キム・グァンジン前国防部長官が、2012年の国会議員選挙(総選挙)と大統領選挙局面で「コメント工作」をした国軍サイバー司令部から、2010年12月の国防長官再任初期からの3年間ほとんど毎日報告を受けていた情況が確認された。2013~2014年に事件を捜査した軍検察は、このような事実を把握していながらキム前長官をただの一度も調査せず、縮小・隠蔽捜査をしたという批判が出ている。
国会法制司法委員会所属のチョン・ソンホ共に民主党議員は、軍検察が軍サイバー司令部心理戦団のK要員(当時24)を調査して作成した「被疑者尋問調書」(2014年9月15日)を閲覧し、主な内容を29日付ハンギョレに公開した。この内容によれば、K要員は「金曜の夕方にイ・テハ団長が長官秘書室に連絡し、長官が週末に出勤するかをチェックする。そこで万一長官が週末にも出勤するなら週末用の報告書を別に作るよう(自分たちに)指示をした」と述べた。K要員はまた「対応作戦結果報告は本来月曜から金曜まで作成されるのか」という捜査官の問いに「はい。そして金曜夜の作戦と週末の作戦については月曜朝に報告します」と答えた。事実上、月曜から日曜までサイバー司令部心理戦団の活動が毎日キム前長官に報告されていたことになる。
チョン・ソンホ議員が国防部関係者から確認した内容によれば、サイバー司令部心理戦団の夜間当直者は「国内外日々サイバー動向」、「対南サイバー心理戦対応作戦結果」、「サイバーメディア戦広報結果とSNS活動結果」という3種類の報告書を毎朝7時に国防部長官室に伝達し、次の当直者が同日午後3時に毎日回収し廃棄するまでの過程を、月曜日から金曜日まで毎日繰り返した。週末には長官が出勤するか否かを確認し、出勤すれば別に週末用報告書を作り報告し、週末に出勤しなければ月曜日にまとめて週末状況を報告した。サイバー司令部心理戦団の国防長官に対する報告は、2010年1月に軍サイバー司令部が創設された直後から2013年10月に国防部調査本部がサイバー司令部心理戦団の「コメント工作」事件を調査し始める直前まで続いた。報告は、初期には3種類の報告書を黄色い書類封筒に密封する方式で伝達したが、その後は報告・回収・廃棄を容易にするために番号キーがついた黒カバンである「ブラックブック」に入れて伝達した。
また、普段の報告書配布対象者についてK要員は「国防部と合同参謀に分かれるが、国防部長官、合同参謀議長、政策企画官に配付されていた」と述べた。国防長官だけでなく、合同参謀議長にも「コメント工作」報告がなされたということだ。これは2014年7月、イ・テハ元団長とオク・トギョン元サイバー司令官との対話録音記録でイ元団長が「キム・テヨン、キム・グァンジン長官やハン・ミング、チョン・スンジョ合同参謀議長が3~4年間にわたり私たちの業務報告を受け、私たちの業務を督励し、よくやったとサイバー司令部の若手を表彰し激励した」と話したことと辻褄があっている。
また、チョン・ソンホ議員が閲覧し、その主要内容をハンギョレに公開したサイバー司令部心理戦団の「作戦勤務状況日誌」(2012年4月6日作成)によれば、「報告書配布・回収現況」項目には「合計7件未回収。長官1、軍事補佐官1、公報室長2、戦略情報処長1、国防改革総括企画官1、情報化企画官」と書かれている。当時キム・グァンジン国防長官に報告書を提出したが、まだ回収できていない情況を含んでいるわけだ。軍検察は、2013年10月17日から2014年8月7日まで軍サイバー司令部心理戦団要員127人を328回にわたり召喚調査し、押収捜索令状を32回にわたり執行した。
チョン・ソンホ議員は「国防部関係者を通じて召喚調査を受けた127人の大多数が、K要員同様にキム・グァンジン前長官に毎日報告したと述べていた事実を確認した」として「捜査当局はキム前長官に対する徹底した調査を行うとともに、サイバー司令部を通したキム前長官の『政治・選挙介入』疑惑を朴槿恵政府が組織的に隠蔽した真相を糾明し、厳正に責任を問わなければならない」と話した。