検察が29日、李明博(イ・ミョンバク)政府時代に巨額の対北朝鮮工作金を流用し、金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領のゴシップ性不正情報を収集した疑いで、チェ・ジョンフプ元国家情報院3次長とキム・スンヨン元対北朝鮮工作局長の拘束令状を請求した。
ソウル中央地検特殊2部(部長ソン・ギョンホ)は、彼らがウォン・セフン元国政院長時代、対北朝鮮工作金約10億ウォン(約1億円)を流用し、金大中・盧武鉉元大統領のゴシップ性の不正を収集するのに使用した疑いを受けていると明らかにした。検察の説明によると、彼らは金大中元大統領と関連しては「米国にある裏金」を追跡するとして、担当業務とはまったく関係のない事案に対北朝鮮工作金を流用した。盧武鉉元大統領と関連しては「盧元大統領の不正をよく知っている側近を海外から連れてくる」として、フィリピン当局に賄賂まで提供し、いわゆる“側近”を追放する形で国内に連れてきた後、召喚調査まで行ったことが明らかになった。
当時、国情院の対北朝鮮工作金はこの両事案にそれぞれ「デヴィッドソン」や「鮭」という作戦名をつけたという。「デヴィッドソン」は英語の頭文字(D)と金大中元大統領のイニシャル(DJ)最初の文字が同じで、「鮭」は退任後故郷に帰った盧武鉉元大統領の人生にたとえて付けられたものと推定される。しかし、両元大統領と関連し、国情院が発掘しようとした風説はまったく事実ではなかったというのが検察側の説明だ。
検察は、ウォン元院長も彼らの対北朝鮮工作金流用に関与したものとみている。検察関係者は同日、「個人の行動ではなく、(国情)院レベルの問題と言える」としたうえで、「対北朝鮮工作金を特定政治家の不正やゴシップを確認するための目的に使ったなら、それ自体は適法ではない」と話した。
政界から提起されたハン・ミョンスク元首相など当時野党の有力政治家や民間人査察疑惑などは、まだ具体的に確認されていないという。検察関係者は「対北朝鮮工作金が政界に渡された情況は、まだ把握されたものがない」と話した。検察は今後、ウォン元院長を超えて李明博政権時代の大統領府が国情院の資金を流用し、政治介入などに使用するよう指示したかなどを確認するため、捜査を拡大するものとみられる。