ドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の9日の首脳会談では、米中が北朝鮮の核問題と関連し、「朝鮮半島の非核化」という目標と、「国連安全保障理事会(安保理)による対北朝鮮制裁決議の徹底履行」という最小限の共通分母に合意した内容だけが公開された。一部では、中国が米国の対北朝鮮追加制裁の要求をある程度受け入れ、米国は「北朝鮮との外交的架け橋」としての中国の役割をある程度認めたのではないかと推測する声も聞こえる。
米中が「朝鮮半島の非核化」という共通の目標に合意したというのは首脳会談の度に繰り返されてきた表現で、あまり目新しい内容ではない。
問題は米中首脳会談前から争点となってきた中国の対北朝鮮制裁と言える。トランプ政権は会談前から中国の対北朝鮮制裁の強化を圧迫することを予告してきた。トランプ大統領は今月8日、訪韓期間中に行った国会演説で、「すべての国、中国とロシアも、国連安保理決議を完全に履行し、北朝鮮との外交関係を格下げすると共に、すべての貿易・技術関係を断絶することを求める」と公開的に圧迫する場面もあった。
まず、安保理決議の履行と関連し、米国側は国境貿易などを対北朝鮮制裁の履行における“穴”と見て、中国に徹底した取り締まりを要求してきた。中国も公式的に安保理の履行を徹底的に遵守すると表明しており、両国が容易に合意できる内容だと言える。
問題は、安保理決議の履行を超えた中国の“独自制裁”と言える。ニューヨーク・タイムズ紙は8日(現地時間)付の会談予想記事で、トランプ政権の高官の言葉を引用し、「トランプ大統領が習主席に少なくとも一時的でも対北朝鮮(原油など)油類製品の輸出の中断や中国にある北朝鮮の銀行口座の閉鎖、中国で働く数万人の北朝鮮労働者らの本国送還を要請する計画」だと報じた。
これと関連し、ワシントンのある消息筋は「中国は北朝鮮が核を放棄するよう米国と協力して圧力を加えなければならないという確固たる立場を持っている」とし、「石油輸出の中断は中国としては受け入れ難いものだが、北朝鮮所有の銀行口座の閉鎖は中国にとっては比較的簡単な問題」だと話した。中国が比較的打撃が少ない部分については独自制裁と関連し、米国に“誠意を示した”可能性もあるということだ。トランプ大統領も同日の記者会見で、「すべての国が北朝鮮への対応努力に参加し、金融分野において北朝鮮との関係を中断すべき」と求めた。
“制裁以降”の北朝鮮核問題の解決策をめぐっては、中国側の立場だけが目立った。習主席は同日、「関連当事国と朝鮮半島および北東アジアを持続的な平和と安定に導く方法について議論する準備ができている」と述べた。これは6カ国協議の再開を促したものだが、トランプ政権は対北朝鮮交渉の枠組みについて公に言及したこともなく、米朝間の解決にさらに集中する姿を見せてきた。
習主席が「双方が対話と交渉を通じて(北朝鮮核問題を)解決しようとする努力を堅持することにした」とし、「朝鮮半島問題と関連し、米国との疎通と協力を維持する」と言及した部分には、依然として曖昧さが残る。一部の専門家は、中国が今後の対北朝鮮特使派遣などを念頭に置いて米国側と事前に意見を交換した可能性もあると見ている。ある消息筋は「中国が今後、北朝鮮と米国の外交的架け橋の役割を果たす意向を表明したもの」と話した。
ただし、トランプ政権が今は対話をする時期ではなく、北朝鮮に対する対話の前提条件として依然として北朝鮮の非核化に向けた真摯な処置を強く要求している状況であり、中国が大きな役割を果たす余地はあまり大きくはないと見られる。