北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が文在寅(ムン・ジェイン)大統領に首脳会談を提案したことで、韓米合同軍事演習の再開問題に注目が集まっている。今後の南北関係と朝米対話はもちろん、韓米協力にも影響を及ぼす事案であるからだ。
文在寅大統領とドナルド・トランプ米大統領は先月4日、電話会談で、毎年2月末~3月初めに開始してきた韓米合同軍事演習(キーリゾルブ・トクスリ演習)を平昌(ピョンチャン)冬季五輪・パラリンピック期間(2月9日~3月18日)には実施しないことで合意した。問題は平昌五輪以降だ。北朝鮮の「労働新聞」は今月7日付けで、韓米合同軍事演習を再開する場合、「第一歩を踏み出した北南関係を揺るがすことになるだろう」と警告した。北朝鮮は、これまで北朝鮮指導部の除去作戦が含まれたキーリゾルブ演習に敏感に対応してきた。
現在のところ、北朝鮮に対する最大限の圧迫と関与を強調する米国が韓米軍事演習を再び延期する可能性は低い。大統領府は4月に延期された韓米合同演習の再開には変わりがないとしながらも、演習の規模を減らしたり、期間を短縮する案を念頭に置いたような態度を示している。ある大統領府関係者は12日、「演習が延期される可能性は高くないと思う。(しかし)朝米間の解氷の兆しがあるなら、米国と協議して訓練の規模や期間を減らす問題を協議することもできるだろう」と話した。再延期のカードを取り出した場合、韓米同盟に悪影響を及ぼしかねないため、直接言及するのは難しいが、北朝鮮の態度によっては演習規模の縮小を検討することもあり得るということだ。
文在寅大統領が9日の韓日首脳会談で「予定通り韓米合同軍事演習を進めること」を要求した日本の安倍晋三首相の発言に「内政干渉」と反論したのも、微妙な波紋を広げている。大統領府の別の関係者は「まだ訓練を縮小するような段階ではない。今のままでは4月に軍事訓練を実施することになるだろう」としながらも、「外交においてはあらゆる可能性が開かれている。可能なオプションをすべて検討する」と話した。
専門家らは韓米合同軍事演習が再開されても、北朝鮮の反発が以前よりは少ないだろうと予想している。ヤン・ムジン北韓大学院大学教授は「4大戦略資産を除いた実用的なトレーニングになるものと思われる」としたうえで、「たとえ戦略資産が含まれた訓練をしても、北朝鮮が昨年のように強く対抗することはないだろう。金正恩(キム・ジョンウン)委員長が南北関係改善の意志を表明しただけに、その枠組みを壊すことはしないだろう」と見通した。