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[社説]イ・ジェヨン有罪、“3世継承”の危機に過ぎず“サムスン”の危機ではない

登録:2017-08-25 23:42 修正:2017-08-26 08:09
サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が25日、ソウル中央地裁で開かれた1審宣告公判を終え、ソウル拘置所に戻るために護送車に乗り込んでいる=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が25日、1審裁判で懲役5年を宣告された。韓国最大の財閥であるサムスンのトップが実刑を宣告されたのは、1938年の創立以来初めてだ。故イ・ビョンチョル創業者とイ・ゴンヒ会長も不正があらわれたのは一度や二度ではなかったが、執行猶予などで実刑だけは免れた。財閥トップの不法行為をこれ以上容認してはならないという時代の流れが反映された結果と言える。

 多くの国民は「朴槿恵(パク・クネ)-チェ・スンシル ゲート」が弾けた後、イ副会長とサムスンが過ちを率直に認め、根本的な経営刷新に乗り出すことを願った。しかし、イ副会長とサムスンは特検捜査と裁判過程でこうした期待を裏切った。客観的証拠と陳述を通じて明らかになった事実さえ否認して、ごり押しの主張で世論を糊塗しようとした。サムスン物産と第一毛織の合併は、経営権継承とは関係がなく、イ副会長がサムスンの最高意思決定権者ではないと主張した。誰が見ても明らかな嘘をついた。何としても刑事処罰を避けようと、イ副会長を“無能な人物”と見せかける強引な手段まで使った。今後サムスンに大きな損失を及ぼすブーメランとなって返ってくるだろう。

 サムスンは当分の間“トップなき経営”が避けられなくなった。これまでサムスンと保守マスコミは、イ副会長の空白がサムスンに危機を呼び起こし、国家経済にも大きな打撃を与えると主張し国民を脅した。だが、イ副会長の拘束以後、過去6カ月間にそうしたことは起きなかった。むしろサムスン電子は、今年第1四半期と第2四半期連続で史上最高の実績を上げ、初めてアップルも抜いた。3世継承が困難に直面したのみで、グローバル企業サムスンが危機を迎えたのではない。イ・ジェヨン=サムスンではない。

 サムスンは今からでも政経癒着の悪弊を断ち切って、皇帝経営から抜け出さなければならない。トップ1人支配体制を終わらせて、理事会中心の透明経営を定着させるならば、禍転じて福となすの機会になりうる。今サムスンに必要なことは、冷徹な反省と骨を削る刷新だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/808349.html 韓国語原文入力:2017-08-25 19:26
訳J.S(1068字)

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