出勤、対面報告、書き取りのない会議。これまでの100日間、大統領府では“平凡だが見慣れない”場面が繰り広げられた。
一時は参謀たちが官邸から書類を持って走っていた道が、今や大統領の出勤路となった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は朝7時頃、官邸で懸案報告を受けてから、8~9時の間に与民館まで0.6キロメートルを歩いて出勤する。大統領が出勤する前に、秘書陣は朝7時前に事務室に到着して7時30分までチーム別会議を行い、8時10分からはイム・ジョンソク秘書室長の主宰で首席らが懸案点検会議を開く。文大統領はその後9時10分に、首席らと「茶談会」を兼ねた会議を進める。100日間で大統領の公式対面報告が行われた回数は267回だという。大統領が主宰する首席・補佐官会議は1週間に2回(月・木)開かれる。文大統領は初会議の際に「(私の言うことを)書き取りしないでほしい」と述べた。「大統領の指示事項をちゃんと書き取りした者だけが生き残る」と言われていた昨年の政権との違いを示したものだ。
誰の手伝いもなく上着を脱ぎ着したり、コーヒーを自ら注いだり、参謀たちと気兼ねなく冗談を交わす大統領の姿も目を引いた。6月に任命された秘書官は初めて参加した首席・補佐官会議での“衝撃”をこのように語った。「大統領が入ってきたのに、先に着席してコーヒーを飲んでいた首席らが、気にする様子もなく、『コーヒーはそこにありますよ』と言って指をさしていた」
特別な客を迎える用途に使われる韓国伝統家屋の常春斎も久しぶりにほこりを払って利用されるようになった。朴槿恵(パク・クネ)前大統領は昨年1月1日に略式の記者懇談会を開き無実を訴えていた時を除いて、在任期間中に一度もここを利用しなかった。一方、文大統領は、与野党の院内代表・党代表を招待したり、企業家たちと面談する際、常春斎の扉を開くことで「協治の相手」を礼遇したり、真心を表現する象徴的メッセージを送った。
大統領府前の通りも、国民に24時間解放した。いま、大統領府前の噴水台一帯は、北村(プクチョン)や三清洞(サムチョンドン)を訪れた外国人観光客と、「THAAD(高高度防衛ミサイル)反対」などを叫ぶ様々な1人デモが一緒になるという興味深い場所だ。大統領府警護処は今年の夏、猛暑警報・注意報が続いたことを受け、1人デモを行っている人たちにアイスクリームを配っている。
動物たちと視線を合わせる大統領も国民にとっては珍しい姿だ。文大統領はスケジュールのない週末はラフな服装で官邸で捨て猫だったチンチンイの面倒を見ており、ファースト・ドックのマルやトリとの時間も楽しんでいる。猫がペットとして大統領府官邸に入ったのも今回が初めてだ。文大統領は猫と犬の飼料代はもちろん、家族の食費や歯磨き粉をはじめとする日用品などの生活費を、特殊活動費の代わりに大統領の給料で賄っている。文大統領は「それでも住居費がかからないからありがたいことだ」と話した。
大統領のスケジュールは警護上の秘密事項であり、非公開が基本だが、外部行事の時や休暇中に市民たちが大統領と撮った自分撮り写真はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて広まっている。休暇を取った時も、文大統領の五台山(オデサン)ハイキングは、偶然そこに居合わせた市民たちが写真を撮ってSNSに掲載したことで知られた。与民館3階の執務室の窓を開けて、道行く人たちに手を振る文大統領の姿を撮った観覧客の動画も人気を集めた。文大統領に関連する物が飛ぶように売れる「イニ(寅ちゃん)グッズ」ブームも続いている。休暇中に読んだと明らかにした本「明見萬里」は1週間前に比べ、販売量が21倍に上昇しており、今月、郵政事業本部が発行する予定の文大統領記念切手を買い求めるため、郵便局サイトに加入する人が急増している。対話の扉が開かれたことで、就任初期の「ハネムーン」はむしろ長くなった。
韓国語原文入力: :2017-08-17 08:30