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[ニュース分析]安保理制裁…韓米軍事演習間近「朝鮮半島、非常に重大な時期に突入」

登録:2017-08-07 03:11 修正:2017-08-07 07:16
国連、新たな対北朝鮮制裁を決議 
石炭の輸出禁止など強力な制裁 
北朝鮮労働者の海外で雇用制限も  
北朝鮮「米本土が火の海なるだろう」と反発 
強対強の衝突に突き進む悪循環の中  
「朝鮮半島8月危機説」が増幅
米国のニッキー・ヘイリー国連大使(右)が今月5日、国連本部で安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議案第2371号の表決に入る前に、中国の劉結一大使に近づき、対話している=ニューヨーク/EPA聯合ニュース

 国連安全保障理事会(安保理)が6日、強力な対北朝鮮制裁案第2371号を採択したことで、朝鮮半島の緊張がさらに高まるものと見られる。北朝鮮の強力な反発が予想される上、今月中旬からは乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン(UFG)韓米共同演習が始まる。「8月危機説」が広がりを見せているのも、このためだ。互いが強固な対決姿勢を崩さない、ブレーキのない疾走が再び朝鮮半島を危機に追い込む悪循環も予想される。

 米国と中国、ロシアなど国連安保理理事国の満場一致で可決された今回の対北朝鮮制裁案は、北朝鮮の主力輸出品である石炭、鉄などの輸出を禁止すると共に、北朝鮮の海外労働者の雇用を制限する処置など、強力な内容を盛り込んでいる。外交部は今回の決議案の採択・履行で北朝鮮の総輸出額30億ドルの3分の1人10億ドルの輸出が打撃を受けるものと予想した。

 北朝鮮は休日を迎えたからか、同日午後まで国連安保理制裁案の通過に対してこれと言った立場を表明しなかった。しかし、北朝鮮はこれまで、国連安保理制裁について強く反発してきた。今年6月にも北朝鮮は、国連の北朝鮮制裁決議案第2356号が採択されると、外務省報道官談話を通じて「厚顔無恥な傲慢と独善、ダブルスタンダードの極致」などとし、これからも引き続き弾道ミサイルを発射すると威嚇してきた。北朝鮮の反発は、今回も例外ではないだろうと見られる。国連の制裁が強まっただけに、北朝鮮の反発もさらに激しさを増すものと予想される。国連の北朝鮮制裁案採択に先立ち、6日付の北朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は論評で「米国が核と制裁という金棒を振り回しながら、わが国を刺激する日には、本土が想像もできない火の海の中に陥ることになるだろう」と強い反発を予告した。

 一方、ASEAN地域フォーラム(ARF)に出席した中国の王毅外交部長も記者団に、「今回の決議案通過後、朝鮮半島は非常に重要な時期(カギとなる段階)に突入するだろう」とし、「関係国が責任ある態度で判断、行動し、特に、緊張の高まりを防ぐための措置に乗り出すことを望む」と述べたと、中国国営の「人民網」が報じた。王部長は同日、リ・ヨンホ北朝鮮外相との中朝会談の後、「(北朝鮮に)安保理が発表した対北朝鮮制裁決議に冷静に対応するよう促すと共に、安保理と国際社会の願いに反したミサイル発射と核実験をこれ以上行わないよう要求した」と明らかにした。王部長はまた、カン・ギョンファ外交長官との韓中両者会談では、文在寅(ムン・ジェイン)政権によるTHAAD配備の加速化と関連し、「安保と関連した韓国の関心事が中国の不安要素を引き起こしてはならない」と強い不満を露わにした。

 このような状況に加えて、朝鮮半島の南では韓米共同軍事訓練の乙支フリーダムガーディアン演習が今月21日から31日まで開かれる。指揮所中心のシミュレーション演習の乙支フリーダム・ガーディアン演習に対し、北朝鮮はいつも「北朝鮮侵略演習」だとして、敏感に反応を示してきた。北朝鮮が追加の弾道ミサイル発射や核実験などで、さらに緊張を引き上げる可能性が常に存在する。特に今回の演習は、今年6月20日、北朝鮮がキェ・チュンヨン駐インド大使を通じて「米国が暫定的でも恒久的でも大規模な軍事訓練を完全に中止するなら、我々も(核とミサイル実験を)の暫定的に中断できる」と提案した後、初めて開かれる韓米連合軍事演習だ。

 朝鮮半島で軍事的緊張が高まると、北朝鮮の核・ミサイルの追加挑発とは別に偶発的な武力衝突の可能性も高まる。南北間ホットラインもいずれも断絶した状態で、南北間の偶発衝突が発生すれば、南北の意思とは関係なく戦争が拡大する危険性も常に存在する。文大統領が最近、民間団体の対北朝鮮ビラ散布を阻止する方法を検討するよう指示したのも、このような偶発的な衝突を憂慮したためと見られる。北朝鮮はこれまで北朝鮮にビラを散布すれば、原点打撃すると公言してきており、かつて朴槿恵(パク・クネ)政権時代、実際に高射銃などを発射し、軍当局が対応射撃をした事例もある。

 このような事情などを考慮すると、国連安保理の対北朝鮮制裁決議案の採択によって触発されたブレーキのない朝鮮半島の危機局面は、当面避けられない見通しだ。ヤン・ムジン北韓大学院大学教授は「早くても9~10月になる前までは緊張が高まったままになると思われる。このような局面では偶発的な衝突の管理にまず力を入れなければならない」と話した。韓国と米国の新政府発足にも依然として北朝鮮の核・ミサイル問題が国連の追加制裁と北朝鮮の反発につながる悪循環から抜け出せない現実を指摘し、新たなアプローチを求める声もあがっている。北朝鮮専門メディア「38ノース」のジョエル・ウィット先任研究員は最近、文大統領に送る手紙の形で、「米国は北朝鮮の核・ミサイル挑発の脅威を中断する分野で、韓国はその他の問題、特に南北関係の改善において主導的な役割を果たすべき」だとして、役割分担論を主張した。また、彼は「対北朝鮮制裁と同盟関係の強化、休戦協定を恒久的な平和協定に替える問題においては、ハンドルに韓米両国の手が共に置かれていなければならない」と付け加えた。

パク・ピョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/805761.html 韓国語原文入力:2017-08-06 23:48
訳H.J(2441字)

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