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原発輸出モデルと広報したUAE原発契約、実際は「毒素条項」だらけ

登録:2017-10-20 05:49 修正:2017-10-21 04:44
交渉行き詰り副首相を急派して合意 
紛争起きた場合はUAE法で裁判受けることに 
収益率16→10.5%へと大幅に修正 
 
「60年間運営権を確保」発表したが、 
実際には「とりあえず10年間だけ契約」明らかに 
期待収益494億ドルは“水増し” 
韓電「持分投資契約は60年」
グラフィック=キム・ジヤ//ハンギョレ新聞社

 韓国電力公社のアラブ首長国連邦(UAE)原発4基に対する運営・投資契約条件に、法律紛争が生じた場合、第3国ではなくアラブ首長国連邦の裁判所で仲裁を受けなければならないなど、韓国側に不利な契約条件が多数含まれたことが確認された。また、韓国電力の原発運営期間も当初の60年間ではなく、10年間だけ保障されていたことが分かった。昨年10月、朴槿恵(パク・クネ)政権と韓電は「運営権を60年間確保して494億ドル(約55兆ウォン=約5兆4600億円)の売り上げが期待される」とバラ色の広報をしたが、実際の内容はこれと程遠いと指摘されている。

 19日、共に民主党のキム・ビョングァン議員とホン・イクピョ議員が公開した韓電の「アラブ首長国連邦における原発建設および運営事業の持分投資・出資(案)」などの資料によると、韓電は2009年から進めたアラブ首長国連邦原子力公社(ENEC)と原子力発電所の運営・投資契約交渉で、アラブ首長国連邦側の要求をほとんど受け入れた。契約内容が公開されたのは今回が初めてだ。

 アラブ首長国連邦の原発事業は大きく分けて二種類だ。一つは2009年12月、韓電コンソーシアムがENECと結んだ186億ドル規模の建設契約である。また、もう一つは昨年10月に契約した発電所の投資・運営事業だ。発電所の投資・運営に向けて、韓電とENECは18対82の割合でバラカワン((Barakah One・事業法人)とナワエネルギー(Nawah Energy・運営法人)を設立することにした。当時、政府はこの契約を韓国原発輸出のモデルだと広報した。

UAE原発の投資・運営事業における主要条件の変更内容//ハンギョレ新聞社

 しかし、具体的な内容を見てみると事情が異なる。まず、韓電とENEC間の法律紛争が発生すれば、当初英国法に準じて、ロンドンの裁判所で仲裁を受けるという合意になっていたが、アブダビ裁判所でアラブ首長国連邦法に基づいて裁判を受けるものに変更された。昨年9月に開かれた韓電理事会でチョ・ジョンヒョク理事(元セヌリ党議員)は「最後の砦である公正に裁判を受ける権利は確保しなければならないのではないか。アブダビで裁判を受けるのは本当に最悪だ」と批判した。

 収益率も、当初16%で合意したが、10.5%と大幅に低下した。運営権も60年間ではなく、10年間だ。韓電海外原発開発処長は理事会で「O&M(経営および維持)は、まず10年契約することになっている」と話した。結局、運営権契約を延長するためには再び交渉しなければならず、紛争が生じれば現地裁判所で仲裁を受けなければならない立場だ。また、原発の輸出に伴う売上と配当額(60年基準)も2012年の690億ドルと216億ドルから、昨年には494億ドルと132億ドルにそれぞれ低くなった。

 契約がこのようになったのは、朴槿恵政権が原発輸出の成果を出そうと急いだことも背景として働いたものとみられる。昨年、交渉が膠着状態に陥ると、ユ・イルホ経済副首相は5月、アブダビで開かれた両国の経済共同会議に出席し、直接「年内の契約完了」合意を引き出した。

 ホン・イクピョ議員は「アラブ首長国連邦の原発は、李明博(イ・ミョンバク)政権の性急な決定と朴槿恵政権の無能によって、目標収益率の達成するかどうかも不透明な継ぎはぎの契約で終了した」と批判した。キム議員は「改悪を重ねた原発の契約は、リスクを問わず成果の広報に偏った海外資源開発と似ている」と指摘した。これについて、韓電側は「契約の内容は秘密のため、(それについては)何も言えない」と明らかにした。

チェ・ハヤン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/815302.html 韓国語原文入力:2017-10-20 05:01
訳H.J(1793字)

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