金与正(キム・ヨジョン)北朝鮮労働党中央委員会第1副部長が10日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に渡した金正恩(キム・ジョンウン)「朝鮮民主主義人民共和国国務委員長」名義の親書にはどんな内容が盛り込まれているだろうか。
大統領府はこの親書について「文大統領だけが開けてみた」とし、具体的な内容は公開しなかった。キム・ヨンヒョン東国大学教授は11日、「(金与正第1副部長が)口頭で伝えた話とそれほど変わらないだろう」としたうえで、「平昌五輪の成功を祈願し、南北関係の改善に対する金委員長の積極的な意志や朝鮮半島の平和と軍事的緊張の緩和に向けた金委員長の立場などが盛り込まれたものと見られる」と話した。チョン・セヒョン元統一部長官は「韓米合同軍事演習など、米国との協力が必要な内容が盛り込まれた可能性がある」と推定した。
金委員長が送った親書に「朝鮮民主主義人民共和国国務委員長」という肩書きが書かれたことも目を引く。金委員長の公式肩書は労働党委員長や国務委員会委員長、朝鮮人民軍最高司令官の3つだ。このうち特に国務委員長の肩書きを使用したのは、親書を受け取る人が南側政府元首の大統領であるだけに、金委員長も党や軍ではなく、政府の肩書きで格式を合わせたものとみられる。北朝鮮は2016年6月、最高人民会議第13期4次会議で憲法を改正し、国防委員会を廃止し、国家の重要政策を討議して決定する政府機構として国務委員会を新設した。
金正恩委員長が韓国大統領宛に直接親書を送ったのは今回が初めてだ。金委員長は2014年12月、金大中(キム・デジュン)元大統領夫人のイ・ヒホ氏とヒョン・ジョンウン現代グループ会長に親書を送り、金正日(キム・ジョンイル)総書記3周忌追悼に対する感謝の意を伝えると共に、平壌(ピョンヤン)への招請意向を伝えた。これに先立ち、1985年には金日成(キム・イルソン)主席が秘書を通じて全斗換(チョン・ドゥファン)当時大統領に首脳会談の推進関連の親書を送っており、2000年には金正日(キム・ジョンイル)総書記が特使を通じて金大中(キム・デジュン)当時大統領に口頭メッセージを伝えた前例がある。
北朝鮮の「朝鮮中央通信」は11日、「敬愛する最高指導者同志の委任を受けた朝鮮労働党中央委員会第1副部長の金与正同志が、我が党と国家、軍隊の最高指導者の金正恩同志が文在寅大統領宛に送った親書を丁重にお伝えし、最高指導者同志の意味を口頭で伝えた」として、文大統領が親書と口頭挨拶に感謝の意を伝えたと報じた。