登録 : 2017.10.09 01:03 修正 : 2017.10.09 05:32

検察、国情院・サイバー司令部工作「ツートラック」捜査 
結局、李元大統領の「直接調査」避けられない状況に 
「元大統領の召喚は、検察独自で決定できない」 
文在寅政府、「政治的負担」の不具合をどう解くのか

李明博元大統領が9月27日午後、ソウル江南区の事務室を出ている//ハンギョレ新聞社
 「前任」に続いて今度は「前々任」の番か。前大統領が罷免の後に逮捕され裁判を受けている状況で、前々大統領がすぐ隣の建物(ソウル中央地検)に召喚されフォトラインに立つという史上初の場面が展開されるだろうか。

 検察の「国家情報院(国情院)積弊」捜査が李明博(イ・ミョンバク)元大統領の「あご下」までたどり着いた局面だ。李元大統領を「射程圏内」においた検察捜査が「ツートラック」で速度をあげている

 進展があったのは国情院の方だ。李元大統領の寵愛を受けて国情院の首長を務めたウォン・セフン元院長(66・拘束)が、先月26日から再び被疑者として検察の取り調べを受けている。そこからたった「一段」だけ上がれば、李元大統領に至る。国情院は「大統領所属に置き、大統領の指示と監督を受ける」(国家情報院法第2条)。一言でいえば、国情院は大統領直属機関だ。国情院長は、大統領に同席者なしのいわゆる「単独面談報告」をする。そのため、当時大統領だった李元大統領が国情院の「コメント部隊」活動やブラックリストの作成・実行などを知らなかったはずもなく、ソウル市公務員出身のウォン元院長が大統領の裁可なしにそのような大きな事を犯したのかという疑惑がもちあがるのも無理な話ではない。

 最近は国軍サイバー司令部のコメント工作までも捜査線上に上がっている。サイバー司令部を指揮したキム・グァンジン前国防部長官が検察によってすでに出国禁止とされており、秋夕(中秋節)の連休前後に当時国防部の指揮部と大統領府安保ラインに属する人物らが次々と検察の取調べを受けることになるだろう。

 その後は、李元大統領の召喚に続くだろうか。

 政界のアンテナも、世間の関心もここに集まっているが、検察では誰一つ明快な答えを示していない。検察の高位人物は「捜査は生き物だからどのように流れるのか私たちにはわかりようもない。まだそのような話をする段階ではない」と言い、また他の幹部も「国情院の工作は単純な構造のように見えても、ウォン元院長が(検察捜査に)素直に『協力』するだろうか。その人の『口』を眺めるのではなく、報告なり指示なり我々が(証拠を)探さなければならない状況だ。サイバー司令部捜査はまだ始まった段階だ」と話した。

 とはいえ、検察が李元大統領召喚の可能性を否定しているのではない。政界やメディアとは違い、検察は法的な立証の責任が重いため、「自信」や「断言」といった単語から距離を置く。だが、捜査の「終着点」が李元大統領になりうるという仮定に否定はしない。

 かつて大統領やその周辺、国情院などに対する捜査経験のあるさまざまな前・現職の検察幹部たちも、事件の構造上、李元大統領が「フォトライン」に立つしかないものと見る。あらゆる「ケースの数」が彼に非常に不利だということだ。

ウォン・セフン元国家情報院長//ハンギョレ新聞社

 第一に、李元大統領がどんな形であれ指示をした事実が明らかになった場合。文書であれ言葉であれ指示があり、そのような事実が証拠資料や関連者の供述によって確認されれば、多くを述べる必要はない。国情院やサイバー司令部両方でもどちらか一方でも、このようなものが出たとすれば李元大統領は苦しい立場に立たされるだろう。

 第二に、指示の形が曖昧であったり報告を受けて容認した場合。細かく指示しなくても、例えば「国全体が左翼だらけだが国情院は何をしているのか」程度の言及でもあったなら、責任を免れるのは難しい。大統領が国情院に先に「注文」しなかったとしても、国情院長から政治工作実行案の報告を受け、「そのようにせよ」とか「うまくやってみろ」と答えたとしても同様だ。引き止めず、うなずく程度の意思表示があったとしても、それも政治関与を禁止した国情院法違反の疑いがある「共犯」になりうる。

 第三に、ウォン元院長ラインで捜査が足踏みする場合。つまり、ウォン元院長が「李元大統領は関連がない、全部私がわかっていて私の責任下行ったこと」と「背水の陣」を敷いたら? サイバー司令部の政治工作は関与した人が多数であり、証拠の露出の可能性が相対的に高いが、国情院は院長と大統領が「単独面談」する関係にあるため、ウォン元院長が口を閉ざして捜査が難関に陥りかねない。検察もこれを念頭に置いて調査を進めている。李元大統領の長年の側近であるイ・ジェオ元議員のような人は、ウォン元院長が李元大統領とは関係なくつまらぬ事をしたとし、一線を画した。だが、老練な捜査通らは立証が可能だろうと見ている。

 「国情院長は大統領に提出する報告書を直接作らない。(検察は)関連報告書の作成者を呼び、内容・時期などを調査し、ウォン元院長の大統領府出入り記録などの動線、大統領のスケジュール、その後行われた国情院の政治工作の時期と内容などを交差確認し、李元大統領との関連性を探そうとするだろう。大統領府に報告に行って当該報告書の内容が実行に移されたなら、その報告自体を承認や裁可と見ることができる。国政の最高責任者である大統領の地位、大統領と国情院長の特殊で直接的な関係のためだ」(検察幹部出身の弁護士A)

 「サイバー司令部の政治工作捜査は国情院よりも早く進む可能性がある。国情院の政治工作は院長と大統領が1対1につながる『単線』構造であり、ウォン元院長がふんばれば迂回して立証しなければならないが、サイバー司令部を動員した工作は関与した人が複数で、会議を開き報告書を回すなどしてきたために簡単に糸口がつかめる場合もある。検察が打って出る余地がその分だけ大きく見える」(検察出身の弁護士B)

 このような状況を意識したのか、李明博元大統領は最近、「積弊清算という美名の下に国益を損ねる退行的な試みが行われている」とし、検察捜査を批判する文を自分で書き掲載した。また、イ・ジェオ元議員と李明博政府の大統領府首席らは、メディアインタビューなどを自ら招いて反発もした。

 だが捜査が続けば、捜査チームが李元大統領の供述を直接聞かなければならない時期が来うる。すべての証拠と供述が一人を指している場合、その人の話を聞いてこそ事件の全貌を明らかにすることができるという段階だ。だが「前々大統領」の召喚は、捜査以上の問題かもしれない。対象が対象であるだけに、捜査を超える政治的関数を排除できない。捜査網が李元大統領の方に絞られ、それに比例して自由韓国党や正しい政党など旧与党に根を張る政治勢力の反発が大きくなれば、文在寅(ムン・ジェイン)政府の政治的負担も増えることになる。すぐに定期国会を通じて文在寅政府が志向する「改革立法」をするには、彼らの協力が必須だ。国会先進化法によって与党の「立法独走」は不可能だ。まさにその地点で、検察捜査に政治論理が介入しうる可能性が生じる。

 しかし、文在寅大統領と与党は政治的理由で今回の捜査を適正ラインで終了することはないだろうと強調している。大統領は最近、与野党4党代表との会合で「政治報復に反対する」と述べながらも、「個別の不正が明かになっているのに捜査を止めることはできない」とした。今回の捜査は政治報復ではなく、個別の不正レベルの捜査だという言葉だ。パク・サンギ法務部長官も聯合ニュースとのインタビューで「(国情院政治工作の捜査で)上部に対する捜査の限界などということはありえず、あってはならない」という言葉で大統領に肩入れした。李元大統領の召喚をはじめとする捜査の全過程を検察に任せるという話なのかは分からないが、少なくとも捜査に政治的論理を介入させはしないとの立場と読める。

 「元大統領の調査は、検察が独自に決定できる事案ではない。前大統領府の秘書室長一人を調査するにも非常に複雑な過程と手続きが必要だった。ましてや元大統領の召喚や刑事処罰の水位決定は、(大統領府の)サインなしには不可能だ。少なくともかつてはそうだった」(検察高位幹部出身の弁護士C)

 では、文在寅政府ではどうだろうか。見守ろう。

カン・ヒチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-10-06 19:32
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/813536.html 訳M.C(3555字)

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