ドナルド・トランプ米大統領が15日(現地時間)、中国の習近平国家主席と「『双中断』の合意は受け入れられないということに同意した」と主張したことで、16日、ソウルに集まった北東アジア専門家らの間でも「双中断」に対する意見に注目が集まった。「双中断」とは中国が提案した北朝鮮核問題の解決策の一つで、北朝鮮の核・ミサイル試験と韓米合同軍事演習を同時に暫定中断することを内容としている。
同日午前からソウル弘済洞(ホンジェドン)のあるホテルで開かれた「2017北東アジア平和協力フォーラム」に出席した中国側の学者たちは、依然として「双中断」が有効なアプローチという点を強調した。全体会議で討論者を務めた復旦大学の沈丁立副学長は「トランプ大統領が中国を訪問した後に発表した声明で、北朝鮮の包括的かつ検証可能で、回復不可能な非核化が行われるべきと述べた」とし、「(しかし、これと)同時に現実的なアプローチも必要だ。直ちに(北朝鮮の)非核化を進めるにはやや晩い」と話した。沈副学長は「米国と韓国が軍事演習を少し減らして北朝鮮にも核実験をするなと言えば、10年後には状況が進展し、20年後には非核化が実現するかもしれない」と見通した。彼は「北朝鮮が核を放棄することはないだろう」としたうえで、「直ちにすべての核を放棄しろというのではなく、段階的かつ多角的にリスクを減らしていくべきだ」と指摘した。
同日午後、地域安保セッションに参加した同濟大学の夏立平学長は「本当に中国が乗り出して北朝鮮の核問題を解決することを望むなら、トランプ大統領が中国を助けなければならない」とし、「米国が韓米合同軍事演習を中断する方がいいと思う。米国が演習を中止したにもかかわらず、北朝鮮が核開発を放棄しないなら、中国が正当な理由のもと、最も深刻な制裁を北朝鮮に加えることができるだろう」と述べ、注目を集めた。これに対し、ある外交消息筋は「最近、北朝鮮の核・ミサイル開発が急速に進み、中国も対応を迫られている。北朝鮮が核保有国宣言をすれば、双中断も何もかも無駄になるため、中国内でも双中断に対する気流が変わり始めたと聞いた」と話した。夏学長は「今がいいチャンスだ。このチャンスを掴むべきだと思う」とし、「あまり時間が残っていない」と付け加えた。中国当局者ではなく、学者らの発言だが、米中が「双中断」の解決策をオプションから除外することで合意したというトランプ大統領の主張とは、かなり異なるものだ。
米国側の観点を提示したカーネギー国際平和研究所のジェームズ・ショフ先任研究員は「双中断には問題がある」とし、「(北朝鮮の核・ミサイル試験中止は)韓米軍事演習の中止とは交換できない内容」だと主張した。彼は「北朝鮮と通常兵力を後方に調整したり、通常兵力と関連した一対一の妥協をすることはできるだろう」と話した。ショフ先任研究員は、これより韓米中日ロが参加する「5カ国協議」を通じた解決策の模索を提案した。彼は「(我々は)今かなり大きなリスクのある新たな転換点に立たされている」とし、「我々に必要なのは5カ国のイニシアティブ」だと話した。彼は「5カ国協議を通じて、一致した声で提案すれば、北朝鮮にもより魅力的に映るだろう」とし、「他の選択肢はなさそうだ」と話した。
北朝鮮の核問題解決に向けた5カ国協議の提案に対して、北海道大学の鈴木一人教授も同意した。鈴木教授は「5カ国協議はとても重要な提案」としたうえで、「北朝鮮に対する圧力を最大に高めて北朝鮮の行動の変化を引き出すべき」と話した。これに先立ち、ダビドフ・オレーグ元ロシア外務部特任大使も「ロ中韓米日5カ国が参加し、北朝鮮にも門戸を開放しなければならない」とし、「関連国が共に一歩踏み出すことになるだろう」と話した。
これに対し、韓東大学のキム・ジュンヒョン教授は「5カ国の協力と関連し、重要なのはどうやって北朝鮮を説得し、(交渉テーブルに)出てくるようにするか」だと指摘した。キム教授はハンギョレに「トランプ政権の独走よりは多国間が協力し、北朝鮮の核問題を解決する方がいい」としながらも、「カギとなるのは、北朝鮮が(それに)参加するのかだ」と話した。キム教授は、北朝鮮核問題の解決に向けて「関与と制裁を並行しなければならない」と主張した。
これ先立ち、モンゴル戦略研究所のビャンバスレン・エンクパイガリ所長は「(国際社会が)、対北朝鮮制裁を行えば、北朝鮮の経済は弱くなるだろうが、(核の保有に向けた)北朝鮮指導者の意志を変えることはできないだろう。北朝鮮が国際社会から孤立して制裁を受ければ、憎悪だけが大きくなる」としたうえで、「外交にもう一度機会を与えるべきだ。制裁と共に(北朝鮮を説得できる)パッケージを提供しなければならない」と主張した。
一方、日本国際問題研究所の野上義二理事長は、最近議論になっているインド太平洋構想と関連し、「インド太平洋戦略(の軸となるの)は大規模な民主主義国家」とし、「地理的要素よりも、共有する制度の価値がさらに重要だ」と話した。さらに、「地域安保メカニズムと安保同盟というものの概念に対する誤った判断がある」としたうえで、「安保メカニズムはいくらでも可能だ。2国間の軍事協定など、しっかりした協定が必要な安保同盟とは異なる。二つを混同してはならない」と強調した。明示していないが、最近の韓国で論議になっている「3NO」に韓米日軍事同盟へ発展に否定的な立場が盛り込まれたことへの意見を表明したものと見られる。野上理事長は「日米韓の協力が重要だが、現在の政治構図が3カ国の協力を困難にしている」と話した。