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国防部長官の「北朝鮮の海上封鎖」発言に大統領府「海上遮断と混同したようだ」

登録:2017-12-02 06:23 修正:2017-12-02 08:15
国防長官の政府レベルでの議論発言で波紋広がる 
野党「米国が提案すれば…」相次ぐ質問に  
ソン長官「NSCで討論し参加することで結論」と答弁  
大統領府「海上封鎖は戦争前提にしたもの  
検討したこともなく、事実上不可能」
1日午前、国会で開かれた国防委員会の全体会議に出席したソン・ヨンム国防部長官(右)が、北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星-15」型の試験発射と関連して業務報告をするために、国防部国際政策次長と資料を見ながら話している=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 ソン・ヨンム国防部長官が1日、米国から追加の対北朝鮮制裁措置の一つとして取り上げられている「海上封鎖」または「海上遮断」ついて、政府が前向きに検討していると明らかにし、その背景に関心が集まっている。大統領府側は「海上封鎖」と「海上遮断」を混用したソン長官個人の「ミス」または「私見」という反応を示している。しかし、文在寅(ムン・ジェイン)政権が米国の要求に備えて、実際参加する案を検討した可能性も完全に排除できず、ソン長官が起こした“混乱”がさらに注目されている。

 国防部は、ソン長官の発言が波紋を呼んだことを受け、2回も記者団に「お知らせショートメール」を送って釈明に乗り出した。国防部はメールで「ティラーソン米国務長官の(先月28日)の声明は『北朝鮮を出入りする物品の海上輸送を遮断する権利を含めなければならない』というもので、海上封鎖とは別の概念」だとしたうえで、ソン長官の国会答弁は「国連安全保障理事会決議第2375号に明示された『禁輸品積載の船舶に対する公海上の検査強化措置』の履行協力に関するものだった」と明らかにした。北朝鮮の6回目の核実験に対応して、安保理が今年9月に採択した対北朝鮮制裁決議第2375号は「禁止された貨物を運送していると推定できる合理的な根拠があった場合、北朝鮮船舶を公海上で旗国(船籍国)の同意の下で捜索できる」という「海上遮断」規定を設けているが、政府レベルで米国の海上遮断要求に備えた議論を行ったということだ。

 「海上封鎖」(naval blockade)は、特定国の海上を武力で封鎖し、外国との貿易や通航などを阻止する措置だ。国際的な制裁措置を履行するため、禁止区域を設定し、出入りする船舶に対する検索や追跡、拿捕などを行う「海上封鎖作戦」(maritime interdiction operation)とは大きく異なる。大統領府も海上封鎖は実際に可能ではないだけでなく、戦争を前提にした危険な方式という認識が強い。ある大統領府関係者は「海上封鎖というのは、1962年のキューバミサイル事態当時、米軍がキューバ海域全域を包囲し、一切の兵器や物資が入れなくしたものと同じことだ。これは戦争を前提にしたものだ」としたうえで、「今北朝鮮海上を封鎖するには、東海(日本海)と西海(黄海)を完全に包囲しなければならないが、これは事実上不可能だ」と話した。

 対北朝鮮「海上封鎖」を巡る議論は先月28日(現地時間)、レックス・ティラーソン米国務長官が声明で「国際社会が北朝鮮を行き来しながら物品を輸送する海上交通を遮断する権利を含めた追加措置を必ず取らなければならない」と強調したことで本格化した。これに対し、米国が「大量破壊兵器拡散防止構想」(PSI)を念頭に置いて「海上遮断」を検討しているという見通しも示された。PSIは大量破壊兵器などと関連があるものと推定される船舶・航空機などについて加盟国が「遮断措置」を取る国際協議体だ。

 しかし、ティラーソン長官の主張がPSIまたは既存安保理制裁を強化した「海上遮断」なのか、過去1960年代のキューバミサイル危機当時、米国が断行した全面的な「海上封鎖」なのかは定かではない。ただし、全面的な海上封鎖には、国際法的根拠も、中国やロシアと陸路でつながっている北朝鮮には実効性もないというのが専門家たちの指摘だ。平和ネットワークのチョン・ウクシク代表は「(北朝鮮に対する海上封鎖は)休戦協定を違反するもの」だと指摘した。休戦協定第2条15項は「休戦協定は敵対中の一切の海上軍事力に適用され、いかなる種類の海上封鎖もできない」と規定している。

キム・ジウン、チョン・イナン、ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/821695.html韓国語原文入力:2017-12-01 21:32
訳H.J

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