文在寅(ムン・ジェイン)大統領とドナルド・トランプ米国大統領が4日夜に電話会談を行い、北朝鮮の6回目の核実験に対する対応策の一つとして、韓米ミサイル指針に設けた韓国のミサイル弾頭重量制限を解除することで合意した。
また、文大統領は、北朝鮮の度重なる核・ミサイル挑発への対応措置として、在韓米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の臨時配備を韓国の国内手続きに沿って最大限迅速に完了すると明らかにした。文在寅政権発足後、THAADの迅速な配備を圧迫してきた米国が、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星-14」型の発射後、韓国が求めてきたミサイル弾頭重量制限の解除を電撃的に受け入れることで、事実上利益を交換したものと言える。しかし、両首脳がこれまで北朝鮮の重なる挑発にも一貫して強調してきた「平和的解決策」を明示的に言及しておらず、「韓国は北朝鮮に対する融和的な対話が作動しなかったことに気づいている」として文大統領の対北朝鮮政策を批判したトランプ大統領の圧迫に引き回されているのではないかという疑問の声もある。
両首脳は同日夜10時45分から40分間にわたって行われた電話会談で、北朝鮮の核実験は韓国と米国の両国はもちろん、国際社会の度重なる警告と国連安全保障理事会決議を違反しただけでなく、朝鮮半島と北東アジアはもとより国際社会の平和・安全に対する深刻な挑戦であり、その規模と性格面から過去とは次元が異なる挑発であるという認識を共にすると同時に、北朝鮮の挑発を強く糾弾したと大統領府のパク・スヒョン報道官が伝えた。
文大統領は「今回の核実験は過去より何倍も強い威力を示した点と北朝鮮自らがICBM装着用の水爆実験と主張したという点で、非常に懸念すべき状況」だとしたうえで、「国際社会と協力してこれまでとは次元が異なる、そして北朝鮮が痛感できる強力かつ実質的な対応措置が必要だ」と強調した。これに対し、トランプ大統領は全面的な共感を示し、緊密に協力していくことを約束したと、パク報道官は明らかにした。
パク報道官は「トランプ大統領は米国の徹底した韓国に対する防衛公約を再確認しており、韓米首脳は強力な韓米連合防衛態勢をもとに北朝鮮の挑発に対する積極的な対応策を模索し、今後の挑発の可能性に徹底的に備えていくことにした」と伝えた。このような努力の一環として、両首脳は韓米ミサイル指針上、現在500キログラムになっている韓国のミサイル弾頭の重量制限を解除することで合意した。また、文大統領はTHAADの臨時配備を速やかに完了すると述べた。
両首脳は併せて、今は北朝鮮に対して最高レベルの圧力と制裁を加えなければならないということで認識を共にし、さらに強力な国連安保理の制裁決議を推進することにしたと、パク報道官は付け加えた。韓米首脳の電話会談は、今月1日夜「大韓民国の国防力を強化するためミサイル指針を韓国側が希望するレベルに改定するという原則に合意」した前回の電話会談から3日後に行われた。
文大統領は同日、ロシアや日本、ドイツの首脳とも電話会談を行い、「最高レベルの対北朝鮮制裁と圧迫」を強調し、協力を約束した。文大統領は同日夜11時30分、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と20分間にわたり会談し、「北朝鮮への石油供給の中断と北朝鮮の海外労働者輸入禁止など、北朝鮮の外貨収入源を根本的に遮断できる案を国連安保理で真剣に検討しなければならない時」と明らかにした。文大統領はこれに先立ち、日本の安倍晋三首相、ドイツのアンゲラ・メルケル首相との電話会談でも「次元が異なる強力な処置が必要だ」と強調した。
ただし、大統領府は、メルケル首相とプーチン大統領との会談で、首脳たちが「北朝鮮核問題の平和的解決」、「外交的な方法での解決」という原則に合意したと明らかにした反面、トランプ大統領や安倍首相との会談に関する報告にはこのような内容がなかった。北朝鮮への対応をめぐり、依然として周辺国の間で温度差があるものと見られる。