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裁判所「預金額不足を理由に難民の帰化を拒否してはならない」

登録:2017-09-09 05:24 修正:2017-09-09 07:55
エジプトで弾圧を受ける30代のキリスト教徒 
旧国籍法の施行規則によって帰化を拒否されたことに対し 
「金銭より自立能力を見るべき」と許可の判決 
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 預金残高が一時的に3000万ウォン(約286万円)を下回ったとの理由で、難民認定者の帰化申請を拒否したのは違法だという裁判所の判決が出た。裁判所は法務部が帰化の手続きを遅く進めたにもかかわらず、生計維持能力を厳しく適用したのは不当だと判断した。

 ソウル高裁行政10部(裁判長キム・フンジュン)は、エジプト出身の難民K氏(33)が法務部を相手に国籍申請不許可処分の取り消しを求めて起こした訴訟で、原告敗訴の判決を下した1審を覆してK氏の主張を認めたと、7日明らかにした。K氏はイスラム国家であるエジプトでキリスト教徒という理由で弾圧を受け、2009年に韓国に来て翌年難民として認められた。2014年には3100万ウォン(約295万円)の預金残額書を持って帰化申請をした。K氏に適用された旧国籍法施行規則は帰化申請者やその家族が3000万ウォン以上の預金など、生計維持能力があるということを証明するように定めている。以後、K氏の預金に170~740万ウォン(約16万~70万円)の変動が生じ、昨年6月、法務部は「K氏の生計維持能力が足りない」として、帰化不許可処分を下した。K氏はこの処分を不服として訴訟を提起したが、1審裁判所はこれを棄却した。

 しかし、控訴審裁判所は法務部が帰化の手続きを先送りしながら、生計維持能力が足りないと判断したのは不当だと判断した。帰化手続きが2年近く遅れたことで、残高に変動が生じた点を考慮したものだ。法務部は、一般帰化申請が通常17カ月程度かかると主張したが、裁判部は難民の特性上、手続きがより迅速に行われるべきだったと指摘した。 裁判部はまた、K氏にはイスラエルで教師として働きながら生計を支援する家族がおり、K氏も映画館で働いて収入があることも考慮した。

 とりわけ裁判所は難民の生計能力を画一的に判断してはならないとも指摘した。「本国に帰ることができない状況であり、韓国で仕事を探しても選択の幅が非常に制限されている」特殊性を考慮し、一般的な帰化申請とは同じ基準を適用してはならないということだ。裁判所は「(難民には)一定水準の財政能力だけを強調するよりも、共同体の経済的生活に参加できるような基礎的自立能力があるかどうかを中心に判断しなければならない」と強調した。

ヒョン・ソウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/810191.html 韓国語原文入力:2017-09-08 09:30
訳H.J(1212字)

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