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[社説]「労働搾取」の現場実習をいつまで放置するのか

登録:2017-11-23 23:39 修正:2017-11-24 06:59
現場実習に行って勤務中に事故に遭い、19日に亡くなった済州地域の特性化高校3年生、イ・ミノ君の焼香所=ホ・ホジュン記者//ハンギョレ新聞社

 特性化高校(専門実業高校)の3年生が現場実習中だった工場でプレスに押さえつけられて亡くなった。イ・ミノ君、18才だ。母親は「植物人間でもいい。私がついているからどんな形でも生かしてください」と言って医師にしがみついた。父親は鬱憤を爆発させながらも「初月給をもらったと父母に夕食をごちそうしてくれた」という息子の話をしてむなしげに笑った。

 事故を振り返ると、とんでもないものだ。まだ学生で仕事になじんでいなかったミノ君は、事実上長時間の激務に苦しむ労働者として生活していた。平日は工場で寝て、週末だけ帰宅。「現場実習標準協約」は実習時間を一日7時間以内と規定しているが、彼は11~12時間働くこともあった。母親は事故の前夜が最後になった息子との電話で「食事を抜くな」と叱るしかなかった。正社員が辞めるとラインを1人で飛び回って点検した。機械はしばしば止まり、自分で直さなければならなかった。9月にも機械を点検していて落ち、肋骨にけがをして医務室に運ばれていったことがある。これほど危険なのに、事故当時現場には彼の近くに誰もいなかった。そのためプレスに首が挟まれた時、その状況を見た人はおらず、彼一人で耐えるしかなかった。

 今回の事故は現場実習生制度の総合的な問題点をそのまま表している。特性化高校3年生たちは現場実習を経て卒業ができる。現場で仕事を学び経験し、あらかじめ就職を決めるものだ。趣旨は学習である。ところが、実際には学習よりも単純な仕事に集中的に投入される。会社は正社員が敬遠することを実習生に押し付ける場合も多い。実習生は賃金でなく実習手当てを受け、最低賃金に至らない。労働法の対象から除外されもする。まだ年幼くて社会生活も初めての実習生は、不当な処遇を受けてもまともに抗議できないことが大半だ。これは教育でも労働でもない。

 現場を注意する業務は雇用労働部でなく教師に任せられている。教師は労務関連の専門知識に欠けるだけでなく、業者を強制する権限もない。全体で約3万カ所の実習業者の中で、教育部が直接現場を点検する所も毎年20カ所ほどだという。昨年教育部に摘発された業者の中で労働部から過怠金の処分を受けた業者は一カ所もなかったという。トラブルが起きた後も、会社は「停止ボタンを押さずに入っていた」としてミノ君の過失を訴えている。学校は「会社と保護者の(労災補償の)合意は学校が介入する問題ではない」として消極的だ。責任を負おうとする人も、団体もない。

 現場実習生の事故は今回が初めてではない。1月にLGU+社の全州コールセンターの現場実習生だったホンさんが「コール数を全部は対応できなかった」として自ら命を絶った。昨年にはソウルの九宜(クイ)駅でホームドアを修理していた現場実習生のキム君が列車にひかれて亡くなった。18才、19才だった。事故がおきるたびに対策委員会が組まれ、制度の問題点が指摘され、当局は「再びこうしたことがないようにする」と約束している。何が変わったのか。特性化高校在学生は「現場実習が怖い」と話している。このような形では、この制度を何のために維持し続けなければならないのか、根本的な疑問を感じる。

 光化門(クァンファムン)広場では20日から特性化高校の生徒たちが追悼のろうそく集会を開いている。彼らに対して誠に恥ずかしく申し訳ない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017/11/23 18:14

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/820443.html原文: 訳T.W

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