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北朝鮮の挑発・米国の圧力で「THAAD1個砲台完備」が既成事実に

登録:2017-09-07 03:00 修正:2017-09-07 16:15
政府、発射台4基「臨時配備」と強調するが 
永久基地化に向けた工事と変わらず 
「一般環境影響評価」も形だけの措置 
中国「配備を中断し設備の撤去を」
THAAD(高高度防衛ミサイル)発射台4基の追加配置をめぐり6日夜、慶尚北道星州郡草田面韶成里会館の前で村の住民と警察の衝突が起きた=星州/ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 政府が6日、高高度防衛ミサイル(THAAD)発射台4基の追加配備の強行を決めたことで、もはや在韓米軍のTHAAD配備は事実上、取り返しの付かない既成事実となった。THAADの追加配備は、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射と6回目の核実験など、安保環境の悪化によるものと見られるが、これまで強調してきた手続き的正当性を自らが毀損したという批判の声が上がっている。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権は今年5月の発足以来、国内外からTHAAD配備の圧力を受けてきた。国内では保守勢力が中心となってTHAAD早期配備を主張しており、米国は「THAAD配備の決定は韓米間の公式合意」と責め立ててきた。北朝鮮も政府発足以来、相次ぐ挑発で緊張を高めており、環境影響評価(アセスメント)の省略など手続きの不備を問題としてTHAAD配備を先送りしようとした文在寅政権にとっては困った状況が続いた。当初、政府は7月28日、THAAD配備問題を一般環境影響評価を行ってから最終決定すると明らかにした。しかし、それから数時間も経たないうちに、北朝鮮が2回目の火星-14型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を試験発射を行ったことを受け、文在寅大統領は翌日、発射台4基の追加配備を指示した。

THAAD配備日誌及び砲台の構成//ハンギョレ新聞社

 国防部は今回のTHAAD発射台4基の追加配備が「臨時配備」であることを強調している。国防部は6日、「THAADを最終的に配備するかどうかは、10~15カ月がかかるものと予想される『一般環境影響評価』を実施してから決める」という従来の立場を再確認した。しかし、国防部は今回、THAAD発射台4基の臨時配備と共に星州(ソンジュ)基地に対する補強工事に着手する計画だ。これらの工事に必要な建設装備と資材は7日、臨時配備されるTHAAD発射台4基と共に星州基地に搬入される。

 国防部はこれらの工事の法的根拠を今月4日に終了した小規模環境影響評価に求めた。しかしこれは、政府が星州基地に対する小規模環境影響評価を「便法」と批判したことを自ら覆す自己矛盾だ。当初、文在寅政権は朴槿恵(パク・クネ)政権が厳しい「普通環境影響評価」を回避するために、全体の供与敷地70万平方メートルを32万平方メートルで分けて「小規模環境影響評価」を実施する便法を講じたと批判した。

 国防部はこれらの工事が今年4月に奇襲配備された「THAAD発射台2基やレーダー、発電車両、射撃統制所などの臨時の補強工事」だと説明した。しかし、その内容を見ると、THAAD発射台のコンクリート構造物の工事、内部の道路工事と電気工事など、永久的なTHAAD基地のための工事とあまり変わらない。今回のTHAAD発射台4基の追加配備で星州基地には完全編成されたTHAAD1個砲台が置かれることになる。追加工事を通じて、これらTHAAD1個砲台の永久配備を支援する施設も完備され、事実上、永久的なTHAAD配備基地に変貌するのだ。これで、「一般環境影響評価」はTHAAD1個砲台の星州基地への配備を事後的に正当化する形だけの行為に転落する公算が大きくなった。

 中国は「直ちに配備プロセスを中断し、関連設備を撤去せよ」と反発した。中国外交部の耿爽報道官は定例会見で、「韓国にTHAADを配備することは関係国(韓国)の安保憂慮を解決できないだけではなく、地域戦略の均衡を著しく破壊し、中国を含めた地域国家の安保利益に損害を与えると共に、朝鮮半島の緊張と対立を悪化させて、朝鮮半島問題をさらに複雑にする」としたうえで、「中国は、米国と韓国が中国などの地域国家の安保利益と憂慮を重視することを強く求める」と述べた。

パク・ビョンス先任記者、北京/キム・ウェヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/809983.html 韓国語原文入力:2017-09-06 21:45
訳H.J(1799字)

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