9日の南北高位級会談は、事実上、チョ・ミョンギュン統一部長官とリ・ソングォン祖国平和統一委員会(祖平統)委員長の会談に確定される可能性が高い。
北朝鮮は5日、南側の「南北高位級会談の開催」を提案に同意する電話通知文を送る際、発信者名に「リ・ソングォン委員長」を、受信者名に「チョ・ミョンギュン長官」を明示した。これに先立つ2日、チョ長官が直接記者会見を開き、「南北高位級会談」を提案したことに対し、リ委員長は翌日「朝鮮中央テレビ」で「板門店(パンムンジョム)連絡チャンネルを再稼動する」と答えた。これについてペク・テヒョン統一部報道官は5日、記者会見で「高位級会談の代表団の構成と首席代表を誰が務めるかについては、(南北間の)実務的な文書協議を通じて確定するだろう」とし、慎重な態度を示した。
しかし、北朝鮮は同日の電話通知文で「平昌(ピョンチャン)五輪大会の参加を含めた南北関係の改善問題」と明らかにした。これまで南北関係全般を統一部長官と祖平統関係者が首席代表の「長官級会談」が主導してきたことから、包括的な「南北関係改善問題」を議論するためには、チョ長官・リ委員長協議の構図が有力視される。リ委員長が今月3日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の指示によるものとして、「祖平統や統一戦線部、国家体育委員会などが会談の実務準備に取り組む」と明らかにしただけに、チョ長官・リ委員長を首席代表にし、北側からは労働党統一戦線部と国家体育委の関係者が、南側からは国家情報院と文化体育観光部の関係者が同席する会談になるものと見られる。
ペク・テヒョン報道官は会談の準備と関連し、「韓国側は南北会談の準備手続きによって『戦略会議』や『企画団会議』、『模擬会議』などを進めている」と述べた。ペク報道官はまた、「南北間合意後に国際オリンピック委員会(IOC)側と協議すべき部分がある。北朝鮮側も来週中にオリンピック委員会と協議を行う予定だと聞いた」と付け加えた。
チョ・リ会談が実現した場合、性格も成長背景も異なる二人がどのように対話を進めて行くかにも注目が集まっている。2人とも長い間南北関係問題を担当してきた専門家である。しかし、チョ長官は統一部で経験を重ねてきた生粋の官僚であり、合理的かつ円満に仕事を進めるのが特徴だ。リ委員長は軍人出身で、短気で荒々しい性格でありながら、周到な業務スタイルで知られている。
チョ長官はキャリア出身で、1984年から統一部交流協力局長や軽水炉企画団政策調整部長、開城工業団地事業支援部長、大統領秘書室統一外交安保政策秘書官などを歴任した。しかし、李明博(イ・ミョンバク)政権発足後の2008年、「過去の政権に賦役した」との理由で公職を離れたが、文在寅(ムン・ジェイン)政権で最初の統一部長官として復帰した。2012年の大統領選挙を控え、南北首脳会談対話録を廃棄した疑いで起訴されたが、無罪判決を受けた。
リ委員長は2005年から、南北将官級会談と軍事実務会談の北側代表を務めた。金正恩(キム・ジョンウン)体制の発足と共に、最高権力機構である国防委員会政策局に所属し、2014年10月に国防委政策局長に昇進した。リ委員長は2016年6月、最高人民会議で祖平統が国家機構に格上げされたことに伴い、同機構の委員長を務めることになったという。