「ミノは冷たい所がとても嫌いなんです。それなのにあの子が(葬儀場の)冷たい所にとどまって6日目じゃないですか。これから子どもを連れて行って火葬したら、また別の傷を受けて胸がつぶれそうで…。目を覚ますと、それでも近い所にいるんだ、私のそばにいるんだという気がします」
24日朝、現場実習中に死亡した済州西帰浦(ソグィポ)産業科学高校3年生のイ・ミノ君が安置されている済州市ブミン葬儀場で会ったイ君の母親のパク・ジョンスクさん(50)は再び涙を流した。普段から首の椎間板ヘルニアで苦しんできたパクさんは、この日首のサポーターをつけていたが、弔問客を迎えるために鎮痛剤を打ったりもした。
死亡したイ君より1歳年上の兄のイ・ヒョン君(19)も、イ君と同じ学校に通い、昨年現場実習に出たことが確認された。イ君は「昨年、みかんの選果作業をする仕事だと思って行ったが、みかんを選別し包装し販売する仕事までした。みかん収穫の時期でないときは、魚市場に行って太刀魚を売る仕事もした」と話した。
会社側の誠意のなさにより、出棺予定だった21日を過ぎてから3日目の24日、イ君の両親がイ君の事故と特性化高校の現場実習制度について根気よく問題を提起したことで政界も動き始め、教育部と雇用労働部は合同真相調査団を構成することにした。教育部と雇用労働部は来年初めまでに全国の実習業者3万社あまりに対して、全数実態点検をする計画だ。この日、イ君の遺体安置所には政治家らが相次いで足を運んだ。
この日、共に民主党のウ・ウォンシク院内代表と党乙支路委員会所属のイ・ハギョン、カン・ビョンウォン、オ・ヨンフン議員は、教育部・雇用労働部の関係者らと共にイ君が事故に遭った済州作業場を訪れ、事故原因などを直接調査した。ウ院内代表らはさらに、済州市ブミン葬儀場のイ君の安置所を訪れて弔問し、遺族と面談した。この席でウ院内代表は遺族に対して「現場へ行ってみると、安全装置が急ごしらえされている。高校生の現場実習生に長時間労働をさせ、会社で重要な生産ラインを任せてはいけないのに任せていたことがわかった。特別勤労監督と真相調査を徹底的に実施する」と約束した。
ウ院内代表一行は「現場実習高校生の死亡に伴う済州地域共同対策委員会」と面談した。ウ院内代表は面談で「現場実習制度は教育のための制度ではないことがあまりにも明白だ。安価な労働力を使おうとするものであり、このような方式の現場実習については民主党が先頭に立って廃止することを検討する。現場実習制度の廃止まで含めて職業教育を肯定的に発展させることができるよう、全面的に検討していく」と約束した。
正しい政党の劉承ミン(ユ・スンミン)代表もこの日午後、イ君の安置所を訪問し、遺族を慰労し、再発防止対策を講じると約束した。劉代表は弔問後に記者らと会い「現場実習制度の問題点を根本的に再検討できるよう、国会で法でできることは全てやる。会社が謝罪せず、ミノ君に責任を転嫁するようなことになってはならない。会社の責任であることを明らかにし、勤労監督、真相調査が早く実現し、政府が措置できるようにする。教育部と雇用労働部が確実に管理して安全点検をできるようシステムが作られるようにする」と述べた。国民の党のキム・サムファ、キム・スミン議員も安置所を訪問し、正義党のイ・ジョンミ代表は25日に弔問する予定だ。
遺族たちは遺体安置所を訪れた政治家たちに「第2、第3のミノが発生しないよう、政府と政界が取り組んで特性化高校の生徒たちの現場実習制度を改善してほしい。口先だけではなく、行動で見せてほしい」と訴えた。
中央政府と政界のこのような動きとは対照的に、事故が発生してから15日が過ぎたこの日、学校側は学校のホームページに「故イ・ミノ君を忘れません」という追悼文を上げたが、済州道教育庁は謝罪文や対策を発表しておらず、遺族などの怒りを買っている。