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[インタビュー]「サムスンの経営空白に対する懸念は数十年間繰り返されてきた話」

登録:2017-08-28 03:30 修正:2017-08-28 07:20
「サムスン専門家」チャン・セジンKAIST教授 
「株を保有している金融機関・国民年金から社外取締役指名すべき 
欧州・米国が百年前行ったように韓国も所有と経営分離を」
チャン・セジンKAIST経営大学院教授//ハンギョレ新聞社

 「マスコミが(イ・ジェヨン副会長の)の不在が経営空白につながると懸念を示しているが、数十年間繰り返されてきた話だ。私はそれほど(サムスンに)否定的な影響を及ぼすとは思っていない」

 KAIST(韓国科学技術院)経営大学院のチャン・セジン教授は、「サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が実刑を受けて、サムスンの経営に空白が生じた」という主張に対して、そう懸念する必要はないと話した。「過去の歴史やケースから判断すれば」解体されたサムスングループ未来戦略室の機能を誰か引き継いでいくだろうし、他の企業に比べて優秀な専門経営人が布陣しているという説明だ。

 チャン教授は2008年、サムスンの役職員をインタビューした著書『サムスンとソニー』を出版するなど、国内企業について研究してきた。サムスン水曜社長団会議に出席し、「再び戦略だ」というテーマで講演したこともある。1年の半分はシンガポール国立大学で講義をしているチャン教授と27日、電話インタビューを行った。

 チャン教授はまず、サムスンの専門経営陣の役割を拡大する必要があると指摘した。「国外企業がサムスンとディールをする際、必ずイ・ジェヨン副会長と接触しようとする。それでは専門経営人らの成長を妨げる良くない結果を生む。サムスン(の経営空白)が心配なら、これからはイ副会長のネットワークに依存するのではなく、現場で経験を積んだ有能な専門経営人に機会を与え、彼らが最高経営陣になるようにすべきだ」

 役割が大きくなるものと見込まれるサムスンの社外取締役に対する改革も求めた。サムスンは今年2月に発表した刷新案で、系列会社が取締役会中心の自律経営を行うと明らかにした。「韓国企業の共通的な問題ではあるが、トップが教授や弁護士らを社外取締役に選ぶと、彼らが取締役会でトップに苦言を呈することができなくなる。株式を保有している金融機関や国民年金が社外取締役を指名したり、声を出せるようにしなければならない。株式という後ろ盾がなければ、株主の利益を代弁すべき社外取締役が力を持つことができない」

 それならイ・ジェヨン副会長などトップ一家が今悩むべき点は何だろうか。「現政府で、サムスンが計画した持株会社体制への転換は、事実上難しい。もう税金を納めて相続をしなければならないが、過去のような帝王的なシステムをそのまま譲り渡すことはできないだろう。ある時点で断ち切らなければならない。今回のように無理をしたら、刑務所に行くかもしれないし、能力がなければ、会社が滅びることもあり得ることを思い知らなければならない」

 チャン教授は、トップ一家が所有権を持ち、経営は専門経営人に任せる役割分担が長期的に必要だと語った。「財閥の経営権が3~4世まで引き継がれる状況は、韓国経済にとって決して望ましくない。創業主は非凡な人だったが、2~3世は凡人だ。平凡な人に大企業を任せるのはとても危険だ。欧州や米国でも百年前に同様の過程を経て所有と経営が分離された。私たちももうそのような過程を踏む時が来た」

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/808466.html 韓国語原文入力:2017-08-27 22:00
訳H.J(1508字)

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