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一糸乱れず展開される朴槿恵の政治闘争は誰の“作品”なのか

登録:2017-10-20 00:43 修正:2017-10-20 07:49
CNN通じて「人権弾圧を受けている」と虚偽の主張の流し 
裁判・離党を拒否し支持層の強硬保守を結集 
「保守総動員令」21日の太極旗の集会7千人の参加予想 
人権業務の専門家「国連への陳情手続きについて分かっていない」 
“寂しい朴槿恵”の空振り、司法部に対する理解不足との指摘も
16日、拘束延長後初の公判を終えてソウル中央地裁を出る朴槿恵前大統領//ハンギョレ新聞社

 「朴槿恵(パク・クネ)流の政治闘争」が始まった。重刑が予想されると、「法治の名を借りた政治報復」とし、裁判自体を拒否するだけではなく、CNNなどを通じて「人権弾圧を受けている」という虚偽・歪曲の主張を国際社会に流布し、政治的迫害を受ける「良心の囚人」を装っている。自由韓国党の自主的な離党圧迫に対しては、「自信があれば私を踏んで行ってみなさい」というように特有の冷気さえ感じられる。「裏切りの政治」に押されて離党するよりは除名される道を選ぶものとみられる。

 朴前大統領は、有力政治家時代や大統領在任中「原則と信頼」を自分の政治ブランドに掲げた。根気強い政治的決定で評価を受けたが、「訳も分からないこだわり」という批判を受けることもあった。特に、大統領在任当時は、世論や政治的圧迫に押されて自分の考えと異なる決定を下すことを極度に嫌った。このようなこだわりは、理念的には強硬保守、地域的にはTK(大邱と慶尚北道)、年代別には60代以上の高齢者層という3大核心支持層を基盤とすると共に、彼らの政治的要求を狙ったものだった。

 裁判の拒否や離党の拒否は、このような朴槿恵流の政治に慣れ親しんだ核心支持層の結集につながっている。また、保守の高齢者層を中心に「国連」、「CNN」など国際的な公信力を借りた虚偽の主張が急速に広がっている。火がついた同情論に油を注いだのだ。親朴系・保守性向の団体は「総動員令」を下し、週末に大規模な対政府集会を準備している。土曜日の21日、都心で開かれる太極旗の集会には7000人以上が集まると予想されるが、文在寅(ムン・ジェイン)政府発足以来、最大規模になるものと見られている。このような動きは自由韓国党の離党措置に対する党の内外の反発を高める一方、来年の地方選挙を控えて自由韓国党の政治的選択肢を狭める要因だ。文在寅政府半ば頃に確定判決が出た場合、「国民統合」を主張する保守層の赦免要求の名分になる可能性もある。

収賄などの疑いで拘束起訴され、裁判を受けている朴槿恵前大統領が拘置所で「深刻な人権侵害」に遭ったとし、国際社会にこの問題を訴える予定だと、米国のCNN放送が17日(現地時間)、報道した/聯合ニュース

 法曹界内外では、このような一連の状況が朴前大統領の弁護人団や国外団体との交流が可能な保守団体の“作品”と見られている。16日、朴前大統領の“裁判ボイコット”宣言直後から、まるで事前に練り上げられたシナリオのように、一定の時間間隔を置いて、一糸乱れず進められているからだ。国際法務チームによる国連への報告書提出も、事前に企画された世論戦の一環である可能性が高いという分析もある。MHグループが国連に提出した報告書は、既に同じ内容の広告文がMHグループの名で先月27日付の「朝鮮日報」に掲載された。国内に広告費を払う誰かがいることを覗わせる部分だ。また、外国弁護士を活用したことが異なるだけで、今年3月、国政壟断の共犯であるチェ・スンシル氏を代理していたイ・ギョンジェ弁護士が「法務部と検察がチェ氏の人権を侵害している」として国連人権理事会に報告書を提出した際と同じ方法が用いられた。国連の人権関連業務に詳しいある政府関係者は「MHグループという団体が国連の陳情手続きや受付可能性をきちんと把握すらできていないものとみられる。報告書の原文も国際法の基準からすれば、粗悪なレベル」だとしたうえで、「100%話題を狙ったものという気がする」と話した。同報告書の翻訳版が保守団体である大韓民国のベトナム戦争参戦者会と極右性向のインターネットサイト「日刊ベスト」(イルベ)などを中心に広がっている。

 一方、“助言グループ”を失った朴前大統領が1998年の政治入門前の“寂しい朴槿恵”状態に戻り、空振りしているという分析もある。保守野党のある議員は19日「周りの助言が途絶えたのに、正しい決定を下せるだろうか」と話した。

 大統領在任時代“常識”とは異なる認識を示してきた朴前大統領が、自分の拘束延長を予想できなかった可能性もある。絶対的に依存しているユ・ヨンハ弁護士が依頼人の朴前大統領に現在の状況を客観的に伝えなかった可能性もあるということだ。人民革命党事件に対する「二つの判決」発言など、司法府に対する朴前大統領の誤った認識や理解不足が朴前大統領の最近の行動に影響を及ぼした可能性もあると見られる。

キム・ナムイル、ホン・ソクジェ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/815239.html 韓国語原文入力:2017-10-19 20:01
訳H.J(2217字)

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