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企業内「#MeToo」を技術で繋ぐ…ソーシャルベンチャーの挑戦

登録:2018-02-15 05:29 修正:2018-02-16 06:51
企業内のセクハラなど被害の記録・届出アプリ 
「LISTEN2ME」で市場進出図るソーシャルベンチャー 
社会問題の解決策からビジネス機会見出す 
「同一加害者の知らせ」「共同届け出」の機能も 
「MeToo」と「MeToo」を繋ぎ届け出促す
今月12日、ソウル江南区の共有事務室で、ソーシャルベンチャー「コネクトX」のキム・グンムク社長(中央)などが組織内のセクハラなどに対応するため、被害の記録を作成し共同で届け出るよう助けるアプリ「LISTEN2ME」の開発過程について説明している//ハンギョレ新聞社

 職場や学校など組織の中で一人で悩む性犯罪被害者らの#ミートゥー(MeToo)を、ネットワーキングすることはできないだろうか?

 ソーシャルベンチャー「コネクトX」が開発した「リッスン・トゥ・ミ―(LISTEN2ME)」アプリは、この質問に「できる」と答える。ソーシャルベンチャーは社会問題の解決策を作ることからビジネス機会を見出す新たな起業の流れだ。同社を創業したキム・グンムク社長(58)は、今月12日にソウル江南区事務室で行われたハンギョレとのインタビューで、「職場や学校内の性犯罪が起きた場合、被害者が2次被害を恐れて沈黙することが多い。耐え切れず被害届を出しても、時期が数カ月から数年後になり、事実関係の争いが生じる場合もある。被害直後の記録作成ができるよう助けると共に、性犯罪の加害者らに常習犯が多いという点に着目し、共同で届け出ることを促す方法を模索した」と話した。

 LISTEN2MEは企業や大学などがこのシステムを導入すれば、職員や学生、教職員などがこのアプリをダウンロードし、性犯罪が発生した際に使えるようにしている。まず混乱と苦痛に陥った被害者が事件発生直後、「5W1H」に沿って記録を作成し、安全に保管できるように助ける。アプリの客観式・主観式問題に回答する方式で記録を作成することになるが、これは暗号化され、被害者の携帯電話に保管されるだけで、会社のサーバーに保管されない。被害者が決心して、届け出機能を押してから、組織内の担当者にこの内容が送られる。一歩踏み込んだ点は「同一加害者知らせ」と「共同届け出」機能を加えたことだ。誰か正式に届け出ることはしなくても、アプリで加害者を名指しして被害の記録を作成した場合は、他の被害者が同じ加害者を対象に記録を作成する瞬間、「同一の相手を(加害者に)名指しした利用者がすでにいます。勇気ある届け出で他の被害が出ることを防ぎますか」という知らせが表示される。また、複数の被害者が同時に届け出ることを選んだ際には、本当の届け出につながる「共同届け出」機能を入れた。キム社長は「低い通報率のため、被害者らは隠れて自らを責め、加害者らはまたセクハラを続けることを減らすため」だと説明した。

 このアプリは記録の過程でも、被害者の混乱な心境をできるだけ考慮した。「記録する」のボタンを押すと、事件発生日と時間帯、場所、なぜそこに行ったのかなど、専門家が緻密に設計した問題にきちんと答えていけば、後に事件の処理に必要な主要情況をほとんど記録に残せるように導いてくれる。また、記録の中にも「自分に非がないのに辛かったでしょう? (中略)よく思い出せない場合は、次回に修正してもいいから、落ち着いて私に付いて来てくださいね」、「建物の名前や商号、町の名前など、住所と関連した情報を思い出してください」、「思い出せない場合は、交通カードの利用内訳やクレジットカード決済の明細を照会してみてください」など、慌てた被害者が途中であきらめないように支える機能も備えている。

 アプリは届け出ることを選択する前までは、この記録を徹底的に個人所有で管理する。ただし、このような記録が作成された場合、会社は、内容は分からないが、後日届け出につながる潜在的事件が積み上げられているという点を把握し、組織問題を事前に感知することができる。キム副社長は「企業内の性犯罪を隠蔽するなど、初期対応を誤ったある企業は社会的な公憤を買い、四半期だけで二桁台の売上高減少を経験して営業に大きな打撃を受けた」とし、「企業がリスク管理の重要性に気づき、システムを購入すれば、大学などに同じシステムを寄付できる形も検討している」と話した。

 コネクトXは、サムスンやSKなど大手企業を辞めてピンテクセキュリティ認証技術で起業に乗り出したキム社長と志を一つにする40~50代の6人が再び団結し、昨年初め、新たに創業したソーシャルベンチャーだ。昨年1月にアプリの開発に入って10月にシステムを完成した後、グローバル#Me Too旋風を目撃することになった。これに、校内でセクハラ事件で波紋を広げたある大学がこのシステムを導入することにした状態であり、今年上半期中に市場の試験台に上がることになる。キム社長は「ピンテクセキュリティ認証事業を展開するうちに、金融系の女性社員らから職場内セクハラ事件などを聞いて、アイデアを整え、性暴力相談所など専門家の諮問の元、被害者にどんな支援が最も必要なのかを調べた」とし、「技術を通じて『#Me Too』と『#Me Too』つなげていきたい」と話した。

チョン・セラ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/832143.html韓国語原文入力:2018-02-13 20:29
訳H.J

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