裁判部が25日、贈賄と横領・財産国外逃避などの容疑で起訴されたサムスン電子のイ・ジェヨン副会長に懲役5年など、サムスン幹部に実刑を宣告した。ソウル中央地裁刑事27部(裁判長キム・ジンドン)は、ミル・Kスポーツ財団に204億ウォン(約20億円)の賄賂供与など一部の容疑を除いて、イ副会長に適用された多くの容疑を有罪と認定した。チェ・ジソン元未来戦略室長とチャン・チュンギ元未来戦略室次長にも懲役4年の実刑を宣告し法廷拘束した。
裁判部が判決を通じて明らかにしたように、「韓国最高の政治権力と経済権力の腐敗した政経癒着弊害」に法的断罪が下されたという点で意味が大きい。イ副会長の犯罪事実とコインの両面のようにつながっている朴槿恵(パク・クネ)前大統領の収賄罪の有罪可能性も非常に高まった。多少不十分な点もなくはないが、“積弊清算”を要求してきた1600万のろうそく市民の意に沿った事必帰正の判決として評価する。
裁判の過程では、パク・ヨンス特別検察官チームとイ副会長側の間にいくつかの争点をめぐり激しい攻防がなされた。法廷に立ったサムスンの前現職の役員は、証言拒否と陳述翻意など“司法壟断”に近い強力な法廷闘争を行った。イ副会長は、チェ・スンシルの存在を知らなかったとして、支援も合併作業も未来戦略室がしたことであり、自身は関与しなかったと言い逃れた。しかし、アン・ジョンボム元大統領府政策企画首席とキム・ヨンハン元民政首席の業務日誌や、公正取引委員会の外圧日誌をはじめとする物証とチョン・ユラ氏の証言など、多くの証拠の前でサムスン側の弁解は説得力を失った。イ副会長自ら、国会聴聞会で「未来戦略室を解体する」と明らかにしておきながら、その後の法廷では未来戦略室に対し何らの影響力も及ぼせない立場だったかのように主張したことこそ、サムスン側がどれほど弁解を急造したかをよく示す事例だ。
裁判部は、2014年12月から翌年の1月頃には、チェ・スンシルが大統領側近であるというマスコミ報道などで大統領の乗馬支援要求がチョン・ユラと関連していることをイ副会長が知っていたと明らかにした。それが常識に符合する判断だ。何よりもイ副会長が自身の経営権継承のために国民の老後資金である国民年金に途方もない損失を及ぼしておきながら、最終陳述まで「いくら私がろくでなしでも…」云々と最後まで言い逃れたことは国民として許し難い。
裁判部は判決を通じて、朴前大統領がイ副会長の経営権継承作業を知って乗馬支援を要求したと明らかにするなど“賄賂”を与えた人だけでなく、受け取った人も有罪という趣旨を強く表わした。朴前大統領が単独面談の時から乗馬に特別な関心を見せて、支援が不十分だと見るとサムスンを叱責し、チェ・スンシルから乗馬の状況を継続的に伝達されるなど、犯行を“共謀”したと見た。裁判部は異なるが、朴前大統領が賄賂収受の容疑から抜け出すことは容易でなく見える。
判決を控えて相当数のマスコミが、サムスン側に偏向的な記事・コラムを大々的に送りだした点は憂慮に値する。明白な物的証拠が多くあるのに「スモーキングガン(決定的証拠)がない」とか「大統領府と左派市民団体が世論誘導している」などの居直り主張で裁判を揺さぶろうとしたことは、報道の正道を踏み外した行為だ。今後の裁判で再発しないように自省を求める。