政府が済州島の江汀(カンジョン)村に対する求償金請求訴訟を撤回することにしたことを受け、村の住民と反対団体は政府の決定を受け入れ、歓迎する立場を明らかにした。しかし、江汀村会と反対団体は求償金請求訴訟の撤回が確定するまでは公式論評を発表しないことにし、慎重な態度を示した。
チョ・ギョンチョル村会長は「政府が求償金請求訴訟を撤回する案を受け入れたが、強制調整された内容が訴訟の撤回へと確認されるまでは安心できない。訴訟の撤回が完全に決まった後、村会レベルで公式立場を発表する」とし、言葉を控えた。
済州海軍基地全国対策会議と済州軍事基地阻止汎道民対策委員会も、政府の決定を受け入れながらも、慎重な立場を示している。済州汎対委関係者は「政府の求償権の撤回に歓迎の意を表する。今回の求償権の撤回の最終決定が、対立していた江汀村共同体の回復のきっかけになることを望んでいる。山積した済州海軍基地問題についても政府レベルの積極的な解決策を示してほしい」と話した。
村会と反対団体が慎重な反応を示すのは、保守勢力などの反発で決定が覆される可能性があるからだ。コ・クォンイル江汀村海軍基地反対対策委員長も「住民らが要求したのがまさに求償金請求訴訟の撤回であり、今回の政府の措置で胸をなでおろした。しかし、まだ最終決定が下されておらず、見守っている状態だ」と話した。
地方政界も歓迎の意を明らかにした。ウォン・ヒリョン済州道知事は同日午後3時に記者会見を開き、「道民と共に政府の求償権の撤回を歓迎する。江汀村共同体の回復はこれから始まる」とし、「住民たちの赦免復権に向けた努力も続ける。江汀村が提案した『江亭村共同体回復事業』も全面的に支援していく」と明らかにした。共に民主党や自由韓国党、国民の党、正しい政党済州島支部なども一斉に歓迎声明を発表し、「求償権の撤回を越えて、江汀村の処罰の対象者の赦免はもちろん、江汀村共同体が回復されることを望んでいる」と明らかにした。
海軍(政府)の求償金請求訴訟は2007年、江汀村が海軍基地の敷地に決まってから約10年間、住民たちが繰り広げてきた反対闘争の苦しみに匹敵するものだった。海軍は今年3月28日、個人116人(村の住民31人含む)と江汀村会など団体5個に対し、34億4800万ウォン(約3億5千万円)の求償金請求訴訟を提起した。江汀村会はこれに反発し、4月から済州海軍基地前の歩道にテントを張り、座り込みを行ってきた。海軍の求償金請求訴訟は住民から口先だけで住民と共存・協力をしているという批判に直面した。済州島は21回にわたって政府に求償権の撤回を建議したのをはじめ、道内各団体などの発言も相次いだ。昨年10月には国会議員165人が「求償金請求訴訟の撤回決議案」を採択した。
今回の求償金訴訟の撤回と共に、海軍基地反対闘争の過程で起きた処罰対象者に対する赦免・復権が伴うべきという声も多い。済州島の資料によると、昨年末基準で住民と活動家など連行者数は696人で、このうち刑事処分されたのが465人、無罪が15人など480人が確定判決を受けており、残りは裁判が進行中だ。罰金は合計2億9千万ウォン(約3千万円)だ。住民と住民の間、海軍基地と住民の間に生じたあつれきの解消を通じた共同体の回復も徐々に解決しなければならない課題だ。