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韓中、APECでの首脳会談の開催に合意…「シャトル外交」始動

登録:2017-11-01 01:33 修正:2017-11-01 07:11
両国、THAADめぐる立場の相違確認後“封印” 
「すべての分野における交流協力を早期に回復」 
軍事当局間の協議は維持していくことに
今年7月6日、主要20カ国首脳会議をきっかけにベルリンで開かれた初の韓中首脳会談で、文在寅大統領と中国の習近平国家主席が握手を交わしている/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と中国の習近平国家主席が今月10~11日、ベトナムのダナンで開かれるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議をきっかけに、韓中首脳会談を開くことにした。昨年2月、朴槿恵(パク・クネ)政権が在韓米軍への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐる韓米間の協議事実を発表して以来、急速に冷え込んだ両国関係が1年8カ月ぶりに回復段階に入った。韓中がTHAADをめぐる軋轢を収拾し、関係を正常化していくことで合意したことによる初の処置が、今後両首脳が両国を行き来しながら首脳外交を展開していく完全な関係復元につながるかに注目が集まっている。

 大統領府のナム・グァンピョ国家安保室2次長は31日午前、春秋館で開かれた記者会見で「韓中関係の改善に向けた両国間の協議内容に伴い、APEC首脳会議を機に韓中首脳会談を開催することで合意した」と発表した。ナム次長は「(これは両国が)全ての分野の交流協力を正常な発展軌道に早急に回復させていくという合意の履行に向けた最初の段階の措置」だと説明した。両国は東南アジア諸国連合(ASEAN)+3(韓中日)首脳会議をきっかけに、文大統領と李克強首相の会談も推進している。

 同じ時刻、韓国と中国外交部はそれぞれのホームページに「韓中関係改善に向けた両国間協議の結果」を公開した。両国は発表文で「韓中の戦略的協力パートナー関係の発展を進めていくことにした」とし、「すべての分野の交流協力を正常な発展軌道に早急に回復させていくことで合意した」と明らかにした。

 両国の足を引っ張ってきたTHAAD問題と関連しては、中国の憂慮と韓国の立場を認識し、今後は軍事当局間チャンネルを通じて中国側が懸念する問題について話し合っていくことにした。大統領府関係者は記者団に「THAADに関しては、両国がそれぞれの立場を表明し、そのまま封印したと言える」と説明した。

 発表文で韓国政府は「韓国に配置されたTHAADはその本来の配備目的から第3国を狙ったものではなく、中国の戦略的安保利益を害しない」点を明確にした。中国政府は「韓国に配備されたTHAADに反対する」と明らかにしたうえで、「韓国側が関連問題を適切に処理すること」を求めた。両国ともTHAAD配備が事実上完了した現状況に基づき、両国の立場の相違を再確認しながらも、関係改善に向けた名分を立てたのだ。

 前日、カン・ギョンファ外交部長官が明らかにした、THAADの追加配備を検討せず▽米国のMD体系にも加わらず▽韓日米3カ国の安保協力を軍事同盟に発展させることもしないという韓国政府の立場は、「関連の立場を説明した」という形で発表文に盛り込まれ、中国政府はこの3つの問題に対する「立場と懸念」を示した。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で国家安全保障会議(NSC)常任委員長を務めたイ・ジョンソク元統一部長官は、「とてもよくできた合意」としたうえで、「THAAD問題を軍事チャンネルを通じて長期的に話し合っていくことに合意したこと自体が、韓中関係全般においてTHAAD問題が及ぼす影響を統制する意味がある」と評価した。

 両国は発表文で、朝鮮半島の非核化の実現や北朝鮮核問題の平和的解決原則を再確認し、あらゆる外交的手段を通じて北朝鮮核問題の解決を持続的に推進していくことにも合意した。また、これに向けた戦略的疎通と協力をさらに強化していくことにした。両国政府が、北朝鮮の核問題で協力を通じた共同行動の幅を広げる方針を示したものと言える。特に、これに先立ち、核の解決策として「双中断」(北朝鮮核・ミサイル活動-韓米合同演習の中断)と「双軌並行」(朝鮮半島の非核化-朝米平和体制の並行)を提示した中国が、THAADをめぐる軋轢を収拾したうえで、北朝鮮核問題と関連して韓国政府との協力強化を図るものと予想される。

 実際、この日北京で文在寅政府発足後はじめての6カ国協議首席代表間の協議が開かれた。外交部は同日夜、イ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長と孔鉉佑中国外交部部長助理兼朝鮮半島事務特別代表の協議を伝え、「(両国は)北朝鮮の追加挑発の抑止と緊張緩和など、状況の安定的管理のために共同で努力することにした」と明らかにした。さらに、「特に北朝鮮の挑発の不在を保っていくために努力を傾け、平昌五輪を『平和の五輪』とするため韓中両国が一緒に努力していくことにした」と付け加えた。北朝鮮の核協議再開案づくりに向けた両国間の緊密な協議の持続と、韓国政府の南北関係改善の努力が実質的に実を結ぶことができるよう、中国が協力の意志を強調したという点が注目される。

 この日の発表で、両国が関係正常化の軌道には乗ったが、完全な関係正常化のためには通らなければならない関門がある。両国首脳間の正式両者会談の実現と、両首脳が相互訪問しながら懸案を緊密に協議する「シャトル外交」の復元が必要だと指摘されている。

 ひとまず、10日後に迫ったベトナムでの韓中首脳会談が、両国の“変化”を確認できる最初のきっかけだ。大統領府の説明によると、両首脳は会談でTHAAD問題は取り上げないものとみられる。代わりに、両国の早急な関係正常化の意志を確認し、北朝鮮の核問題に対する協力を強調するものと予想される。両国間の投資の拡大などの経済協力も議題にのぼると見られているが、「禁韓令」などTHAAD報復と関連しては中国政府が公式的に認めたことがなく、取り上げられない見込みだ。

 政府はベトナムでの首脳会談で、文大統領の訪中の首脳会談を公式化し、来年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪に習主席を招待する方法で、韓中関係の完全な復元を計画している。しかし、首脳会談で文大統領の「年内訪中」の合意が発表されるかどうかはまだ不透明だ。

 一方、中国外交部の華春瑩報道官は定例会見で「THAAD問題から離れ、中韓関係の発展の障害をなくすことは両国の共通の望みであり、双方の共同利益とも合致する」とし、「我々は双方が共に努力して中韓関係が早いうちに正常な発展軌道へ戻るように推進できることを望んでいる」と話した。その一方で、華報道官は「THAAD問題に対する中国の立場は明確で一貫しており、変化がない」と線を引き、米国のMD体系に加わらず▽韓米日軍事同盟に発展させず▽追加のTHAAD配備を行わないなど、韓国が提示した“約束”を実質的に履行することを求めた。

キム・ジウン、ノ・ジウォン記者、北京/キム・ウェヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr ) )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/816917.html 韓国語原文入力:2017-10-31 22:06
訳H.J(2716字)

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