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[社説]‘ナマステ’追い出して、品格ある国になれるのか

登録:2014-04-05 14:41 修正:2014-04-05 23:06

 16年余り韓国でまじめに生きてきた外国人が帰化を拒否されたうえに強制追放を心配しなければならない状況に置かれていると報道された。パク・ボムシンの小説<ナマステ>の主人公‘カミル’の実際のモデルでもあるネパール出身のチベット難民、ラマ・ダマ・パサン(韓国名 ミンス)氏がまさにそのような不幸な境遇に置かれている人物だ。ミンス氏は韓国人の妻を持つ3人の子供の父親で、体の具合が悪い妻の母の面倒を見ながら生活している5人家族の家長だ。韓国人として生きていくのに何の支障もなかったミンス氏がこのような境遇に追い込まれたのは法務部が国籍法条項を偏狭に適用したためだ。

 国籍法5条の帰化要件によると‘品行方正であること’というものがある。ミンス氏の場合、500万ウォンの罰金刑を受けているためにこの要件を満たせなかったということだが、この条項は2012年に国家人権委員会で‘規定が曖昧’だという指摘を受けた問題条項だ。人権委は "品行方正を求める国籍法の帰化要件条項に関連して、具体的にどのような基準により審査するのか法令等にも明示されていない" として、内容を具体化するよう勧告されている。それにも関わらず今回ミンスさんのケースに総合的な見地を考慮せずに機械的にこの条項を適用したわけだ。その上、法務部の内部指針により、200万ウォン以上の罰金刑を受けた外国人は強制退去の対象者に分類され、強制追放の適否審査を受けることになったのだから、傷口に塩を塗られたようなものだ。

 ミンス氏は‘品行方正’の要件に引っかかり帰化を拒否されたが、実際は模範的な韓国人として遜色ないといってもいい人だ。1998年に入国したミンス氏は2006年に今の夫人と結婚。2008年にチベット独立運動が広がるとすぐにそれに積極的に参加し、‘民主化の聖地’であるソウルの明洞聖堂前でチベット食堂を開いた。ところがこの食堂の建物が強制撤去の対象になった。2011年にミンス氏と妊娠中の夫人は撤去反対運動をし、重機の搬入を阻止して退去を拒んだことが業務妨害の容疑になった。ミンス氏は店舗賃借人たちの集会を支援するために参加したが、そのことも罰金刑判決の理由にされたという。苦しい境遇の隣人を助けたことが不利益につながったわけだ。誠実な父親であり、民主市民として暮してきた人が帰化を拒否されて強制追放の心配までせねばならないならば、大韓民国は国際社会の品格ある一員になるのはまだ遠い話ということになる。ミンス氏がモデルになった小説の題名‘ナマステ’は安寧と平和を願うネパールの挨拶言葉だ。今回をきっかけに国籍法の条項を全面的に改善して、ミンス氏のような境遇に置かれる人々の暮しに‘ナマステ’が実現することを願う。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/631113.html 韓国語原文入力:2014/04/03 20:34
訳T.W(1257字)