の適用除外であるため、1週52時間上限の適用からも排除される。カン・ソンテ教授は「労働基準法の適用外の労動者問題を解決できなかったのは残念だ。彼らに1週40時間を適用することが難しいなら、5つの特例業種に適用する日間休息制度でも適用するなど、議論を始めなければならない」と話した。
2大労総はこれまで粘り強く主張してきた重複割り増しの適用と特例業種の全面廃止の要求などが受け入れられなかった点で、改正案に反対する考えを明らかにした。キム・ジュヨン韓国労総委員長は重複割り増しを認めないことと関連し、「休日勤務を超過勤務に含め、重複加算手当を支給すべきという(控訴審)裁判所の圧倒的な判決にも真っ向から反する」と述べた。民主労総は声明を発表し、「30人未満事業場について8時間の特別超過勤務を例外的に認める根拠や理由がない」としたうえで、「公論化手続きを無視し、ずさんな野合で与野党が取り引きした立法案」だと批判した。
使用者団体は祝日の有給化、特例業種の縮小については補完策作りを要求した。韓国経営者総協会は「祝日まで有給休日と規定されれば、零細企業の負担が大きくなり、特例業種を減らせば、国民に不便をもたらしサービスの質の低下などが憂慮されるため、補完策を講じなければならない」と主張した。