本文に移動

「ナッツ・リターン」前大韓航空副社長の「航路変更」は無罪…執行猶予が確定

登録:2017-12-22 01:54 修正:2017-12-22 08:19
最高裁判所全員合議体「地上移動は『航路』ではない」 
「罪刑法定主義の原則より厳しく解釈すべき」
チョ・ヒョナ前大韓航空副社長が2015年5月22日、ソウル瑞草洞ソウル高等裁判所で開かれた控訴審で懲役10カ月に執行猶予2年を宣告を言い渡されて釈放された後、記者団に囲まれている=イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 いわゆる「ナッツ・リターン」は無罪という最高裁判所(大法院)の判断が下された。

 最高裁全員合議体(裁判長キム・ミョンス最高裁所長)は21日、航空保安法違反などの疑いで起訴されたチョ・ヒョナ前大韓航空副社長(43)事件の上告審で、航路変更の嫌疑を無罪と判断し、業務妨害罪などだけで懲役10カ月に執行猶予2年を言い渡した原審判決を確定した。

 最高裁判所は、チョ前副社長が大韓航空旅客機を地上で17メートル移動させたのは、航空保安法の航路変更罪が定めた「航路変更」に該当しないという控訴審の判断をそのまま受け入れた。

 最高裁判所は「『航路』の辞典的定義は『航空機が通行する空路』であり、実際の航空機の運航から、航路が『空路』という意味を離れて使用された例は見つからない」とし、「航空保安法は民間航空機を対象にした犯罪の加重処罰のために制定した法であり、国際協約にも地上の航空機の移動を対象犯罪に定めたものはない」と明らかにした。裁判所は「航空保安法が『運航中』の意味を『航空機の扉を閉めた時から』に拡大したとしても、それ自体で罪刑法定主義によって厳格に解釈すべき『航路』まで本来の意味から拡大して解釈することはできない」としたうえで、「法律の文言の意味が明確であるにもかかわらず、その意味から離れて被告人に不利に解釈してはならない」と強調した。

 裁判所はまた、「地上で運行する航空機の経路を妨害する行為は、機長に対する業務妨害罪で処罰することができるため、処罰の空白が生じるわけでもなく、実際、被告人はこの罪で処罰を受けることになっている」と指摘した。

 一方、パク・ボヨン、チョ・ヒデ、パク・サンオク最高裁判事は、少数意見で「航空保安法が地上の航空機も『運航中』に当たると意味を拡大したため、『運航中の航空機』が通っている路ならば、地上であれ空中であれ航路と広く解釈しても罪刑法定主義に反しない」としたうえで、「地上の航空機をむやみに動かす過程で大型事故が起きる可能性もあるため、安全運航を脅かす行為を厳罰する航路変更罪で処罰する必要がある」として、破棄差し戻し意見を明らかにした。

 最高裁判所の関係者は「処罰の必要性が大きくても、法律で犯罪と規定していなければ処罰できないという罪刑法定主義の原則を再び確認して宣言した判決」だと説明した。

 チョ前副社長は、米国ニューヨーク市のJFK空港から出発しようとする大韓航空旅客機の中で、事務長や乗務員を暴行し、威力で航空機の航路を変更して正常運航を妨害した疑いで、2015年1月拘束起訴された。

 1審裁判所は「航空保安法第42条の航路変更罪が規定した『航路』には空路だけでなく、運航中の航空機が離陸前と着陸後に地上移動する状態まで含まれる」として、航路変更の容疑を有罪と判断し、残りの犯罪事実と共に懲役1年を言い渡した。

 しかし、控訴審裁判所は「ランプリターンのような係留場内の移動など、離着陸前後の地上における移動は航路に含まれない」として、航路変更の容疑を無罪と判断し、業務妨害などの容疑だけで懲役10カ月に執行猶予2年を言い渡した。控訴審裁判所は「航路の辞典的定義は航空機が通る空の路」としたうえで、「離陸前後の地上での移動まで航路変更罪で規定した『航路』に当たると解釈するのは、法を過度に拡張解釈するもので、罪刑法定主義に反する」と判断した。

 最高裁判所は同事件を小部で2年半の間審理し、航路変更罪の成立などに対する法理を判断するため、全員合議体に移管した。

ヨ・ヒョノ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/824526.html韓国語原文入力:2017-12-21 22:16
訳H.J

関連記事