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暴露した人だけを「変わり者」扱いする文化が性暴行事態を育てた

登録:2018-02-26 09:30 修正:2018-02-28 06:23
セクハラを暴露しても内部者には冷淡 
被害者たち、ショックで口を閉ざし 
返って名誉毀損の罰金刑を受けることも 
法廷まで行っても処罰される事例は稀
今月25日、セクハラ問題で公開謝罪したチョ・ジェヒョン氏=番組のキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 「どうしてその時は黙ってたのか」という発言は、#metoo(私もやられた)被害者たちに向けた2次的暴力だ。「あなたにも落ち度がある」という誤った認識を植えつけ、被害者をさらに隠れさせる。metoo運動以前にも「小さな勇気」はあちこちから沸き上がったが、内部者たちの無関心によって性暴力事態を抑えきれず、むしろ育てたという批判の声が出ている。

 自分が誰なのか明らかになるのが怖いというある芸術家は、ハンギョレに「セクハラを受けた後、被害事実を加害者を含めた数名がいるところで話した」と言った。「だが、誰も私の話に耳を傾けてくれなかった。被害事実よりその傍観者たちにもっと衝撃を受け、誰も私の話を信じないんだと思って以来、口を閉ざすようになった」と話した。24日、俳優チョ・ジェヒョン氏のセクハラを暴露したあるドラマスタッフの事件も、撮影中に起きた出来事だったが、誰も措置を取っておらず、ドラマはそのまま進行した。李潤澤(イ・ユンテク)元「演戯団コリペ」芸術監督にセクハラを受けた事実をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で明らかにしたある被害者も、「(先輩が李氏の)マッサージ事実を(メディアに)知らせたが、記者出身の李潤澤氏にこのような情報提供があったと連絡が来たそうだ」と明らかにした。

 勇気を出して告訴まで行っても、加害者たちが厳正な処罰を受ける場合がごく稀だという点も、以降の被害者を躊躇させている。ある被害者はジャズピアニストのA氏をセクハラの容疑で告訴したが、裁判部が1審で無罪判決を下し、控訴した。被害者はSNSに「『好きだから』『酒を飲んでいたから』『露出の多い服を着ていたから』『夜遅くまで二人きりで残っていたから』などの言い訳は(法的に)絶対に容認されてはならない」と書き込んだ。最近SNSには「セクハラ発言を知らせた仕返しに名誉毀損で告訴され、罰金70万ウォン(約7万円)の処分を受けた」という書き込みが掲載されたりもした。2016年、演劇界で俳優3人が一緒に性暴行を犯して裁判に持ち込まれた事件が発生したが、これが多くの性暴力の加害者たちを緊張させる契機にはならなかった。

 被害者たちは「長い歳月に受けた苦痛に比べれば、加害者の『申し訳ない』という一言はあまりにも軽い」とし、「悪質な加害者にはそれに見合う法的処罰が必要だ」と話す。事実の適示による名誉毀損罪を廃止しなければならないという声も出ている。metoo運動を触発したソ・ジヒョン検事も「名誉毀損で告訴される場合、事実の適示による名誉毀損罪について違憲法律審判訴訟をして争ってみる考えだ」と明らかにしている。関連する協会なども自省の努力を傾けると明らかにしている。李潤澤氏が職員をセクハラしたという事件を経験した国立劇団は24日、公式ホームページに「性暴力の加害者と被害者が直接・間接的に会った接点に国立劇団があった。事件当時、もっと強く対処しなければならなかった」と反省し、「暴力と人権侵害に対する認識不在とシステムの不備を改善するための制度を補完する」と明らかにした。

ナム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/833599.html韓国語原文入力:2018-02-25 20:45
訳M.C

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